キャラメル

b0041912_23515582.jpg 1週間ずっと雨が続いて海の色も暗く、コート・ダジュールとしてはかなり憂鬱な2月一週目でしたが、昨日やっと晴れたのでイタリアに行って、スーパーでリゾットやラビオリなど食料品をしこたま仕入れて来ました。これでしばらくは食べ物の心配をしなくて暮らせそうです。
 先週から日本公開されているレバノン映画「キャラメル」。カンヌで好評だったからとニースの友達に連れて行かれて観たのはもう一昨年の秋になりますが、これが滅法面白い作品で、脚本、監督、主演と3役をこなした才色兼備のナディーン・ラバキーの才能にひたすら感嘆したものでした。
 30代のラヤールが経営するベイルートの小さいエステサロンを中心に、従業員やお客など5人の女性がそれぞれの幸せを模索する様子は、私たちにはあまり馴染みのないレバノンの日常生活を結構身近に感じさせてくれるでしょう。どの世代の女性にも自信を持ってお勧めできる一作です。
 エステサロンのオーナー、ラヤールは仕事熱心で真面目なクリスチャンですが、いつも妻子ある恋人からの電話を気にしています。サロンで働く美容師のニスリンはイスラム教徒で、愛する彼との結婚を間近にひかえて幸せいっぱいの筈ですが、婚約者に隠している過去に悩んでいます。
 子育てが終わったジャマルは、エステサロンの常連客で女優志願、せっせとオーディションに挑戦しますが、いざという時に奇妙な行動を取ってしまいます。
 60代のローズは、仕立て屋を営みながら、老いた姉の介護に振り回される日々。フランス人客の老紳士に食事に誘われてときめきますが、わがままな姉を見捨てて、自分の幸せにと踏み出す決心がつきません。

 男女の交際や女性の自由がまだ制限されている国で、それでも5人の女性たちが私たちと似たような感じ方、考え方で、より良い明日を望んで毎日を一生懸命に過ごしている姿が、これまで遠い世界に思えた中東の国をぐっと身近に見せてくれます。加えて、サロンでのキャラメルの使い方がとても新鮮で、キャラメルで脱毛にいそしむラヤールの表情が官能的でさえあります。
 世代も立場も違う5人の女性たちが、それぞれの葛藤や悩みの多い生活に付かず離れず、相手に土足で踏み込まず、足も引っ張らず、必要な時な団結して応援する所が素晴らしい。私が特に気に入ったエピソードは、自分を抑制して姉の面倒を看て来た控えめなローズの恐らく最後の恋と思われるフランス人紳士との交流です。そのローズを心から応援するエステサロンのスタッフたちの暖かさ。これは、是非お友達になりたいと思うようなベイルートの女性たちの物語です。  
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by cheznono | 2009-02-09 23:54 | 映画