ダイアナの選択

b0041912_11160.jpg  輝く日差しの中、早くも《5月のバラ》が咲き始めたニースを後にして、先週、無事に日本に戻って来ました。帰国後の映画第一弾は、「撃つなら、私じゃなくて彼女を」とダイアナが言っていた(と記憶している)予告編が気になっていた「ダイアナの選択」です。「砂と霧の家」のパールマン監督の新作というのも魅力でした。
 コネチカット州の小さい町で鬱屈した高校生活を送るダイアナ(エヴァン・レイチェル・ウッド)は、自分とは対照的に品行方正な親友モーリーン(エヴァ・アムーリ)といつも行動を共にしていました。何かと反抗的なダイアナは、どうしようもない男と付き合い、クラスメイトに尻軽女と陰口をたたかれて落ち込みます。一方のモーリーンは、真面目で信心深く、奥手な女の子。
 二人の共通点は、どちらもシングルマザーの家庭に育つ鍵っ子という点くらいですが、なぜか気が合い、姉妹のように仲良しだったのに、ある時、二人の運命が決定的に別れる事件が起きてしまいます。
 高校のトイレにいた二人の元に銃を抱えた男子学生が押し入り、「二人のうち、どちらかを殺すけど、誰を撃とうか?」と究極の選択を迫るのです。教室では既に多くのクラスメイト達が犠牲になっていました。
 そして15年後。。美術史の講師として働きながら、哲学の教授と小学生の娘と何不自由ない暮らしを送っているダイアナ(ユマ・サーマン)ですが、高校銃撃事件の追悼記念日が近づくに連れ、言いようのない強迫観念に捕われて行きます。若き日の自分にそっくりで、予測できない行動に走る娘に振り回されながら、時折、フラッシュバックのようにモーリーンと過ごした高校時代が蘇って来ます。
 ヤクの売人だった男と別れ、生物の先生に諭されて哲学の講義を聴講し、《良心》についての意味深い話を聴いて、人生の方向転換を決めた17歳のダイアナ。その時の哲学の教授と結ばれて、理想的な生活を手に入れた筈なのに、つきまとう罪悪感のせいなのか、自らを追い詰めて行くような30代のダイアナの毎日。そして、事件の追悼記念の日、彼女は庭の花を摘んで、母校の式典に向かうのですが。。

 衝撃の結末、というふれこみは本当でしたが、終盤まで引き込まれて観ていたのに、何だか不可解なラストで、しばらく釈然としませんでした。一緒に観た友達と夕食を食べながらああでもないこうでもないと仮説を組み立てて、やっと「正しい結論」にたどり着いたのは食事が終わった後。ダイアナの思春期とその15年後が交差する構成は なかなか面白い試みではあったけど、一度で観客を納得させるにはちょっとムリがある展開ではないかしら。
 伏線はそれなりに張ってあり、《良心》のあり方を強調した哲学的教唆もあちこちに盛り込んでますが、17歳の高校生が否応なく迫られた生と死の選択の重さを描くには、もう少し構成と編集に工夫が必要かと。パールマン監督は、結末を知った上でもう一度観てほしいと言っていますね。
 コロンバイン高校を初め、近年、欧米で問題になっている銃乱射事件を重要な素材にしている割に、全く事件の動機や背景に触れてないのも残念です。未成年よるこれだけ残酷な事件を扱う以上、ただ二人の女子高生の運命を分けた要素として使うだけというのはいかがなものでしょう?
 高校生のダイアナ演じたエヴァン・レイチェル・ウッドは、とても美しく、自然な演技で、将来が楽しみな女優さんです。親友モーリーン役のエヴァ・アムーリ、誰かに似ていると思ったら、スーザン・サランドンの娘さんだったんですね。
 ともあれ、DVDになったら、ラストを頭に置いてもう一度観てみたい作品です。
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by cheznono | 2009-03-30 01:04 | 映画