サンシャイン・クリーニング

b0041912_0371642.jpg  とても楽しい映画とフランスでも評価の高かった「マイ・リトル・サンシャイン」は見逃してしまいましたが、同じスタッフによる新作「サンシャイン・クリーニング」を観て来ました。ニューメキシコ州アルバカーキで暮らすさえない姉妹が繰り広げる悲喜劇と再生の物語で、アメリカでは口コミでヒットした作品だそうです。  

  30代のシングルマザー、ローズ(エイミー・アダムス)は資格取得を目指しつつも、ハウスキーパーで日銭を稼ぐ毎日。妹のノラ(エミリー・ブラント)はウェイトレスの仕事も続かず、無気力で投げやりな日々を送っています。
 ローズは高校時代、チアリーダーとして活躍し、アメフト選手とつき合って、同級生たちの憧れの的でした。しかし、警察官となった当時のボーイフレンドは別の女性と結婚してしまい、今またローズと不倫の関係に。
 姉妹の父親はヤマッけのある仕事に手を出しては、鳴かず飛ばずだし、ローズの息子は学校で問題行動を起こしたため、転校になりそう。そんな時、いい稼ぎになると不倫相手に勧められたワケアリ現場を清掃する仕事に踏み切ったローズとノラは、とまどいながらも意外にてきぱきと事件現場を片付け、掃除をこなして行きます。
 真面目に生きて来たのに、なぜかうまく行かない人生にいらだちとあきらめを感じていたローズは、清掃業が軌道に乗るに連れて自信を取り戻し、初めは渋々姉に従ったノラは、自殺や犯罪の現場となった家々を掃除する過程で、封印していた筈の母親の死の記憶を蘇らせます。
 徐々に依頼が増えて、素人掃除屋からプロの清掃業者へと成長しつつある時、思いもかけない事件が勃発、せっかく息が合って来た姉妹チームワークはもろくも崩れかけてしまうのでした。

 初めは高い報酬のために引き受けた事件現場清掃業ですが、人々の役に立つ仕事をしているという意識が、行き詰まっていたローズとノラに大きな変化をもたらす過程が、とても自然に描かれていて、なかなかのもの。観客は二人を応援したくなります。
 彼女たちの仕事現場はかなり悲惨な状態ですが、行き当たりばったりの二人の仕事ぶりやユーモアが状況を和らげ、心配したほど陰惨な感じではありません。とはいえ、仕事の性質上、死のイメージは常に漂い、それが姉妹の幼い頃の経験につながって、今も過去の悲劇がとりわけノラに大きな陰を落としていることがわかって来ます。
 人が嫌がるような現場清掃の仕事を通じて、高校時代の自信を取り戻すローズと、人生への投げやりな態度を改め、次第に自覚と希望を見いだすノラの変貌に、観ているこちらも前向きな気持ちにさせられるし、常に楽天的な姉妹の父親(アラン・アーキン)のずっこけぶりやユーモアに満ちた発言がこの作品をより楽しくしています。この父親が問題児の孫オスカーを励ますシーンは実にユニーク。
 成績が悪くても、お金がなくても、失敗しても、やっぱり太陽は昇るし、陽は降り注ぐよね、だから過去は洗い流して、前向きに現状を打開して行こう!というメッセージが聴こえて来そうな作品です。
[PR]
by cheznono | 2009-07-22 00:49 | 映画