ベルギー映画:ロフト

b0041912_1322484.jpg ベルギーで大ヒットしたサスペンスと聞いて、そそられた「ロフト」。しかし、あいにくこの映画は仏語ではなかった。それもそのはず、フラマン語圏で15年ぶりのヒットとなった映画だそうで、経済優位は有無を言わさずフラマン圏、でも映画文化は仏語圏優位と思われていたベルギーで、フラマン映画巻き返しの兆しと言えるクールな作品です。

 デザイナー建築家として成功したヴィンセント(フィリップ・ベーテルス)は、設計したビル最上階のロフトを自分用に確保、合鍵を5つ用意して、友人4人に配ります。愛人がいる人もまだの人も、仲間5人、それぞれに家庭のある男たちの息抜きの場として、ロフトを好きに使って良いよと、男同士の固い友情ならでは?の提案をしたのです。
 そして、1年後。糖尿病の妻を愛する男ブルーノ(ルグ・セイナーヴェ)が、ロフトを利用しようとして、ベッドに若い女性の凄惨な遺体を発見。 被害者と加害者はいったい誰なのか?彼の電話で駆けつけたヴィンセントを初めとする仲間は、互いの様子を伺い、胸の内を探りながら、真相の追求よりはむしろいかにして警察の目をごまかすか、に腐心します。
 その合間に、フラッシュバックで男達それぞれの私生活が、次第に明らかに。
 知的で真面目な精神科医のクリス(ケーン・デ・ボーウ)は、妻とぎくしゃくしていて、自殺してしまった元患者の姉で市長の愛人のアン・マライ(ヴェルル・バーテンス)に強く惹かれます。父親違いのその弟フィリップ(マティアス・スクナールツ)は、薬に溺れるアウトロー。水も滴るいい男なのが功を奏して、大資本家の娘と結婚し、義父の会社に就職しますが、素行は改まりません。
 ブルーノとマルニクス(酒飲みで下品、でもお人好し)は、ヴィンセントのドイツ出張旅行に同行し、高級ホテルで若い女性サラと知り合います。その夜、酔った勢いでマルニクスは一夜の浮気を経験し、それが彼の結婚生活を脅かす結果となるし、サラと関係を持ったヴィンセントは、同じ夜、フィリップの義父が愛人と同宿しているのを目撃。口止めに大きな建築計画の設計を任してもらう口約束を取り付けるのですが。。

 ロフトの遺体発見から、警察の取り調べに画面が飛ぶので、観客としては、必死にロフトの遺体を隠す相談をする男達が、いかにして警察に行く羽目になるのかを思い巡らしながら、フラッシュバックの描く5人の性格や素行を追う事になります。
 男達の友情の証だったモダンな隠れ家が、一夜にしてとんでもない重荷となり、互いが疑心暗鬼になって、過去の行動を探り合う過程に画面に釘付けです。 
 意外性とどんでん返し。これは文句なしに凝ったもので面白いのですが、その反面、殺人に至った過程や、それぞれの心理描写の希薄さに物足りなさも。
 精神科医クリス役のケーン・デ・ボーウは、ベルギーで大人気の俳優さんだそうですが、さもありなん、とても味があって、魅力的です。不良の弟フィリップ役のマティアス・スクナールツはイタリア系でしょうね。ぞくっとするほどセクシーなハンサム、この二人の作品をもっと観たいものです。
 しかし、この映画を観る限り、結婚生活も不倫もフランスとフラマン圏では全然温度が違うという感じ。いい加減さにはうんざりさせられても、やっぱり私には明るくコミカルなラテン系の方が肌に合うかも、と思わされる作品でした。
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by cheznono | 2009-12-15 01:33 | 映画