誤認逮捕の顛末

b0041912_17397.jpg バンジーが警察に捕まったらしい、と大家さんから聞いた時、「おお、ついに?」と思った私。なぜなら、彼は敷地内のガーデニング用品やガレージに置かれた資材などを無断拝借することで知られ、バンジーが通ると物が消えると囁かれていたのです。
 私の予約していたアパルトマンを昨年末に不法占拠した輩を手引きしたのも、実はバンジーではないかと疑われていました。
 ハンガリー人の平均月収は約500ユーロ(約62500円)と言われ、フランス人の平均の三分の一以下、加えて経済危機が追い打ちをかけているので、ニースにもハンガリーを初め東欧からの流入者が目立ちます。
 フランスに出稼ぎに来て2年余りになる23歳のバンジー君もその一人。ちょっとモラルには欠ける彼だけど、まさか他所で悪さするとは思えないのに、警察に捕まったとは!?
 そんなバンジー君ですが、飼い主に虐待されていた大型犬ロットワイラーを自分で引き取ったり、ネズミ獲り用に飼った子猫を溺愛するような優しい心の持ち主でもあるのです。

 しかし、よく聞いてみたら、バス停にいたバンジーの年格好が押し込み強盗未遂犯に似ていたというだけで、彼が警察にしょっぴかれたことが判明。まずいことにバンジー君はまだ仏語がイマイチのため、警察官とのやり取りもツーカーとは行かなかった模様です。
 しかも、警察に通報したヴィラのマダムにバンジーを見せたところ、「そう、この人だと思うわ!うちに押し入ろうとしたのは」と証言したため、ニース警察は気合を入れてバンジーを取り調べたのでした。バンジー、ピンチです。
 たまたま身分証明書を携帯していなかっただけで、なぜ自分が強盗未遂犯に仕立てられているのか、全く事情が飲み込めないまま、署で質問攻め合ったバンジー君、「殴られこそしなかったけど、警官の取り調べ方はものすごく乱暴だった!僕の携帯電話も床に叩きつけられたし」と後でぼやいていました。

 そして、家宅捜査状もないのに、警察官は彼の住まいを強制捜査。身分証明書は無事出て来たものの、身に覚えのない罪を被せられたバンジー君、強制捜査には内心ヒヤヒヤだったとか。  
 というのは、彼は夜勤が多くて不眠症ぎみのため、睡眠導入剤の代わりに寝る前にマリファナを吸う習慣があったというのです。フランスではマリファナは簡単に手が入るため、吸っている若者は多いようですが、非合法には違いありません。
 不幸中の幸いか、警察はベッド脇のマリファナには目もくれず、盗難品らしき物も発見できずに虚しく家宅捜査を終了。またバンジーを連れて署に戻った所に、くだんのマダムの夫から電話が入り、強盗未遂犯の仏語には訛りがなくて、バンジー君ではあり得ないことが判明しました。

 捕まってから半日後、晴れて無罪放免となったバンジー君。もちろん、ニース警察からは謝罪のひと言もありませんでした。やれやれ。
 それを聞いた大家さん、「なぜバンジーは弁護士を立てると言わなかったのかな?家宅捜査状もなしに自宅の強制捜査なんて、警察権力の横暴だよ。しかし、君も身分証明書は携帯してないとダメだよ、何があるかわからないからね」と私も釘を刺されました。

 何ともお粗末なニース警察の誤認逮捕劇。でも、現大統領になってからの外国人労働者の締め付けは厳しくなるばかり。日本人旅行者だから平気、と思っていても、日本人のフランス滞在は3ヶ月以内ならヴィザ不要であることを知っている警察官は稀というのが現状です。
 なので、フランス滞在中はやはりパスポートを常に身につけていた方が無難かも知れません。因みに隣のイタリアは、あまりにスリが多いので、パスポートのコピーがあればOKと聞いています。
[PR]
by cheznono | 2010-03-16 01:17 | 不思議の国フランス