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ロベルト・アラーニャの魅力−2

ロベルト・アラーニャの魅力−2_b0041912_23371089.jpg ロベルト・アラーニャは、シラク前大統領の時のパリ祭でフランス国歌ラ・マルセイエーズを歌い上げたことで国民にその存在を大きく印象づけ、とかく下に見られがちだった「イタリア移民の子」としてではなくまぎれもない「フランス人」として認められたと言われます。その後2008年には、大統領から授かる騎士勲章のレジョン・ドヌール、シュバリエ(5等級目)を授章。
 その人気の秘密は、彼の気さくで飾らない性格とイタリア的な陽気さにありそうです。「僕はロマンティストなんだよ。女性を誘惑するのも好きだし」といたずらっぽく笑うアラーニャは、女性の外見より声と視線に弱いとか。
 頭をリフレッシュするために料理も大好きで、オリジナル料理を創作するのが得意という一面も。

 そして、アラーニャの強みはイタリア系らしく、オペラやコンサート活動が全てファミリービジネスで成り立っているところでしょう。
 オペラの作曲や構成を引き受けている10歳年下の弟ダビッドを初め、家族や親戚がアラーニャの音楽活動に関わっていて、互いに信頼しながら仕事をしているから、今の自分があると語るアラーニャ。とりわけ家族の絆が強いシシリア系ということに加え、そもそも芸術の才能に恵まれた一家らしく、石工のお父さんは、パリのヴォージュ広場やエリゼ宮の修復にも大きく貢献したそうです。
ロベルト・アラーニャの魅力−2_b0041912_23382611.jpg しかし、アラーニャの成功は家族で勝ち取ったものとはいえ、ロベルト自身の私生活は波乱続きでした。最初の奥さんとは死別し、残された一人娘も夭逝。
 何度も共演した二人目の妻でソプラノ歌手のアンジェラ・ゲオルギューからは、すれ違い生活を理由に12年の結婚生活の清算を要求されるし、2006年暮れのミラノスカラ座のアイーダ公演では、客席から口笛でやじられたために怒って退場。スカラ座でやじられた有名歌手は少なくないけれど、公演途中での舞台放棄は前代未聞だったため、大きなスキャンダルとなり、以来、アラーニャはスカラ座へ出入り禁止となってしまいます。
   
 半世紀足らずの人生で成功も地獄も味わい、人一倍の苦楽を経験して来た今、アラーニャはそれでも常にポジティブ。辛いことがあっても人前ではいつも陽気で人当たり良く、「僕の役目は、僕の歌を聴いた人が、日頃のうさや悩みをその間だけでも忘れることだよ」と語る穏やかな表情が印象的です。
 ロベルト・アラーニャは、これからますますその甘くかつ力強い声で、幅広い音楽の分野で私たちに元気を与えてくれることでしょう。
by cheznono | 2010-04-21 23:20 | いつもの暮らし