ブルーバレンタイン

b0041912_013248.jpg 観るのがイタい映画だけど間違いなく傑作、という評をあちこちで目にしたので、期待して観に行った「ブルーバレンタイン」。傑作かどうか私にはわかりませんでしたが、生々しく痛々しい映画でした。
 たった24時間の間に溝が広がり、修復がつかなくなる夫婦の確執を、二人が出会った頃の恋のきらめきシーンを挿入しながら、リアルに描いて行く手法で、二人の関係の光と陰のコントラストを浮き彫りにします。愛し合っていても、価値観が異なる相手と共に暮らし、共に人生を歩んで行くのはかくも難しいと見せつけられる点は、確かにイタいかも。 

 ディーン(ライアン・ゴズリング)とシンディ(ミシェル・ウィリアムズ)は結婚7年目。7歳の娘フランキーを育てながら、看護師として多忙な日々を送るシンディに対し、夫のディーンは朝からビールを片手にペンキ塗りの仕事をして、日銭を稼ぐ毎日。
 上昇志向があり現実的なシンディは、娘には良い父親でも、夢をなくし、のんべんだらりとその日暮らしの仕事に甘んじている夫に不満を募らせています。
 一方ディーンは、最低限のお金を稼ぎ、妻と娘とのんびり幸せに暮らせれば良いというタイプで、イクメンであり、主夫に近いような存在。仕事に骨身を削り、自分を顧みなくなったシンディとの関係をリフレッシュすべく、妻をラブホテルに誘うのですが。。
 二人の出会いは7年前、シンディは医学部の学生で、将来を嘱望されていましたが、軽い気持ちでつき合った身勝手な恋人ボビーの子供を身籠ってしまいます。
 その頃ディーンは、引っ越しのアルバイト中に見かけたシンディに一目惚れ。自分を喜ばせようと一生懸命で陽気なディーンにシンディも惹かれて行き、あっという間に恋仲に。
 シンディに夢中になったディーンは、ボビーの子供と思われる赤ちゃんを宿したシンディにプロポーズして、めでたく結婚。ひっそりと式を挙げた二人の顔は輝いていました。
 さて、ラブホテル行きを渋るシンディを強引に誘ったディーンでしたが、妻がスーパーで偶然ボビーと再会したと知ると、いっきに不機嫌となり、それをきっかけに夫婦の会話はエスカレートして行きます。

 一緒に観た友達は「あんなどうしようもない夫だったら、捨てたくなるよね」と一刀両断にしていましたが、私はディーンが女性でシンディが男性だったら、ありがちな夫婦としてうまくし行ったのではないかと思いました。
 医学生だったシンディと学歴のないディーン。不釣り合いな結婚という劣等感を抱えた夫と、他の男の子供を我が子のように愛する夫に引け目を感じる妻。二人はそれぞれ生い立ちにも家庭的な問題を抱えていて、愛情に飢えていた若い日々。その意味では、優しく愛情深いディーンは、シンディにとって救いの神だった筈なのに。。
 歯車が狂い始めたカップルの行く末は、やっぱり子供の気持ちが犠牲になることで区切りがつくというのが、やるせないです。
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by cheznono | 2011-05-09 00:02 | 映画