人生、ここにあり!

b0041912_23394833.jpg 話題になっているイタリア映画をちょこっと観て来ようと銀座に行ったら、予想よりずっと混んでいたので驚きました。30分前に着いたのに、もうあまり席が残っていなかったとはさすがレディースデイ、というか、この映画の魅力が口コミで広がったためでしょう。
 本国イタリアでは大ヒットしたという2008年作の「人生、ここにあり!」。だのに、なぜかフランスでは劇場公開されなかった作品です。

 1983年のミラノ、労組の旗手だったネッロ(クラウディオ・ビジオ)ですが、その熱心さを煙たがられて左遷されてしまいます。ネッロの異動先は、閉鎖された精神病院の元患者達のための協同組合でした。

 当時イタリアではその5年前に導入されたバザリア法によって精神病院の廃止に踏み切り、患者達を社会に溶け込ませようという試みが始まっていました。とはいえ、症状の程度や家庭の事情などから、元患者を全員家族の元に戻すわけにも行かず、自立することもできない患者達は、病院付属の協同組合で暮らし、単純な切手はりの仕事を与えられていたのです。

 統合失調症や誇大妄想などの精神疾患を抱える個性的なメンバーを前に、ネッロは彼らを特別扱いせず、台頭に向き合おうとします。
 「俺たちはイカレているけどバカじゃない」という彼らに生き甲斐を持たせるには、まずやりがいのある仕事を、と尽力したネッロの期待通り、元患者達は寄木細工のフローリングに才能を発揮。紆余曲折を経て、お店や住宅の床リフォームの仕事が舞い込んで来るように。
 しかし、ネッロが協同組合付きの精神科医に懇願して、元患者達に処方されている強い薬の量を減らして貰った結果、これまで薬でおさえられていた彼らのリピドーが活発になり、やがて予期せぬ事態へとつながって行くのでした。

 コメディが得意なジュリオ・マンフレドニア監督によるタブーの映画化だけあって、重いテーマを扱ってもユーモアがあちこちに。しかも、実話を元にした作品というから、イタリアの懐の深さを感じさせられます。
 何より、ネッロの元患者達を尊重して社会復帰を後押しする姿勢が、生来の温かな人間性に裏打ちされていて、とても感心させられました。
 今から、28年も前のイタリアが舞台なのに、あまり時代の違いが感じられず、イタリア現代社会を描いているかのよう。でもこの頃は日本のファッション業界も上り調子で、既に日本モード界はイタリアの上客だったのですね。
 やればできる!偏見や思い込みに縛られず、前へ踏み出してみよう、というメッセージが心地良く伝わって来る作品です。
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by cheznono | 2011-08-05 23:41 | 映画