この愛のために撃て

b0041912_22404565.jpg 『すべて彼女のために」で華々しいデビューを飾ったフレッド・カヴァイエ監督による2作目「この愛のために撃て」。手に汗を握るサスペンス度にますます磨きがかかって、ラストまで緊張感が途切れません。
 なのに、なぜこんなに面白い映画ががら空きなのでしょう?公開されたばかりのレディースデイだったのに、まるでニースの映画館のように人影がまばら。なんてもったいない。35℃の東京から一瞬にして21℃のパリに連れて行ってくれる作品で、主人公と共に息もつかせぬ85分間が過ごせること受け合いです。

 パリの病院で看護助手を務めるサミュエル(ジル・ルルーシュ)は、臨月の妻ナディア(エレナ・アナヤ)を心から気遣う優しい夫。しかし、夜勤の晩、交通事故で重傷を負った患者サルテ(ロシュディ・ゼム)のベッドから逃げ出す怪しい男を目撃したことから、命がけの逃走劇に巻き込まれることに。
 明け方、アパルトマンに押し入った何者かが帰宅したサミュエルの目の前で身重の妻を誘拐。3時間以内に患者サルテを病院から連れ出して、自分たちに引き渡すよう要求されたサミュエルは、人質となった妻を取り戻すべく、知恵をしぼります。
 実はサルテは指名手配中の強盗犯で、入院中も警察の管理下にありました。それでも何とかサルテを病院から連れ出したサミュエルですが、お陰でサルテ脱走の共犯として警察に追われる身となってしまいます。
 一刻も早く妻を救出に行きたいサミュエルに傷の手当をさせるべく、自分の隠れ家に寄ったサルテに早くもパリ警察殺人捜査課の手が。警察の素早い動きには、前夜殺された富豪と何か関連があるらしいと気づいたサルテは、自分をはめた陰謀の裏側にある警察チームの汚職を知って、愕然とします。
 しかし、自分たちの悪行を知られた警察チームは、必死の追跡劇でサルテとサミュエルを追い詰めるのでした。

 警察の執拗な追跡を交わしながら、何が何でも妻を救うべく、パリ中を駆け回るサミュエル。特にメトロの地下通路内での逃走劇が圧巻です。ハリウッドアクションを意識した作りとはいえ、アメリカ映画のような現実離れがないのもさすが。
 サルテに応援を頼まれた裏社会の大物が、警察を混乱させるために使う手口もユニーク。
 脚本の完成度はもちろんのこと、複雑な話の展開を見事にさばいた演出とカメラワークにも脱帽しました。中身の濃い現代版フレンチノワール、お勧めです。
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by cheznono | 2011-08-12 22:42 | 映画