マーガレットと素敵な何か

b0041912_17291862.jpg やっと観ました、ソフィー・マルソー主演の「マーガレットと素敵な何か」。マザー・グースから採った甘ったるいキャッチコピーにはひるみましたが、さすが「世界で一番不運で幸せな私」のヤン・サミュエル監督、ひねりの利いた不思議な魅力のある映画で、男性にもお勧めです。
 しかし、この邦題は何とかならなかったのでしょうか?こんな題をつけられたら、ソフィー・マルソーファンの男性陣は観に行きにくいでしょうし、そもそもクールでかっこよい自分になりたくて、英語名マーガレットを使って来たヒロインが、本名のマルグリットに戻って行く過程を描いているのだから、原題の「物心つく頃」の方が平凡でも良かったと思うのに。
 
 マーガレットは、アレバを思わせる原子力産業でトップの座を狙うほどの切れ者キャリアウーマン。お金と出世が優先の人生ですが、プライベートでは英国人の同僚マルコム(マートン・コーカス)と結婚目前。
 40歳の誕生日、原子力プラントを中国に売る交渉に没頭するマーガレットの元に、生まれ故郷のプロヴァンスから公証人(ミシェル・デュショーソワ)が訪ねて来ます。
 既に引退した公証人が携えたのは、マーガレットが7歳の時に未来の自分に宛てた手紙でした。
 少女マルグリットが、幼いながらあらゆる工夫を凝らして綴った手紙と同封の古い写真に、手紙も公証人の存在も忘れていたマーガレットはひどく動揺します。
 物心つく頃、家が破産し、父親が出て行ったため、残された母と弟と共に食べ物にも困るような貧しい生活を余儀なくされたという辛い記憶がいっきに蘇る一方で、女の子らしい将来を夢見たり、幼なじみと過ごした甘酸っぱい思い出がマーガレットの胸を去来し、肝心な商談さえもうわの空に。
 遠い昔、いつの間にか少女マルグリットの目標は、勉強を頑張って、仕事で成功することとなり、そのために過去を封印し、名前も英語名に変えて突っ走ってきた筈だったのですが。。

 自分が本当にしたかったことは、鉄の意志で原子力発電プラントを世界中に売りまくることだったのか?次々に届く7歳の自分からの手紙に、仕事と出世レースに追われ、心の潤いをなくしていたマーガレットは、今の自分を否定したくない反面、その胸中に現状に対する強い疑問が生じ始めます。
 この辺りの心の葛藤と変化を、幼なじみとの初恋のエピソードを交えながら、テンポ良くユニークに描きつつ、ほろりとさせられる演出がにくいです。

 マーガレットからひどい言葉をぶつけられ、何度拒否されても、子供の頃の彼女の純粋な気持ちを知っているから平気と言わんばかりに余裕の包容力で、マーガレットの存在を肯定し、その生き方の修正を暗に促す元公証人役のミシェル・デュショーソワが秀逸。
 因みにマーガレットの故郷で、隠居の公証人がペタンクを楽しむプロヴァンスのソー村は、ラベンダー畑で知られ、8月にはラベンダー騎士団によるお祭りで賑わいます。
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by cheznono | 2011-12-06 17:39 | 映画