ドライブ

b0041912_136527.jpg「別離」「アーティスト」「少年と自転車」など、昨年フランスで高く評価された映画が目白押しですが、まずは早春にフランスメディアが絶賛した「ドライブ」から。
 確かにハリウッド映画とは異なり、どちらかと言えばフレンチノアールに通ずるものが感じられるハードボイルド系サスペンスで、懐かしきウィリアム・アイリッシュの世界を彷彿とさせるような作品ですが、原作はジェームス・サリスの同名小説とか。そして、カンヌ国際映画祭で監督賞を受賞したのは、デンマーク出身のN・W・レフン監督です。

昼間は自動車修理工場で働く一方で映画のカーアクションのスタントマンを務める孤独な天才的ドライバー(ライアン・ゴズリング)。時に彼は、夜中に強盗犯の逃走を助ける仕事も引き受けています。その場合、彼の役目は強盗犯を車に乗せて疾走するだけ。自分の手を犯罪に染めることはありませんでした。
ある日、同じアパルトマンに暮らす子連れのアイリーン(キャリー・マリガン)と知り合い、どこか陰のある彼女に惹かれます。互いに無口で不器用ながら、徐々に距離を縮める二人でしたが、服役中だったアイリーンの夫スタンダード(何という名前!)が出所してきたことで、これまで極力 他人と深くかかわらずに生きて来たドライバーの人生が大きく変わることに。
実はスタンダードはアイリーンにも内緒で多額の借金を抱えていて、それを種にマフィアの手下に脅され、質屋を襲うよう強要されます。逆らえば妻子に危害が及ぶことを恐れるスタンダードを見かねたドライバー、アイリーン親子を守りたい思いと相まって、質屋強盗の際の逃走援助を買って出ます。
 しかし当日、事態は思わぬ方向に転がり、ドライバーはスタンダードがマフィアにはめられたことに気がつくのですが。。

 ライアン・ゴズリング扮するドライバーのキャラクターが特異で、それがいっそうアイリーンへの純愛を切ないものにしています。寡黙なドライバーがどう育ち、どこから来たのか誰も知らず、映画も彼の背景を全く語りません。明白なのは、彼が天才的な運転技術と修理のテクニックを持っているということだけ。

 強盗犯の逃走の助っ人はしても、決して犯罪自体にはかかわらないで来たドライバーが後半、アイリーン母子を守るためには凶暴は暴力も厭わなくなる変化には目を見張ります。
 その反面、アイリーンに見せる繊細な心遣い。孤独でデリケートな心と、隠れた凶暴性。人間の二面性のコントラストが強烈な印象を残します。
 残酷なシーンに目を覆う場面もありますが、不思議な魅力を放つ作品でした。
 ドライブ公式サイト:http://drive-movie.jp/
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by cheznono | 2012-04-15 01:35 | 映画