華麗なるギャツビー

b0041912_23393861.jpg 今週は遅ればせながらディカプリオ版ギャツビーについて。
 その昔、レッドフォード+ミア・ファロー版の「華麗なるギャツビー」には強い影響を受け、スコット・フィッツジェラルドに惚れ込むきっかけとなりました。ウッディ・アレンの「ミッドナイト・イン・パリ」でパリに集った1920年代のロストジェネレーションの面々をかいま見た時も、真っ先に思い出したのはレッドフォード版ギャツビーでしたし。

 さて、覚悟はしていたけれど「ムーラン・ルージュ」のバズ・ラーマン監督のデュカプリオ版は予想以上にエンターテイメントに徹していたため、上映時間が合わず3Dで観なかったことを後悔する結果に。
 ディカプリオのギャツビーは、凶暴性を秘めた孤独な成り上がり者が忘れ得ぬ女性への恋情に身を焦がすという複雑なキャラクターをうまく自分のものにしていて、レッドフォード版よりも現実味が感じられます。しばし猛暑を忘れて、古き良きアメリカンドリームの絶頂と破滅とをディカプリオの演技に観るのは悪くないかも知れません。

 過熱気味のウォール街に職を得て、ロングアイランドの小さな家に落ち着いたニック(トビー・マグワイア)が、隣の豪邸(城?)で夜な夜な大パーティを催す謎の大富豪ギャツビーに興味を持ちます。

 ある日、ギャツビーから正式にパーティに招待されたニックは、ギャツビーの真の目的が対岸に暮らすニックの従姉デイジー(キャリー・マリガン)との再会にあると知って驚きます。
 5年前、貧しい軍人だったギャツビーは、ブルジョワ家庭の令嬢デイジーと愛し合ったものの、お金のないギャツビーにとって富豪の娘は所詮高嶺の花。従軍したギャツビーはそのまま行方知らずに。
 戦場から帰らぬギャツビーを諦めたデイジーは金持ちの実業家トム・ブキャナンと結婚し、一人娘を授かります。

 5年後、怪しげな手法で巨万の富を築いたギャツビーは、人妻となったデイジーと二人が失った過去を取り戻すべく、金に糸目をつけずにデイジーの気を惹こうと躍起になります。
 愛は再燃し、逢瀬を楽しむ二人でしたが、夫の浮気に失望しているはずのデイジーなのに、いざとなると煮え切りません。自分の描いた理想の女性をデイジーに投影するギャツビーは、そんなデイジーの迷いが理解できず、その思い込みの強さがやがて悲劇を呼び込むことに。。

 本作はしきりにメロドラマとして紹介されていますが、私には甘さや切なさよりも大げさなシーンやコメディ度が目についてしまって。。第一、文学の香りはどこに行ってしまったのでしょう?

 富裕層と労働者階級との恐るべき格差やマネー至上主義が行き着いた先にもたらされる崩壊も、徹底した娯楽性の陰に印象が薄まってしまっているのも残念。
とはいえ、栄光を手に入れた野心家が愛する女性の本質を見ようとするどころか、その幻に思い入れたあまり、破滅へと突き進んでしまう姿を体現したディカプリオは一見の価値があります。

 個人的にはやっぱりレッドフォード版がお勧め。文学性もメロドラマ度もノスタルジー度も遥かにこちらに軍配があがると思えるのです。

 余談ですが、パリ7区、エッフェル塔の近くにあるバー・レストラン「ル・ギャツビー」は、ジョナサン(ジョナタン)・ザッカイ(「真夜中のピアニスト」や「マーガレットの素敵な何か」に出演)もお気に入りという1920年代のシックな雰囲気を再現した人気のお店。一度行ってみたいと願いつつ、未だ機会がありません。多分、来年こそ。。
Le Gatsby:64,avenue Bosquet, Paris
[PR]
by cheznono | 2013-07-15 23:44 | 映画