大統領の料理人

b0041912_22394613.jpg 観てからだいぶ経ってしまいましたが、舌鼓を打つ映画として鳴り物入りで公開されている「大統領の料理人」、エスプリの利いた会話にエリゼ宮と南極という両極端な舞台の対比が興味深い作品です 。

 今から20年前、突如ミッテラン大統領のプライベートシェフに抜擢された実在の女性がモデル。マッチョで上下関係にうるさいエリゼ宮の厨房で初めての女性シェフとして奮闘した2年間と、その後(実際には10年後)ニュージーランドでトリュフを栽培するための資金を稼ぐために南極調査隊の料理人として活躍する様子が交互に描かれます。

 ペリゴール地方で地産地消のレストランを経営しながら郷土料理を教えていたオルスタンス・ラボリ(カトリーヌ・フロ)は、ある日エリゼ宮に呼ばれ、大統領(ジャン・ドルメッソン:今年88歳!) のプライベートシェフに任命されます。知らぬ間にジョエル・ロブションから推薦されていたのです。

 初日から始まった保守的な官邸シェフ達との打々発止。同僚たちの好奇と嫉妬を持ち前の機知とバイタリティでかわしながら、オルスタンスは料理のセンスで大統領の舌を魅了します。
 シンプルで家庭的な料理を期待する大統領の思いを知り、さらに張り切って美味しい料理を生み出すオルスタンスですが、やがて、昼も夜もエリゼ宮中心の生活に疲れて行き。。。

 地元であろうがエリゼ宮であろうが、南極であろうが、食材に魔法をかけたように美味しい料理を作り出すオルスタンスをカトリーヌ・フロが生き生きと演じていて、観ていて気持ちが良いです。
 子供の頃にレシピ本を暗記したほど食通の大統領と、食材の生かし方を知り尽くしているオルスタンスとの知的な会話のやり取りにもうならされます。

 新鮮なトリュフを求めて地元ペリゴール(ボルドーのそば)とパリを往復するオルスタンスが、公費の無駄遣いでは?と批判されるシーンには、たいした切符代でもないのにと一瞬首を傾げましたが、確かに彼女は大統領のプライベートシェフに過ぎないわけで、公的な場ではなく、大統領個人の楽しみや親戚友人との私的なパーティ料理のために多額の税金が使われるのは、納税者であるフランス国民にとって面白い筈がありません。

 もっとも、ミッテラン大統領は一時スイスにいた愛人を訪ねるため、大統領機を使いガードマンを引き連れて通ったけれど、当時のマスコミは何も言わなかったとか。大統領の私生活は見ざる聴かざる言わざるが不文律だったフランス、為政者の税金の使い方にも意外に寛容な点は、革命前からあまり変わっていないのかも。
 ちなみに大統領の私生活にはノータッチの不文律は、前サルコジ大統領が自ら破ってマスコミを賑わせたので、フランスも英米並みに政治家の私的スキャンダル報道に揺れる国になるのかと大いに話題となりました。
公式サイト: http://daitouryo-chef.gaga.ne.jp/
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by cheznono | 2013-10-14 22:41 | 映画