ルノワール 陽だまりの裸婦

b0041912_193646.jpg あまり期待しないで観たのですが、さすがFrance2の制作、なかなかの佳作でした。今もカーニュ・シュル・メールに残るルノワールのアトリエ:レ・コレットのオリーブ林やユーカリの下の陽だまりの中にいるような2時間弱が過ごせます。

 1915年、カーニュ(ニースのほぼ隣町)。リューマチに苦しむルノワール(ミシェル・ブーケ)は20歳年下の妻を亡くしたばかり。かつては絵のモデルも務めた使用人の女性達にかしずかれ、車椅子で体中が痛む毎日でも絵筆を手放しません。
 お気に入りのモデル兼乳母だったガブリエルは亡妻が追払ってしまい、第一次世界大戦に従軍中の二人の息子は、それぞれ負傷したという知らせが。 

 そんな折り、若い娘アンドレ(クリスタ・テレ)が訪ねて来ます。生意気ながら輝く肌を持つデデ(アンドレの愛称)が気に入ったルノワールは、彼女のヌードを描くことで、また生き生きと精力的に絵画制作にいそしむようになります。
 そこへ、足を負傷した次男のジャン(ヴァンサン・ロティエ)が療養のために帰還。挑発的なデデに刺激され、たちまち恋に落ちるのですが。。

 清濁合わせのみ、芸術の高い極みに達した画家とナイーブなジャンに対して、世の中を斜に見ているデデとまだ14歳の三男ココ(少年と自転車のトマ・ドレ)。デデとココの目に映るルノワールの性格も対照的です。
 
13歳で陶器の絵付け職人に弟子入りしたルノワールが晩年になっても「自分は絵の職人であって、芸術家ではない」と繰り返すのに対して、若さにまかせた自信で「私はアーティスト」と言い切る女優志願のデデ。
 偉大な画家は、彼女をモデルに晩年の傑作「欲女たち」を完成させます。
 一方、戦争の悲惨さに心身ともに傷ついたジャンは、夢も野心もない21歳。陽光降り注ぐ平和なコレットの庭でデデのヌードに魅了され、計算高さも感じさせる彼女に映画製作を勧められたことが、人生の方向を決めるきっかけとなり、後年ヌーヴェルヴァーグに大きな影響を与えた映画監督となります。デデと結婚して彼女の希望通り自分の作品の主演女優に起用しますが、やがて離婚へ。
 
 ルノワールの元には生涯に渡って若くて美しいモデルたちが出入りしたため、父子が同時に惹き付けられた女性はデデの前にもガブリエルを含めて何人か存在したようですね。

 実際の人生には辛いことや暗い面が多過ぎるのだから、せめて絵の中には美しく幸せな世界を表現したいという画家のポリシーが、地中海のエデンの園と言われるコレットの緑薫る風景に呼応して、映像の美しさはこの上ない作品です。
 なぜか映画館はレディースデイでもがら空きでしたけど。
公式サイト:http://renoir-movie.net/
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by cheznono | 2013-10-23 01:11 | 映画