ムード・インディゴ うたかたの日々

b0041912_184280.jpg  すごく楽しみにしていた映画「ムード・インディゴ」。ミリオンセラーとして知られる原作を書いたボリス・ヴィアンは、作家で詩人で音楽家でとマルチな才能を発揮しながら39歳でこの世を去った、フランスでは伝説的な人物ですが、恥ずかしながら私が知っていたのは、反戦歌「脱走兵”Le déserteur”」のみ。「ムード・インディゴ」の原作「うたかたの日々」が、日本で漫画化(岡崎京子作)されていることも知りませんでした。

 独身貴族というか高等遊民のような生活を送るコラン(ロマン・デュリス)は、 パーティで紹介された美女クロエ(オドレイ・トトウ)と一目で恋に落ち、夢のような日々を過ごします。
 コランの親友シック(ガド・エルマレ)とその恋人、コランのお抱え料理人ニコラ(オマール・シー)とその恋人たちと共にスケート場へ通い、パリの中心でシュールなデートを楽しみ、やがてコランとクロエは結婚へ。
 幸せいっぱいのコランは、お金のないシックも結婚できるようにと財産の3割近くをプレゼント。でも、シックは貰ったお金を心酔する哲学者ジャン=ソール・パルトルの著作蒐集のために使ってしまいます。

 新婚のクロエは、肺に蓮の花が咲くという奇病にかかってしまい、療養することに。胸の治療には多額の費用がかかるため、貯金を使い尽くしたコランは仕事を探します。
 報酬に引かれて非人間的な労働にも従事するコラン。しかし、クロエの病状は良くありません。シックも哲学者に入れ込むあまり、恋人とは結婚するどころか不協和音が生じて。。

 監督はミシェル・ゴンドリー。前半は、思い切りシュールでポエティックで楽しい画面が満載で、まるで魔術のように次々に創造性に満ちた映像が現れて、万華鏡のよう。
 幻想的な映像から、恋に夢中な若い二人の弾けるような高揚感が伝わって来て、観ていて幸せな気分になれます。

 甘い新婚生活からいっきに辛い現実に直面する後半、カラフルだった映像がモノトーンに変わり、愛妻を救うために不条理を受け入れざろう得ないコランと、哲学者信奉ゆえに自滅して行くシックの悲劇が描かれるのですが、いかんせん高速スピードでコミカルに進むあまり、事の重大さが薄められてしまった感が否めません。
 シュールで楽しい凝りに凝った映像にとらわれるあまり、深刻な展開が観る者にたいして響かないのは何とも残念だけど、大恋愛の思い出がコランの胸にそれは深く刻まれたであろうことは、切なくも美しく伝わって来る作品です。
「ムード・インディゴ」も「クロエ」もボリス・ヴィアンの愛したデューク・エリントンの同名曲から。「ルノワール」で好演した今注目の若手、ヴァンサン・ロティエが、ここでは一転してプラグマティックな神父を演じています。
公式サイト:http://moodindigo-movie.com/
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by cheznono | 2013-11-02 01:10 | 映画