レイ

b0041912_23532730.jpg レイ・チャールズの生涯を丹念に描いてフランスでも評判の映画レイを観て来ました。ジョージア・オン・マイ・マインドなどごく有名な曲しか知らない私でしたが、レイの多才さや黒人で盲目であるというハンデを乗り越えて世界中を魅了する音楽家になって行く姿に、芯から圧倒されてしまいました。同時にアメリカでの人種差別の根の深さと、やっと平等に漕ぎつけたのはまだ最近という事実にも改めて驚いた次第です。
 幼い頃、弟の事故死を目の前で見て救えなかった罪悪感がレイの一生のトラウマとなり、働きづめで過労死してしまう母親の記憶と共に常に彼につきまといますが、この辺りは「アビエーター」のハワード・ヒューズが異常な清潔感に捕われて精神的に参る一面と共通するものがあるように思いました。天才にはその天分に見合う位の分量の過酷な心理的重荷があって、それが彼らの創造力やキャパシティに並々ならぬエネルギーを与えるなどの影響を及ぼしているのでしょうか?
 それにしても、若くして過労で倒れるレイの母親の人生哲学には心を打たれます。戦後まだ間もない米国で単身で子持ちの貧しい黒人女性が、文字通り身を削るような生活の中で目の見えなくなってしまった息子が一人でも生きて行けるようと折りにつけ励ましと強さを説くシーンは毎回目が熱くなりました。満足な教育も受けられず身を粉にして働く一生で教養もない筈なのに、哲学書を何十冊積んでもかなわないような人生観と洞察力を障害のある息子に示した偉大な女性だと思います。見終わった後、レイ・チャールズのアルバムがほしくなる映画でした。
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by cheznono | 2005-03-17 00:53 | 映画