イタリア国境

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 イタリア国境の町ヴァンテミリアで毎週金曜に開かれるマルシェは安くて評判で掘り出し物が見つかるというので、気合いを入れて買出しに出かけました。ニースからローカル線で約45分。地中海沿いの海岸線をゴトゴト揺られ、レーニエ公の容態が心配されるモナコを過ぎた頃、同行のイギリス人2人がパスポートを忘れた!と青くなり、パスポートなしでは国境越えができないからマントンで降りようと言い出しました。まあまあ、多分入国検査はない筈だからとりあえず目的地まで行ってみようと提案した私はといえば、せっかくの往復キップを失くしたことに気づいて呆然。パスポートなしの2人とキップを失くした私という三人組みは、ドキドキしながら国境に到着したのでした。
 買出しに来た大勢の乗客達に混じって不安げに駅を降りたけど、厳しいという噂の税関もなく、すんなり外に出ることができて、万歳!胸をなぜおろして、やったあ、イタリアだ!って急に足取りも軽くマルシェに向かいました。
 果たして国境を越えての買出しは。。結論から言うと3人とも何一つ買えずに終わって、ちょっとがっかり。立ち並ぶマルシェのテント小屋では、それぞれ洋服からランジェリー、傘や靴、台所用品、食品と雑多に売られていて活気はあるのですが、どうもこれといった特長がない。アメ横やパリの下町やロンドン郊外に立つ生活品マーケットと同じような品がそれ程安くもなく売られているという印象で、特に手が出ません。それでもやっぱりイタリアだなって感じたのは、イタリアン・カフェのコーヒーメーカーが安くてサイズも豊富なのと、皮製品が手頃な値段で売られていたこと、そしてイタリア語。でもフランス語が楽に通じるし、町のたたずまいも南仏の村にそっくりです。ただし、きれいに修復して華やかなイメージで大量の観光客を呼ぶフランス側の町とは対照的に荒れ放題の旧市街の姿には胸が痛くなりました。手を加えていない分、より中世の面影をとどめているのに、豊かでない生活が古い家並みをまるで廃墟のように見せています。お金持ちや特権階級のみを優遇するようなベルルスコーニ政権のこれが現実なんだなと、弱者切捨てを目の当たりにした思いでした。行政が予算を出して、ちょっと手を加えて町を甦らせれば、素晴らしい鷹ノ巣村として観光客であふれそうなのに、今や産業は薄利多売のマルシェに頼るしかないのではと推測すると気の毒なくらいです。買出し転じて、イタリア国境でコートダジュールの影に触れるという意味深い体験となりました。
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by cheznono | 2005-03-27 08:04 | 不思議の国フランス