キングダム・オブ・ヘブン

b0041912_1171719.jpg 楽しみにしていた壮大な歴史大作、リドリースコット監督の「キングダム・オブ・ヘブン」、気合いを入れて観に行って来ました。
 12世紀の初め、突然フランスの鍛冶屋バリアン(オーランド・ブルーム)の前に父と名乗る十字軍の大物騎士ゴッドフリーが現れ、バリアンも成行きでエルサレムに旅立つことになります。父親の死後、エルサレム王と共にキリスト教徒とイスラム教徒とが共存できる理想の王国:キングダム・オブ・ヘブンを築きたいという父の遺志を継いで、聖地エルサレムに到着したバリアンは、エルサレム王の妹シビラと恋に落ち、やがて、フランス貴族達の蛮行によって休戦が破られたため、イスラム教徒との凄惨な戦いに巻き込まれて行く、という内容です。
 11世紀末、ローマ法王の命によってイスラム教徒から聖地エルサレムを奪還するため第1回十字軍が派遣され、エルサレムを攻略しましたが、その際、十字軍の兵士達はイスラム教徒の住民を7万人も虐殺。その後しばらくの間、キリスト教徒とイスラム教徒が共存していたけれども、イスラム勢力が盛り返したためにキリスト教徒が危機を感じてまた十字軍の結集を呼びかけ、という時代背景の中で、バリアンは民衆を守るため、イスラムの英雄的指導者サラディンの大軍相手にエルサレムを死守することを誓い、命をかけてろう城作戦を取るのですが、、
 「ロード・オブ・ザ・リング」ではなんて金髪の美しい青年だろうと思い、「トロイ」では兄王子のエリック・バナに比べなんて頼りなく軽率でかわいい弟と思ったオーランド・ブルームが、この映画では一変して陰のある十字軍の騎士を演じ、その精悍な姿にはうっとり、2時間半もそれ程長く感じませんでした。が、終わった後、特に何も残らなかったのが淋しかったです。
 異教徒を殺しても罪にはならないというキリスト教徒のご都合主義や、聖地奪回という名目の十字軍も実際は貧しさから一旗揚げたい兵士らが、エルサレムで富と権力に群がる貴族達に従っただけという図式は今の中東情勢への批判と受け取れるし、バランス感覚のある伝説のイスラム教指導者サラディンの描き方にも共感できます。でも、主人公のバリアンが鍛冶屋から英知と剣にたけた聡明なリーダーとなってゆく重要な過程が結構唐突で簡単過ぎて不自然な感じが否めないし、彼が「民衆を守るために」と決めた壮絶な戦闘も双方にこれだけの犠牲者を出しては何とも矛盾した論理ではないかと釈然としませんでした。戦闘シーンよりも異教徒との平和な共存を模索するという大テーマをもっと強く描いてほしかったです。
 王女シビラ役のエヴァ・グリーン、どこかで観たと思ったらベルトルッチ監督の「ドリーマーズ」のヒロインだったんですね。王女とバリアンとの恋は淡々としていて良かったです。
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by cheznono | 2005-05-27 01:26 | 映画