オーギュスタン恋々風塵

b0041912_23383040.jpg 売れない俳優のおとぼけオーギュスタンが、カンフーの達人になる決心をしてパリの中国人街に引越し、そこで出会った鍼灸師のマギー・チャンに恋心を抱き、雇い主とは一風変わった友情をはぐくんでゆく、、「恍惚」のアンヌ・フォンティーヌ監督の1999年の作品、「恋々風塵」を観ました。
 パリの一般社会では浮いていたオーギュスタンが、チャイナタウンに身を置いてカンフーを習い中華雑貨店で働きながら、一生懸命中国人に近づこうと張り切る姿は微笑ましいし、他人との接触恐怖症の彼に針治療を施すマギー・チャンに東洋の美を重ねてどんどん惹かれてゆくのも実際にありそうな設定です。西洋文化に失望したり、フランス社会に違和感を感じているフランス人の間では、中国や日本は憧れの対象で、神秘的な東洋の国というイメージは19世紀の印象派の時代から今も引き継がれています。
 望まない結婚から逃れてパリの親戚に身を寄せる鍼灸師(マギー・チャン)は中国を飛び出してから1年半、仏語がなんとか話せるようになったもののフランス人の友達もなかなかできず、パリではあくまで異邦人で孤独、人々は攻撃的だし差別もあるし淋しくてと訴える場面は、渋谷で観た私でも身につまされる思いがしました。きっとフランスにいる日本人の多くが一度は経験した感情ではないでしょうか?
 フランス人の空手や合気道、カンフーなどの武術の人気は高くて、男女を問わず習っている人も多く、針治療や指圧も流行しています。東洋人は不思議な奥行のある文化を持ち、穏やかな人々というイメージも定着している感じです。一方、パリには都会のストレスその他でささくれだった人が多いというのも事実で、パリ生活に疲れたフランス人が増えているのもよく話題に上ります。東洋へ憧れるフランス人とパリの孤独な中国人の思いが微妙にすれ違うペーソスを描いたこの作品がフランスでヒットしたのは当然かも知れません。この映画から5年経った去年はフランスにおける中国年で、国を挙げて中国に関するイベントが続きました。今やフランス中に中国人留学生があふれているし、何より中国はエアバスを20機も買ってくれる大事な経済パートナー。フランスと中国の関係はこれからますますホットになってゆくに違いありません。
公式サイト:http://www.wisepolicy.com/augustin_roi_du_kung-fu/
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by cheznono | 2005-07-06 01:34 | 映画