モディリアーニ

 最後は絵の具を買うお金にも困り、貧困と持病に苦しみながら早世したモディリアーニ。あまり期待しないで観た映画ですが、ハンサムだったというモディリアーニに面影の似たアンディ・ガルシアが悲運の画家の苦悩を好演、20世紀初めベル・エポックのモンパルナスの雰囲気も味わえて、とても見応えのある作品でした。
b0041912_21523923.jpg ユダヤ系イタリア人のモディリアーニは22才でパリに出て、エコール・ドゥ・パリの芸術家たちとしのぎを削り、彫刻と絵画の間でどちらに重点を置くかに悩み、酒と麻薬に溺れながら自分の目指す芸術を模索して行きます。イタリア人らしいラテン的な性格のモディは女性によくもて、カフェでも人気者。でもライバルのピカソは既に名声を思うままにしているのに、自分の絵はいっこうに売れず、幼児期からの肺結核の影にもおびえ、アルコールに助けを求める毎日。33歳の時に知り合った19歳の画学生ジャンヌと同棲し女の子を授かるのに、ユダヤ系の貧乏画家という理由でブルジョア階級のジャンヌの父親から猛反対され、ついには子供も取り上げられてしまいます。
 この作品はかなり事実をデフォルメしている部分があるようですが、モディとピカソとの屈折した友情と確執に重点を置いていて、その周りを囲むユトリロやコクトー、スーチンやキスリング、そして彼らを支援した作家スタイン夫人などとの交流を描いている点がとても興味深かったです。芸術家達が集った店ラ・ロトンドで、衆目の中ピカソをからかい、「なんでそんなに俺を嫌うんだ?!」と怒るピカソに、「嫌いなのは君じゃなくて自分自身だよ。」とつぶやくモディ。このシーンは、パリに惹かれ芸術を極めようという情熱に燃えて移住したフランスで、差別や貧困、病気、ライバルの大成功といった現実の重さと失意に身もだえしながら、独特の画風を貫いた天才のジレンマがよく出ていて、特に印象的でした。
 女性好きでアル中、ヤク中だったモディがいくら自堕落な生活をしても、必死で彼について行くジャンヌはモディの絵によく似ている女優さんでしたが、実際のジャンヌがモディより14歳年下の20歳そこそこだったのに対して貫禄があり過ぎでは?悲劇的な最後と遂げたモディの後を追うのも、彼女の若さが重要な要素だと思うので、モディと同世代に近く見える成熟した女性が彼を盲目的に慕う姿にはちょっと違和感を感じてしまいました。もっと二人の惹かれ合うわけや彼女の心の動きを盛り込んだ方が良かったのではないでしょうか。
[PR]
by cheznono | 2005-08-16 23:11 | 映画