輝ける青春

b0041912_15532497.jpg 6時間余りのイタリア映画「輝ける青春」、さすがに首はだるくなりましたが、夏の終わりを彩るにふさわしい感動的な作品でした。朝、開映1時間前から岩波ホールに集まって来た観客の意気込みと年齢層の高さに驚きつつ、さあ夕方まで楽しむぞぉと気合いを入れるうちに始まった物語は、今から40年前に遡ります。
 ローマのカラーティ家の父は実業家、母は小学校の先生、4人の子供達は判事になった姉と大学生の兄弟、そして小さい妹。この一家をめぐる37年間の流れを、66年にフィレンツェを襲った大洪水や赤い旅団における反政府テロなどのイタリア現代史を織り込みながら淡々と綴って行き、6時間超の上映が長いと感じさせられることなくお終いまで引き込まれ、ホールを出た後も目を赤くしたまましばらく現実に戻れない感じでした。
 イタリア南部の一家の物語と聞いた時は、もっとラテン色の強い家族の濃厚な絆を描いたドラマかなと想像していたのですが、その辺りはかなり予想と違いました。人当たりの良い医学生の兄ニコラと妥協することのできない性格の文学青年マッテオ。年子で仲の良いこの兄弟に軸を置き、弟が精神病院から連れ出した少女ジョージアと3人での逃避行に失敗したことから、二人の運命が決定的に別れて行きます。
 兵役後に警察官となりその繊細さゆえに常に苦悩していたマッテオと、それぞれの自由を尊重するがゆえに大切な人たちを失ってしまうニコラ。異なる人生観を持って全く別の道を歩む中でこの二人に関わる人々の人間模様や時代的背景を、事実だけを積み重ねるように自然に描いたシナリオの完成度にはシャポー(脱帽)という気持でいっぱい。随所にさりげなく現政治の批判を入れている所も興味深く、フランスではとかく腐敗と退廃や堕落の方が強調されがちなイタリア社会で、こんなにも皆んな真摯にまっすぐに人生に立ち向かっているという姿が力強く伝わって来る映画でした。
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by cheznono | 2005-08-31 17:52 | 映画