ある子供

b0041912_17495049.jpg 今年のカンヌ映画祭パルムドール賞を取ったベルギーのダルデンヌ兄弟の作品「ある子供」は、せつな的にその日暮らしをする若者たちの一面をリアルに描いているとフランス公開でも大好評でした。
 定職のない20歳のブリューノは窃盗などの軽犯罪を繰り返しながら日銭を稼いでいる毎日。恋人のソニアとはいつもじゃれ合い、本能で結びついたような間柄でしたが、二人の間にできた赤ん坊に対しては父親としての実感が湧かない様子。対して、ソニアの方は幼さを残しながらも母としての自覚が生まれ、ブリューノが真面目に働いて二人で子育てをして行くことを望んでいます。でも、目先のことしか頭にないブリューノはソニアに断りなく、幼児売買の組織に自分達の赤ちゃんを売り渡してしまいます。驚愕してショックのあまり倒れたソニアを病院に運んだブリューノは、その時点で初めて自分のした行為の罪深さに気づいて赤ん坊を取り戻しに行き、何とか無事にソニアに赤ちゃんを返すことができるのですが、彼女はもうブリューノと口も聞いてくれません。闇仲介の男達から身包みはがれたブリューノはソニアに無視され、無一文のため手下の少年とまたひったくりを企て、そして。。 
 崩壊家庭や若者の高い失業率、幼児売買の闇取引などベルギーの社会問題を背景に、将来への展望のない若者達のせつな的な日常を見ごとに切り取って見せたこの映画、無鉄砲にその日暮らしを送っていた主人公の姿にはどこか憎めないものがあります。もちろんフランスの社会事情とも共通するものがあるし、日本も含めて先進国の若年層が直面している現実に暗い気持になりながら、でもラストシーンに希望を見て意外にさわやかな気持で映画館を後にしました。
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by cheznono | 2005-12-23 18:22 | 映画