畏れ慄いて

b0041912_17515525.jpgベルギー出身でフランス在住の作家アメリー・ノートン。現在精力的に書きまくっているアメリーが作家を目指す前に、日本で経験した悲惨な会社生活を綴った「畏れ慄いて」は数年前に映画化され、フランス人にいくらお給料が良くても日本では働きたくないと思わせた大ヒット作品となりました。アメリーの描いたOL体験が極端過ぎたせいか、映画は日本公開されなかったようですが、今週アテネフランセの開催している「フランス現代映画への視線~横浜シネマテーク所蔵作品から」で上映されています。
 幼い頃、ベルギー大使の家族として日本に滞在した経験を持つアメリーは、日本語も達者で、幼児期に見た美しい日本への憧れを強く抱いて育ち、大学卒業後、夢にまで見た東京の大商社の契約社員として日本に戻って来ます。
 時はバブルの真っ只中。配属された部署で、29歳の美人上司マドモワゼル森の指導の下、これから自分の能力を思う存分発揮できると張り切っていたアメリーが直面した現実は、お茶くみやコピー取りの雑用。そして、憧れの上司マドモワゼル森によるイジメとも云えるような冷たいあしらい。一般事務に対する無能力さや日本企業への協調性に欠ける振る舞いがたたって、ついにアメリーはトイレ掃除係りに左遷されてしまいます。
 高卒後、一般職で就職した森嬢が勤続10年で総合職の上役になるまで、どれほど苦労して来たかとこんこんとアメリーに諭すシーンが印象的でしたが、映画の後で日本では29歳で独身の会社員でいることが本当にマズイことなのか?と何人もに聞かれてその度に大笑い。バブル時代にそんな発想があったという記憶はないので、この商社が特別だったのでしょう。
 森嬢の上の課長、その上の部長など、出てくる管理職は誰も極端でおかしな人ばかり。こんなに封建的で無駄の多い大企業が本当にあったのか大いに疑問ですが、日本企業で働く上での暗黙の掟のような約束事を全く知らされていなかったアメリーが、どんどん他の社員から浮き上がって行く姿がコミカルに描かれているこの作品、これが日本の会社員の現実と思われるのはかなり痛いものがありました。
 小説の方は邦訳も出ていて、噂では映画よりも辛口な内容だそうです。アメリー・ノートンは日本での忘れ難い幼児体験を綴った本も出していて、こちらは日本への愛着に満ちているらしいので、バランスは取れているのかも知れません。
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by cheznono | 2006-02-03 18:39 | 映画