オリバー・ツイスト

b0041912_23382712.jpg 大人から子供まで楽しめる作品としてフランスでもヒットした「オリバー・ツイスト」。圧倒的な感動作、「戦場のピアニスト」を送り出したローマン・ポランスキー監督だから、興味深々で観に行きました。
 救貧院を追い出された10歳の家なき子オリバー。奉公先でもいじめられ、着の身着のまま徒歩でロンドンにたどり着き、スリの手先に拾われます。スリ仲間の巣窟には年老いた往年の大泥棒フェイギンがいて、孤児たちをプロのスリへと教育しては戦利品をせしめていました。新入りのオリバーもスリの見習いと目されますが、初めて実施訓練に出た日、逃げ遅れた彼だけが警察に捕まってしまいます。でも、子供たちのスリの被害にあった紳士に救われ、オリバーは夢のようなお屋敷に連れて行かれるのですが。。
 19世紀のロンドンの下町はまるで百鬼夜行の世界。木組みの美しい家並みと対照的な路上の雑然とした雰囲気が見事に再現されていて、ヴィクトリア時代のロンドンが忠実によみがえったかのような映像が印象的です。街並みは変わっても、行く当てのない孤児や家出娘に目をつけ、男の子はスリに女の子は娼婦にと育て上げ、上前をはねるズルイ大人の姿は、時代を経ても本質的には変わっていないのかも知れません。
 かつて、サッチャー元首相が「ヴィクトリア朝の美しい価値観こそ現代に欠けている、ヴィクトリアンの美点を復活させるべき。」と提唱し、あの時代の身分制度の強さや貧富の差の激しさ、救貧院の悲惨な現実を無視していると批判されましたが、彼女はこういう映画を観てどう思うのでしょう?今また貧富の差がかなり開き始めていると言われる先進各国ですが、こういう社会の底辺を見て見ぬふりをする政治家を作らぬよう有権者も努力が必要だと、映画の後で妙な気持ちになりました。もしかして、ポランスキー監督の伝えたかったこともそこにあるのでしょうか?
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by cheznono | 2006-03-05 00:48 | 映画