灯台守の恋

b0041912_16335489.jpg すごく観たかったのに見逃してしまった「灯台守の恋」と「理想の女」の2本立てを飯田橋ギンレイでやっていたので、昨日滑り込みセーフで観て来ました。かつて場末の名画座というイメージだったギンレイホールもすっかりきれいになっていて、しかも大入り。1万円で年間会員になれば映画が観放題なるため、会員パスポートを利用している人も多いようでした。今は数少なくなってしまった名画座ですが、ホームシアターの流行に負けず、これからもずっと良い映画を上映し続けてほしいものです。
 1963年、ブルターニュ地方ブレストの沖にあるウェッサン島に、新米の灯台守としてアントワーヌがやって来ます。泥沼化したアルジェリアの独立戦争で心と手に深い傷を追って帰還したアントワーヌは、財務局や郵便局といった事務職のオファーを断って、気候の荒い辺境の地で過酷な仕事につくことを選んだのでした。
 ベテラン灯台守のイヴォンとその妻マベの家庭に迎えられたアントワーヌは、よそ者の素人灯台守として閉鎖的な島の仲間たちから拒絶されます。それでも、懸命に灯台守になり切ろうと努力するアントワーヌ。粗野な島の男たちとは明らかに肌色の違う柔らかい物腰の彼は、島の女性たちからは歓迎され、瞬く間にイヴォンの妻マベと惹かれ合うようになります。
 初めはアントワーヌをよそ者扱いしていたイヴォンも、共に荒海の中の灯台で働くうちに不思議な友情を感じるようになり、彼を仲間として受け入れようとしますが、革命記念日のお祭りの日、海岸で花火のあがる中、アントワーヌとマベはついに結ばれてしまい、それまで何とか自分の気持ちを抑えていた二人は更に苦しむことになって。。
 「ボン・ボヤージュ」で新鮮な演技を見せてくれたグレゴリー・デランジェールのアントワーヌと「仕立て屋の恋」のサンドリーヌ・ボヌールのマベが、道ならぬ恋に揺れる姿を情感豊かに演じてすごく魅力的です。脚本もよく練れていて、過酷な労働に支えられていた灯台の照明も今はすっかり自動化され、地の果てのようだったウェッサン島には観光客とパリからのバカンス客が増え、昔からの島民は年老いて、という現在との対比や、イヴォン夫婦に長い間子供ができなかったという伏線、アントワーヌがアルジェリア戦争中に経験した辛い体験をなぜ皆んなの前で語ったかなどが後から胸に迫って来て、上質の文学作品を読み終わったような満足感がありました。 
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by cheznono | 2006-03-11 17:41 | 映画