フランスのいじめ

b0041912_17183855.jpg フランスの学校でのイジメというと、エリート養成のグラン・ゼコールに難関を突破して入学した新入生が先輩たちからイジメの洗礼を受けるという伝統が有名です。これは公衆の面前でおかしな格好をして芸をさせられたり、下品なことを要求されるため、苦にして自殺した新入生もいたくらいです。それに、企業に就職してからのイジメが結構多いのは、「自由、平等、友愛の個人主義の国」の意外な影の部分ではないでしょうか。
 「灯台守の恋」で人間関係の濃い島に派遣された新米灯台守のアントワーヌが、結束の固い灯台守たちの間でよそ者として敬遠され、嫌がらせを受けたり無視されたりしますが、こういうことは島に限らず、フランスの職場ではよくあるようです。いじめの対象になりやすいのは、コネで入社した人や契約社員、そして純粋なフランス人ではない人が多いとか。既に多民族国家とはいえ、よそ者に厳しい排他的な国民性が職場でも出るのでしょう。お局様が幅を利かせている職場もたくさんあって、いじめる側もいじめられる側も男女を問いません。
 ニースの友人の一人が努めている語学学校のお局先生は、気に入らない同僚にはボンジュールも言わないし、2週間の教育実習を終えた研修生が実習終了のサインを求めても無視したので、大学に提出しなくてはいけない書類はそのまま宙に浮いてしまいました。ある大学では事務の女性が病休明けで戻って来たら、パソコンの中に同僚が自分の悪口を上司に克明に報告した文章を見つけて青くなっていたことも。契約社員として働いている友人もある日出社すると、自分のロッカーの中身が勝手に全部出されてしまっていて、日ごろから意地悪な上司に「今日からこのロッカーは他の人が使うから、もうあなたのロッカーはありません」と言い渡され憤然としていたし、大勢の同僚全員から一言も口を聞いて貰えない女性が職場にいたと言う話も聞きました。フランスのいじめの特徴は直接的(つまり露骨)で、でも短期間で終わるとも言うけれど、ターゲットになった人にはたまったものではないでしょう。
 ジェラール・ドパルデュー出演の映画「メルシー人生」で、日系のコンドーム会社に勤める冴えない中年サラリーマンのダニエル・オートイユが、ティエリー・レルミットを筆頭とする同僚たちからしつこくいじめられる姿を素直に笑えなかったフランス人は案外多かったかも知れません。
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by cheznono | 2006-03-14 17:09 | 不思議の国フランス