リバティーン

b0041912_13381114.jpg 17世紀、王政復古期のロンドンで、酒と女と芝居にうつつを抜かした放蕩の天才詩人、ロチェスター伯爵のなんとも破天荒な半生を描いた「リバティーン」。噂どおり、まるでジョニー・デップのために書かれたかのような作品でした。
 国王チャールズ2世にその才能を買われ重用されながら、王に詩の朗読を請われると猥褻な作品を読み上げて王の怒りを買うこともしばしばだったロチェスター伯は、ある時劇場で大根役者とブーイングを浴びていた新人女優リジーに目をつけ、一流の女優に仕立てようと情熱を傾けます。駆け落ち同様に手に入れた美人妻やなじみの心優しい娼婦がいるのに、やがて二人は男女の仲に。一方で国王はロチェスター伯の脱線振りに呆れながらも、国の存亡を賭けたフランス大使を歓迎する芝居の演出をロチェスター伯に任せますが、いざ上演が始まると国王も来賓客も驚愕するほどの猥褻さで、芝居は途中で中止されてしまいます。
 見事に人気女優に育ったリジーに別れを告げられ、ロチェスター伯はますます酒に溺れて、その身体は梅毒に侵されてぼろぼろとなり顔も崩れて行くのですが、それでも彼は放蕩生活をやめることなく。。
 久々に美しい姿を見せてくれたジョニー・デップの鬼気迫るロチェスター伯はもちろんのこと、まるで聖書に出てくる放蕩息子とそれを許す父親のように彼に接する国王のジョン・マルコビッチが出色です。おまけに宗教など否定しているようなロチェスター伯は、結局キリストと同じ33歳で世を去ってしまうし。
 ロチェスター伯が入れあげる女優役のサマンサ・モートンはあまりピンときませんでしたが、リジーはこの時代に画期的な意思の強い自立した女性として描かれていて、彼女のセリフの一つ一つに拍手を送りたいような気持ちになりました。リバティーンは自由人ではなくてふしだらな人という意味らしいですが、本音と建前が全然違うイギリスの貴族社会で、欲望の赴くままに好き勝手に振舞ったロチェスター伯は、さぞ新鮮な存在だったでしょう。フランス大使を迎える芝居について、ロチェスター伯がフランス人を色狂いだと決め付けているのが面白かったです。金子光晴が色情狂のようなフランス人と書く何世紀も前から、フランスのイメージは定着していたのですね。 
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by cheznono | 2006-04-16 15:08 | 映画