美しき運命の傷痕

b0041912_17574253.jpg 22年前に両親の間に起こった不幸な事件のため別々に育ち、心には今も過去のトラウマを抱えている三姉妹たち。長女は夫の浮気に気づいて苦しみ、夫とその相手に対して異常なまでの行動に出ます。次女は言葉を失い車椅子生活となっている母親を介護施設に見舞う毎日。異性に対して臆病で、自宅の近くで話かけて来た男性を意識するあまり、彼の真意には目を向けず、ぎこちない態度を取ってしまいます。まだ学生の三女は家庭のある教授と交際していたのに、父親のような彼から突然別れを告げられて取り乱します。
 心に渇きを持つ三人がそれぞれの恋愛や日常と葛藤しているさまが交互に描かれ、画面に引き込まれました。でも、車椅子から辺りを見据え、たまの筆談しかしないキャロル・ブーケの母親を含めて、4人の母娘の行動はかなり極端。特に愛する人に裏切られた長女や三女の反応は時に常軌を逸してしまいますが、それもこれも少女時代の不幸な出来事が影を落としているせいだというのが、後半にわかって来ます。
 キャロル・ブーケ、エマニュエル・ベアール、ギョーム・カネなどに加え、脇役もベテランで固めた俳優たちの競演は見ごたえがありました。でも、上映中に主な登場人物が殆ど全く笑顔を見せない作品も珍しいでしょう。影を落とす過去の事件とそのために人生に狂いが生じた母娘、今になって真実を告白するために現れた男、という展開は結構オリジナリティがあって面白い内容なのに、暗い記憶を引きずる母娘4人のおのおのの思いや行動に共感できず、不可解な面も残ったままなのが惜しい作品です。とりわけ、王女メディアにもなぞられた母親の心理は昔も今も理解できませんでしたが、それがどういう結果をもたらしたせよ、自分のしたことを後悔したり反省することが少ないのはフランス女性の特技に違いない、と思い当たって少し納得が行きました。原題の「地獄」に対して邦題の「美しき運命の傷痕」は、せめて「美しい人の運命の傷痕」にしてほしかったです。
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by cheznono | 2006-04-21 17:46 | 映画