ジダン沈黙を破る

b0041912_741213.jpg ワールドカップ決勝戦で引退直前のジダンが、突然イタリアのマテラッティに頭突きを喰らわした事件は、フランスはもちろん、各国で論議をかもし出しましたね。試合後、ものすごく落込んで見えたジダン。パリへ戻って来たチームがホテルクリヨンのテラスから観衆に挨拶した時も、ジダンの表情には明らかに翳りがありました。
 世界中が注目していた引退目前の決勝試合で、なぜあの紳士的なジダンがイタリア選手の挑発に乗ったのか、憶測や批判、同情が飛び交う中、仲間の選手たちはジダンは相手の策略にはまって頭突きの行為に走ったことを後悔していると証言していましたが、試合後初めてのジダンのTVインタビューで、彼は後悔はしていないと明言し、それがまた賛否両論を読んでいます。
 新聞によるとマテラッティは日ごろから侮辱的な発言や暴力的な振る舞いが目立つ選手だったようです。また、チームの一人はサッカーの試合中に相手を中傷して挑発する選手は結構いるけれど、イタリア選手は特にその傾向が強いと言っていました。どちらかというとフランス側が押していた後半、ジダンのシャツを引っ張って張り付いていたマテラッティが、ジダンの家族を侮辱する暴言を何度もはいたのはどう考えてもスポーツ精神に反するし、ひどい言葉で相手チームの筆頭選手を揺さぶって、試合を有利に持っていこうとする手が横行されるのではとてもフェアとは言えません。
 ずるい、何するかわからないなどと、フランスではとかく悪く言われがちなイタリア人。フランス人はベルギーやイタリアなど国境を接している隣人をからかったり、悪く言うのが常なので、私たち外国人は陰で「フランスの南の人よりもイタリアの北の人の方が信用できる場合も多いかも?」なんて笑い飛ばしていますが、今回の事件は日ごろのイタリアの悪評判を裏付けるような印象を持ちました。W杯の決勝戦でこういう手を使う選手が容認されて、度重なる挑発に我慢ができなくなった相手の反応が非難の的になるのは、ジダンの主張どおり、とてもおかしいと思います。
 「現役終了10分前に、自分が本当にあんな行為をしたかったと思いますか?」というジダンの言葉には、思わず胸がつまりました。自分の行為は許されないけれど、相手があまり行き過ぎていたので、他に方法がなかったし、今も後悔はしていない、という彼の言い分を本当に理解できるのはサッカーの国際試合で戦ったことのある人だけかも知れませんが、彼らが試合中に受けるあくどい挑発は禁止されるべきだとジダンは引退前の自分の評判を犠牲にしても、言いたかったのはないでしょうか。
 泣かず飛ばずだった予選時には、年寄りチームだからもうダメなのでは?と批判され、ドメニク監督に「頼むから今は黙って我々に仕事をさせてくれ」と言わせたフランスメディア。頭突きを批判するのは簡単だけど、そんなことより、10年以上もフランスに勇気と感動を与えて、世界中をわくわくさせてくれたジズーに、心からメルシーとブラボーを送りつつ、サッカーの試合中の問題点を冷静に分析すべきなのではないかと思うのです。
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by cheznono | 2006-07-13 08:31 | 不思議の国フランス