マッチポイント

b0041912_18301397.jpg 去年フランスで大ヒットし、ニースのシネマクラブでも推薦されたウッディ・アレンの「マッチポイント」が、来週からいよいよ公開されますね。シネマクラブであるマダムが「あの不道徳な映画」と発言したら、皆んながいっせいに反対し、「不道徳ではなくて、無道徳な内容」なのだと主張したので、いったいそのニュアンスの違いがわかるだろうかと思いながら観に行ったら、これがあのウッディ・アレン?と思うほど、今までのイメージとは違うサスペンスに息を呑んだ作品です。
 アイルランドの質素な家庭に育ったクリスはプロのテニスプレイヤーを辞めて、ロンドンの高級テニスクラブのコーチになります。そこで、上流階級のおぼっちゃんトムにテニスの指導をするうち、彼と親しくなり、すぐにトムの姉クロエに見初められ、付き合い始めます。でも、クリスが本当に惹かれているのはトムの婚約者、アメリカ人の女優の卵ノラ。セクシーなノラのことが頭から離れないまま、クロエと婚約したクリスはもうテニスのコーチではなくて、クロエの父が経営する大企業の良いポストを与えられ、順調に出世の階段を上りつつあります。
 高級アパルトマンでクロエと新婚生活を始めたクリスは、トムがノラと別れ、別の女性と結婚することを知って激しく動揺。かつて、一家の別荘で一度だけ愛を交わしたノラが忘れられず、彼女の行方を捜すクリスは、ついに偶然テートモダンでノラを見かけます。躊躇するノラを押し切って、彼女のアパルトマンで密会を始めるクリス。一方で、妻のクロエは子作りに躍起になります。何不自由ない新婚生活で唯一欠けているものが赤ちゃんなのでした。妻との関係がギクシャクし始めた頃、ノラはクリスの子供を身ごもり、彼にクロエとの離婚を迫ります。とんとん拍子で手に入れた上流生活とセクシーな愛人との間にはさまれたクリスは、とんでもないことを思いつき。。
 ストーリーだけを追うと、テレビドラマのありがちな筋のようにも取れますが、そこはウッディ・アレン。今も厳然と存在するイギリスの階級社会への皮肉をにじませながら、特権階級の優雅な生活をリアルに描き、そこに入った若者の野心と苦悩をものすごく上手に浮き上がらせています。確かに道徳のないクリスの行動ですが、でも観客がつい応援したくなるような実在感があり、落ちも見事。2時間余りの上映中、全く気をそらすことがありませんでした。
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by cheznono | 2006-08-13 19:43 | 映画