幸せのポートレート

b0041912_0304822.jpg 先週は上映が終わりかけた映画2本を観て来ました。20世紀を代表するフランスの写真家アンリ・カルティエ=ブレッソンのドキュメンタリー「瞬間の記憶」とサラ・ジェシカ・パーカー主演のアメリカ映画「幸せのポートレート」です。
 「幸せのポートレート」は原題がファミリー・ストーン。クリスマスを祝うため家族が集合したストーン家に、立派なビジネスマンの長男が婚約者メレディスを連れて行く所から始まります。引退したインテリ夫婦に息子3人、娘2人のストーン家。長男は祖母が遺した指輪を自分が選んだ女性にあげて良いと母親から約束されていたのに、ストーン家のメンバーとは全然相容れない独善的なキャリアウーマンのメレディスは家族から総スカンを喰ってしまったため、クリスマスに約束の祖母の指輪を渡してプロポーズという長男のロマンティックな計画は果たせそうになくなります。つまり、原題はストーン家と祖母からのジュエリーを掛けたしゃれたタイトルなのに、邦題はウン?という感じ。
 いずれも成人してそれぞれの道を歩んでいるストーン家の5人の子供たちと両親の関係は、南仏的というかラテン的。言いたいことをどんどん言い、本音をぶつけあっても暖かい絆で結ばれていて、同姓愛の三男とその恋人も何の偏見もなく家族に溶け込んでいます。一方、長男が連れて来たメレディスは神経質で突っ張っていて、モラルも非常に清教徒的。なるほど、南フランス的な家族にアメリカ清教徒のキャリアウーマンが入ろうとするとこういう感じなのかな?と思いながら観たので、ヒロインのメレディスに一瞬たりとも共感できなかった割には楽しめました。「私だってあなた達と変わらない良い人なのよ!」と何度も叫ぶメレディスですが、ストーン家の面々は長男に「何で彼女を選んだの?」と首をかしげるばかり。この辺の長男とメレディスの感情のやり取りは全然描かれていないため、観ている方もいったいどこに惹かれて彼女を選んだのか、不思議でした。
 孤立したメレディスは助っ人に妹を呼びつけ、駆けつけた妹はブロンド美人でどうみてもお姉さんよりまともで魅力的だったために、それぞれの関係は脱線して行きます。こんな妹を呼んだら更に自分の立場が悪化するのは充分想像できたはずなので、この辺りの運びから終盤に到る展開は全くのコメディです。これで、本当にあの「ラブ・アクチュアリー」を超える動員数があった作品なんでしょうか?ただ、ダイアン・キートン演じる母親が既に不治の病にかかっていて、子供たちにはそれを隠して明るく接し、従来通り中心となって家族を支えようとする姿勢には心温まりました。
 クリスマスの物語を猛暑の夏休みに公開する日本のセンスもいかがなものかと思うけど、こういう映画を絶賛するアメリカ人も面白い人たちだなって思いながら映画館を後にして、魚専門の居酒屋に流れたのでした。
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by cheznono | 2006-08-31 01:14 | 映画