深海 Blue Cha-Cha

b0041912_0503170.jpg 日ごろは洋画中心ですが、久しぶりに興味を持った日本映画「ゆれる」を観に行ったら、既に立ち見となっていて入場できませんでした。誘ってくれた友達も私もすっかり忘れていたけれど、9月1日は映画の日だったのですね。仕方なく隣で上映中のそれなりに話題になっていた台湾映画「深海 Bleu Cha-Cha」を観ることにしました。
 台湾第2の港町高雄で、出所したばかりの30代前半の女性アユーは、刑務所で知り合った先輩のアンを頼って、彼女のスナックで働くことになります。精神安定剤を手離せないアユーは、金払いの良い店の上客に見初められ、それ程気乗りのしない様子で一夜を共にすることに。でも、それ以来連絡をくれない男を思いつめて、追回し、ついにはアンのスナックで修羅場を演じてしまいます。
 そんなアユーを姉か叔母のように面倒をみるアンから、今度は工場での仕事を斡旋して貰ったアユー。見るからに自分の殻にこもって陰鬱そうに作業をする彼女に、感じの良い青年シャオハオが興味を持ち、あの手この手でアユーの心を開こうと働きかけて来ます。初めは心ここにあらずといった感じのアユーでしたが、いったんシャオハオに心を許すと、自分からシャオハオの部屋に移り住み、全身をかけて彼にのめり込んで行きます。そんな彼女を愛おしく思っていたシャオハオも、自分との生活以外いっさい他人との関係を築こうとしないアユーの態度に苛立ち、彼女の強い愛情が重荷になって来てしまい、やがて別れを迎えるのですが。。
 アユ-を演じる台湾の歌手出身の女優さん、それほどきれいには見えなかったのですが、アップになると山口百恵にそっくりの表情をしますね。多分、男好きする顔なのでしょう。周囲に壁を作って不幸そうな彼女をなんとか自分の手で幸せにしたいと思わせるものがあるのでしょうが、いったんこちらを向くと、余りの思い込みの激しさと独占欲の強さに男性側がうんざりして引いてしまう、という筋書きは結構見かける展開です。この手のストーリーは、映画人の創造意欲をそそるのかも知れません。ただ、実際に近くにこういう女性、自分を気に入ってくれた男に全身全霊を欠け、常にパートナーの愛情を確認することでしか自分のアイデンティティを感じることができない人がいたら、かなりしんどいでしょうね。
 自己愛と相手への思いを混同してしまうのは、彼女の心の病のなせるわざというように描かれていますが、もう少しその辺の切り口に深みを持たせてほしかったです。ただ、圧倒的なリアリティのある作品であるとは思いました。自身も男性問題で刑務所に入り、その時の彼との苦い過去を持つ姉御肌のアンが、自分のスナックでひたすら踊るCha-Chaがすごく良かったです。温暖な気候の中での高雄のお正月も、日本とは全然様子が違うので興味を引かれました。苦労はしたけれど、明日への希望が見えるラストも悪くなかったですね。
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by cheznono | 2006-09-13 01:51 | 映画