フランス人は恋愛が全て?

b0041912_0213648.jpg くだんの本によると、「フランス人は常に恋愛に憂き身をやつし、日本の女性がよく嘆くように良い出会いがないとか、仕事と恋の両立ができないから一人でいる、などというような悩みは考えられない。」「レストランでは常にカップルが熱く向き合って食事をしていて、日本のように女性同士で外食するなんてありえない。」そうで、更には「フランスでは仮面夫婦や家庭内別居というようなカップルは存在しない。」などなど、ことに連れて恋に不器用な日本人に対して、あたかもフランスでは国民の大半が、少なくともパリジャンは全員が恋愛の達人であるかのように書かれていて、いろいろなカップルの例が挙げられていました。だから、恋ができないとくすぶっている日本人女性もシャルル・ドゴール空港に降り立ったとたん、恋愛モードに入れるでしょう、というような助言ともそそのかしともつかないような結論で締めくくられています。
 なんともお粗末な観察だと読んでいてげんなりしましたが、この手の著書を何冊も出せるのは、もしかしてフランスに対するほめ殺しのようなアンチテーゼが、文面の軽薄さに隠されているからなのでしょうか?
 確かに、レストランで会食している女性二人や女性だけのグループは、圧倒的に日本の方が多いけれど、それは基本的にカップルで行動するという生活パターンが身についている文化だからで、日本のように夫婦であっても、夫には夫の世界が、妻には妻の交際範囲が別々に存在してるのは、フランスでは返って新しいスタイルに見られる向きもあります。長い間フランスではカップルでいる姿こそ一人前とみなされ、なるべく一人でいる期間を作らないように努力する人が多かったようですが、20世紀の終盤くらいから様子が変わって来たと言われています。
 ヌーヴェル・オプセルバトール(有力週刊誌)やル・モンド(中道派の新聞)の記事にも、二人でいてこそより良い生活が送れるという呪縛から解かれたフランス人とか、ムリして相手を見つけるよりも一人で好きなことをしていたい、といったような層がかなりの割合で増えている、というような特集が載ることがあるし、パリでは35歳以上の一人暮らしの人口が想像以上に多いとアンケートなど統計にも出ています。
 そして、耳元でささやき合ったり、街中でキスを交わしている熱々ムードに見えるカップルも必ずしも甘い生活を送っている人たちばかりではなく、よそに別の相手がいて二重生活を送っている人、学歴があっても収入が足りなくていつもお金に困っている二人とか、表面上は夫婦の形を保っているけれど、実際には家庭内が分裂しているケースや長い間別居してるけれど、しがらみや世間体があって離婚には踏み切れない熟年カップルなど、結構どの国も大して変わらないじゃないと思うような悩みを抱えている二人は、見かけよりずっと多いフランス。アムールの国で生きるのもそれなりにしんどいことのように感じます。
 ただし、幾つになっても出会いたいという情熱の強さと、開けっ広げな姿勢には感心させられることもしばしば。街で声をかけてくる人の数の多さや、自分の年齢にこだわらない態度、60歳以上でもインターネットでの出会いを模索する人など、本当に灰になるまで自分に素直な民族であることは否めない事実かも知れません。
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by cheznono | 2006-10-26 01:40 | 不思議の国フランス