新品、それとも古着?
2006年 11月 23日パーティ用のドレスやお呼ばれ用のスカートはオート・クチュールとまでは行かなくても馴染みのクチュリエにデザインを相談して仕立てさせている知り合いの貴族出身のマダムも、普段着は意外にマルシェの5ユーロ前後の安物や古着屋を利用しています。もちろん、ソルドまで待ったら、お高いブティックでまとめて買物をしますが、日ごろは若者向けの安いお店を覗き、見ていると5つも6つも選んでは心行くまで試着して、結局どうもピンと来ないからと言って何一つ買わないで出てくることもしばしば。これには初め私もびっくりして、これだけ着て買わないでさよならとは、他人事ながらお店に申し訳ないような気持ちになったくらいです。確かヨーロッパのお店では、《買うと決める前にやたら商品に手を触れない》が原則と聞いていたのに。
でも、こういう振舞いは手ごろな価格の洋服店では当たり前のことでした。試着する際に売り物の服に口紅や頬紅がついたり、長い爪で引っ掛けてしまったり、その程度のマナーの悪さはへっちゃらの女性も多いので、特に大きなブティックで品物を選ぶ時は要注意です。ニースのある人気衣料品店は3フロアーともいつもわんさか混んでいるため、試着室の前には長い列ができることもしばしば。でも、このお店は「試着室が混んでいるので店内で試着なさる必要はありません。まず買って帰って、おうちで試着して下さい。そして、サイズやイメージが合わなければ、返品や交換をなさって下さい。」と奨励しています。とにかく買ってみて、気に入らなかったら返品交換する。通信販売の商品と似たような発想かも知れませんが、お店のこうしたアナウンスを聞く度に、まず買って家で試着を勧めるなんて、顧客とお店にとって本当に効率的なのだろうかと不思議ですが。
因みにくだんのマダムにはお気に入りのお嫁さんがいて、待望の初孫が生まれた時、どうせ短期間しか使わないからと中古の乳母車を買うことをお嫁さんに提案し、ベビー服もマルシェで衣装箱2つ分も買い込んでプレゼントしました。でも、美人で知的なお嫁さんは「私の赤ちゃんに中古の乳母車を買い与えたら、この子の人生は中古で始まることになるから絶対イヤ。」と言って、だんなの説得も聞かずに新品を買いに走っていました。ベビーの揺りかごは先祖代々伝わって来た艶のある木製、つまり立派なアンティークを贈られていたのに、それだけでは満足できなかったようです。