カンヌ行きバスの顛末

b0041912_23104385.jpg そろそろ年賀状の準備をと春以来全く触っていなかったPCに電源を入れたら、画面は真っ黒のまま、うんともすんとも言わないので青くなり、買った某量販店に持ち込みました。なんてたってそのPCは丸2年使用した後、起動がおかしくなったため、春先にハードディスクを取り替えてもらったばかりなんです。既に年末の今、修理した「ばかり」ではないだろうと量販店の担当者には変な顔をされたけど、春先に新品同様になって戻って来た(と信じていた)時から、起動させてみたのは数回だけ。渡仏前だったので、修理に出したPCを抱えて滞在に入るのは不安だったこともあって、泣く泣く新品を買って持って行き、以来ずっと新PCを使っていました。よって、夏にフランスから戻った後も修理済みのPCはお蔵入り状態だったのです。
 今週立ち上げてみたのはかれこれ8ヶ月ぶりだったとはいえ、全く起動しなくなっていたのでもうがっかり。今度こそ根本的に直してよね、という気持ちで量販店の修理カウンターに行ったら、隣にDVDプレイヤーを持ち込んだマダムが、「買って1年未満なのに全く映らなくなっちゃったのよ。この店で買った品物はなぜか全部すぐに壊れたわ。ドライヤーもスーツケースも、このプレイヤーも。」とこぼしていたので、思わず耳をそばだててしまいました。フランスでももちろん技術力のジャポンはお墨付き、私も自分の持っている電化製品を褒められると、「日本製だから(当然よ)。」なーんて、自分で作った製品でもないのに誇りがましく感じていたのに、安全神話と同様に今や日本のテクノロジーは欧州並みのもろさに後退しつつあるのでしょうか?
 さて、前回のつづきです。降りたいのにどうしようもできない私を乗せたカンヌ行きバスは、プロムナード・ザングレの先で渋滞に引っかかり、のろのろ運転になりました。それでもドライバーは意地の悪い表情のまま、下車できずに困っている私など存在しないかのように無視しています。こうなったら、相手が根負けするまで粘るしかないと運転席の真後ろに立つ私はまたもや「降ろしてください!降ろして、家に帰らせて。夜のこんな時間にニースから出るわけにはいかないんです。」とオウムのように同じことを繰り返しました。
 こんな時フランス人だったら、くるっと振り返って満席の乗客に向かい、「ちょっと皆さん、聞いて下さい!この運転手さんはこんな時間に私をバスから降ろさずにカンヌに向かおうとしているんです。私はニースに住んでいるのに。」と叫んで、援護射撃を求めるだろうに、いくらなんでもそんな勇気はないしなあ、と途方に暮れた頃、赤信号で停車したバスの乗車用ドアが突然開いて、ドライバーがぶすっと「降りたいんなら、今降りな。」ってつぶやくではありませんか。ヤッタ!うるさくなってついに根負けしたんだわ、と転げるようにバスを降りた私、目の前の高々と揺れる椰子の木と車の列を見て、いったいここはどの辺だろうときょろきょろしながら、やっとこさで路上に降りた安堵感にひたったのでした。
 カンヌ行きのバスはニース市内で乗客を降ろせない規則だなんて言いながら、こんな所で客をほおり出せるんなら、さっさと降ろしてくれれば良いのに。そうぶつぶつ考えながら、反対車線のバス停を見つけ、ニース行きのバスを待って今来た道を戻り、その後さらに終バスに乗り換えて、なんとか帰宅したのでした。規則を振りかざした割りに赤信号で中央分離帯に降ろすなんて、とんでもないって周りの友人も怒ってくれましたが、元はといえば、市内に帰宅するのになぜカンヌ行きなんかに乗ったの?という疑問がみんなの目に見て取れます。普段はカンヌやマントン行きのバスでもニース市内で乗り降りしている乗客がいるから、市内で下車しても問題ないと思っていた私、この辺の「規則」については本当にあの時のドライバーの主張が正しかったのか、未だに定かではありません。
 観光シーズンのコート・ダジュールで、知らないで間違える旅行客はたくさんいるに違いないのに、明らかに外国人とわかる人間に「規則」を振りかざしてバスを走らせ続けたドライバーには今でも腹が立ちますが、押し寄せるヴァカンス客を尻目に黙々と勤務しなくてはいけない彼らが、うんざりしている気持ちも何となく想像できるような気もします。観光収入があるからこそ潤っているとはいえ、リゾート客なんていい気な奴らだという地元民の思いが、意地悪に繋がるのでしょう。うっぷん晴らしに使われた私はいい迷惑ですが、苦い勉強にもなった体験でした。
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by cheznono | 2006-12-22 00:39 | 不思議の国フランス