ヘンダーソン夫人の贈り物

b0041912_0325184.jpg 英国でもフランスでも好評だった「ヘンダーソン夫人の贈り物」、ロンドンの大きな楽しみの一つ、ウエストエンドの劇場街に足を運ぶ時にこの映画を思い出すと、また新たな気持ちで芝居やミュージカルが楽しめるに違いないと思うような佳作でした。
 第2次大戦前のロンドンで、莫大な財産を相続したヘンダーソン未亡人は、ソーホーの古びた劇場を買い取って、支配人のヴァンダム氏ともども、劇場の再建に力を注ぎます。保守的なイギリスの上流階級の端くれに属するヘンダーソン夫人ですが、気取らない性格で、劇場の不振を救うため、パリのムーラン・ルージュのようなヌードレビューを上演することを提案。保守的なイギリス社会に衝撃を与えますが、若い踊り子たちがヌードの時は踊らずに静止するからアートの域に入るという口実で、ヌードレビューを成功させます。
 やがて、第2次大戦が火蓋を切り、明日は戦場に向かうという若い兵士たちで劇場は連日の大盛況。爆弾が降る首都で、ヘンダーソン夫人はなんとか劇場でのショーを上演続けようと努力します。なぜなら、彼女はわずか21歳だった一人息子を第1次大戦で亡くしていたため、前線に出れば死に直面せざろうえない兵士たちに、せめて女性のヌードを見せてやりたいという思いがあるから。
 実話に基づいた話らしいですが、ジュディ・デンチ演じるヘンダーソン夫人の率直さと精神の若さ、自由な発想にとても共感が持てる内容でした。そして、今や出まくっているケリー・ライリーの薄幸な踊り子役に、当時の時代背景が良く出ていて、すごく良かったです。
 ニースのイギリス人の友達に寄れば、ジュディ・デンチは若い頃、正統派の美人として知られ、それは美しかったとか。これは、彼女のことをずっと演技派の女優と思っていた私には意外な話でしたが、「ハリウッド女優のようにあちこち整形することもなく、自らの老いを隠さないで自然にしている姿が好ましいのよ。」という友人のコメントに、なるほどと思いました。
 この映画では裕福で着飾った未亡人役だけど、「ラベンダーの咲く庭で」の時は本当に自然な老婦人の容姿で熱演してましたし。イギリス人にとっては自分たちと一緒に年を重ねて来た往年の美人女優で、今なお大活躍のジュディ・デンチは、私たちの想像以上に親しみのある存在なのでしょうね。
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by cheznono | 2007-01-13 01:18 | 映画