息子にヌードを、の母心
2007年 01月 19日かつて、南仏のアリアンス・フランセーズで週2回出席していた時事会話のクラスの教師は、40代後半くらいのきれいでシャープな、感じの良いマダムで、なかなか人気のある先生でした。その先生にはローティーンの男の子が二人いたのですが、息子たちが時々ヌード写真雑誌を見てたりすると、必ず取り上げてると言うのです。へえ、フランス人でも子供が女性のヌード写真を楽しんだりするのは教育上よくないと思うのかしら?第一これだけ氾濫してたら、隠しようがないだろうにと不思議に思ったら、その理由がふるってました。「だって、女性の身体って現実にはあんなろくに食べてるかどうかもわからないモデルさんのように完璧なわけないじゃない?だから、息子たちが女性の裸を妙に理想化したらまずいと思って。」なるほど、それは一理あるかも。
で、彼女が講じているヌード対策は、「だから、私のお風呂上りの裸を息子たちに見せてるのよ。」えっ、なんで?!「これが本物の女の身体だって。雑誌のモデルのような人工的なヌードじゃなくて、本当の肉体はでこぼこしてたり、お腹が出てたり胸がたれてたりするわけじゃない。」はあ、そういう母心もあるのねとびっくりしている生徒たちに、「TVや写真のヌードで息子たちが女性の身体に対して幻想を持ってもらいたくないのよ。母親の私の裸をいつも見ていれば、実際に彼女ができた時もヌード雑誌と違うなって慌てないと思うし。」そういう先生は生き生きとしたスリムな女性でしたから、果たしてこれが現実よ、というくらい若いモデルとのギャップがあったかどうかわかりませんが、こういう発想ってやっぱりフランス的ですよね、きっと。と思い、日本から来た子供のいる女性に聞いてみたところ、「うーん、うちは娘だから自分の裸も平気で見せてるけど、これが息子だったらそうはいかないよね。何だかびっくり。」と言ってました。
その話を聞いた後しばらくは、先生が真面目は社会問題を解説してくれている最中でも、このマダムがシャワーの後、中学生の息子たちの前を真っ裸でウロウロしてるいる姿をふっと想像しちゃうことがあって、ちょっと困ったものでした。とはいえ、フランスに慣れてみれば、幾つになろうと誰がいようと家の中をすっぽんぽんで動き回るマダムたちの多いことにも驚かなくなったので、今から思えばあの先生もごく一般的に自然体で子育てしてただけだったのかも知れません。