爪を研ぐ大統領候補

b0041912_04396.jpg ここ数年、フランスで空港や列車内での外国人の入国チェックがうるさくなったり、道路上での職務質問が増えたのはニコラ・サルコジのせいと言われています。内務大臣時代、フランス一のトップ警官と呼ばれたサルコが、何かにつけ移民取締りに活を入れた結果、警察が「我々はちゃんと仕事をしています!」と国民とサルコにアピールするため、移民や外国人チェックが厳しくなったのだとか。
 自身もハンガリー移民2世のサルコですが、農民活動家ジョゼ・ボベに「サルコはルペンの私生児だよ」と批判されたほど、フランスの治安を乱しているのは移民たちという視点では極右のルペンと共通しています。「小児愛者は生まれたときから小児愛嗜好を持って誕生する」などと遺伝子学者が真っ青になるような暴言も目立つし、マスコミ操作もしばしば噂される策士で野心満々のサルコですが、女性議員を殴ったり、サッカーのフランス代表チームに対して「選手は移民ばかりで、フランス代表とは言えない」なんて豪語するルペンに比べれば、まともな指導者と言えるのかも知れません。
 ちなみにルペンはイギリス軍からフランスを救ったジャンヌ・ダルクを党のシンボルに掲げ、前回の大統領選では《移民を制限している良い例》として、「日本を見習え」と言ってました。一方、サルコは移民全否定ではなくて、「今後はフランスがほしい移民だけ選んで滞在させたい。」と提案。つまり、研究者が足りなくなれば研究職の移民を、医者が足りなくなれば医療関係者を受け入れる、と主張して、有益な移民は歓迎するけれど、一般の移民は遠慮してもらいたいという意図が見えます。
 フランスには政情不安などの理由で避難民として逃げ込んで来た外国人や何年も滞在している留学生も多くて、今までは比較的楽に滞在許可証を更新し、国からの補助も受けられたけれど、排他的な大統領が当選すれば、この先も問題なくフランスに滞在できるかどうかを心配する人は少なくありません。
 でも、「じゃあなぜフランスには移民が多いわけ?自分達のして来たことや歴史は忘れてしまったの?」と私達も耳が痛くなるような声が聞こえます。自らの植民地政策のつけと、安い労働力を求めた結果、次々と流入した移民たちですから、まるで抵抗勢力のように扱うのはおかしいのですが、マスコミも当選後に仕事がやり難くなるのが目に見えているため、有力候補者への批判はとても弱腰です。
 アメリカ嫌いのド・ゴール派であるシラク大統領やヴィルパン首相とは違って、サルコはがぜん米国寄り。サルコが当選したら、中国とアメリカ重視の経済政策が取られるのは必須でしょう。うなぎ登りのユーロがこのまま上がり続けたら、どうしよう?と私はハラハラしながら6日の決戦を待っている所です。 
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by cheznono | 2007-05-04 01:11 | 不思議の国フランス