こわれゆく世界の中で

b0041912_1101289.jpg 「イングリシュ・ペイシェント」のアンソニー・ミンゲラ監督の最新作で、ジュリエット・ビノシュが再登用された映画「こわれゆく世界の中で」。鳴り物入りのわりには、フランスでも比較的地味な作品として扱われていましたが、ジュード・ロウがとても人間臭い、等身大の人物を演じていて、私には印象的な作品でした。
 建築家のウィル(ジュード・ロウ)は、ロンドンのキングス・クロス付近の再開発プロジェクトに携わりますが、初日からオフィスを窃盗グループに荒らされてしまいます。自ら夜中のオフィスを見張って、犯人を突き止めたウィルですが、盗賊団の手先になっている少年はボスニアからの避難民でした。
 恋人とその連れ子と暮らすウィルは、二人を愛しながらもこのところ恋人ともその娘とも軋轢が絶えず、精神的に疲れていたため、戦火を逃れてロンドンの下町でひっそり暮らすボスニア少年の母アミラ(ジュリエット・ビノシュ)への同情を募らせてゆきます。アミラが息子を守りたいためにウィルを受け入れたとは気づかず、ウィルはアミラとの情事に足を踏み入れるのですが。。
 ニースでチェチェンからの家族を連れて避難して来た青年や政情不安なスリランカから非難して来た女性と話す機会があったので、好景気に沸くロンドンで苦労している母子に出会ったウィルの気持ちの動きが、結構身近に感じられました。でも、見所はやっぱり敏腕な建築家として成功しながら、娘の病気のために神経過敏になっているパートナーと、実の娘同様にかわいがっているその娘との関係に悩むウィルの人間的な姿でしょう。
 カップル間の感情のズレに、今ヨーロッパが直面してる社会的な問題をからめて、仕事への情熱と私生活での愛情深さと気の弱さ、そしてずるさを併せ持った人間的な人物像をさらりと描いたのは、さすがミンゲラ監督だと感心したのでした。
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by cheznono | 2007-05-16 01:57 | 映画