輝ける女たち

b0041912_23452670.jpg ニース旧市街にあるキャバレー《青いオウム》を巡って、落ち目の手品師とその元妻と子供達、加えて幼馴染みや美人歌手との複雑な人間関係やそれぞれの心情を描いた「輝ける女たち」。豪華なキャストと秀逸なシナリオで、心地よいひとときを過ごせること請け合いの映画です。
 《青いオウム》のオーナーがニースの海岸で自殺したため、彼の息子同様だった手品師は店の相続を予期したのに、意外にもオーナーは店も屋敷も手品師の息子と娘に遺したのでした。共に30代初めのハンサムな息子と不機嫌な娘は異母兄弟で、いい加減な芸人人生を送って来た父親に反抗的。相続税のためもあって、赤字の店と屋敷を売り払い、早くパリに帰りたくていらいらしています。
 独立戦争のため15歳でアリジェリアからニースにたどり着き、《青いオウム》のオーナーに拾われてから、いつも彼の人生のより所だった店を売り払うと子供達に宣言された手品師は、唯一の救いを美人歌手のレアに求めます。そこへかつての妻で息子の母であるアリスが現れ、手品師の幼馴染みで、娘の母でもあるシモーヌと対決、一波乱の後に、二人の女性の意外な過去が浮き上がって来ます。
 一方、父親の浮き沈み人生に反発し、互いの母親にも複雑な感情を持つ不仲の子供達は、さっさと店を処分してパリに戻るつもりが、店の踊り子達の心意気に触れたり、かつては大人気を博したこともある父親の芸への思い入れが多少とも理解できるに連れ、少しづつ《青いオウム》へ愛着が湧いて来て。。
 好き勝手な人生を送って来た手品師が、店のオーナーの死によって、芸の場も住む場所も失い、かつて愛した女たちにはそれぞれ裏をかかれ、子供達には愛想をつかされて、おろおろしつつも美人歌手を追いかけて、自分なりの活路を見出そうとする姿がいかにもフランス映画的。かかわった女性達は皆んな彼の知らない過去を持っていて、手品師を唖然とさせますが、全員が徹底した個人主義を貫きながらも、最後にはやっぱりみんな家族であり仲間であると確信できる点が胸を打ちます。
 カトリーヌ・ドヌーブとエマニュエル・ベアールばかりでなく、手品師のジェラール・ランヴァンやオーナー役のブラッスール、踊り子の振り付け師ヴァレリー・ルメルシーなどベテラン俳優を贅沢に使っているし、同性愛の息子役のミヒャエル・コーエンなんてうっとりするくらい素敵。本当にハンサムはホモセクシャルが多くてもったいないと改めて思わせてくれました。
 今のニースで展開する話にしては、それらしさが夜景とラストのプロムナード・デザングレくらいしか感じられなかったのが、ちょっと残念です。もっとニースの雑多な喧騒を入れてくれると、もう少し現実味が増すでしょうに。 
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by cheznono | 2007-05-21 01:36 | 映画