葬式泥棒

b0041912_21585660.jpg
 「こわれゆく世界の中で」の原題は《不法侵入》で、ロンドンの建築事務所へ繰り返し泥棒が入る事件が軸となっている作品でしたが、コートダジュールも泥棒や空き巣の被害が絶えません。観光客やお金持ちの退職者が多く、かつイタリア国境と接しているから、よそから泥棒集団が入り込み易いためでしょう。
 まず、不審者対策としてアパルトマンの出入り口は100年前の建物でもオートロック式。オフィスやお金持ちはセコムのようなセキュリティサービスと契約し、一戸建てや商店はお弁当箱のような警報機をつけ、庭があれば猛犬を飼って、不法侵入の泥棒を防ごうと努力しています。
 とはいえ、オートロック式は日本と同様、センサーつきの鍵を持つ住人の後に続いて、配達の人や作業服の見知らぬ人がにこやかにひょいっと入って来るのはしょっちゅうだし、警報機が突然ウーウー鳴り出して止まらなくなっても、隣人や道行く人は知らん顔。ニースのような都会だと、気づいた誰かが警察に通報してくれるなんてことは殆どないため、警報機はただ無意味に鳴り続けるだけ、ということもしばしばです。泥棒対策まで非効率だから、フランスの犯罪率は高いままなのでしょうか。
 一戸建ての場合、夜遅くまで外出する時には部屋のランプを一箇所つけ、TVかラジオをつけっぱなしで出かけたりする家庭も多いようです。留守だとわからないようにするのは一番手っ取り早い方法の一つですが、ヴァカンス旅行の時はそうも行きませんね。
 知り合いのマダムは、30代の娘さんをニース‐カンヌ間の自動車事故で亡くし、悲嘆に暮れてお葬式から帰って来ると、アパルトマンはしっちゃかめっちゃかで宝石類が全部消えていたそうです。プロの空き巣は、地元紙ニース・マタンに載る市民の訃報欄をチェックし、葬儀の日取りや時刻を確認して、その留守宅を狙うのが常套手段になっているのだとか。お葬式の際は、一家をあげて留守になるし、たいていは肉親を失った悲しみで泥棒の被害へのショックや怒りが普段より薄いから、だと言われています。人の弱みに付け込む葬式犯罪が横行する社会なんて、と暗澹たる思いがしましたが、悲しいかな、先進国はいずこも似たり寄ったりなのかも知れません。
警視庁の事件犯罪発生マップ:東京都の地域別に空き巣などの発生度がわかります。
http://www.keishicho.metro.tokyo.jp
[PR]
by cheznono | 2007-05-26 23:12 | 不思議の国フランス