女帝

b0041912_0163311.jpg 今日、6月21日は第26回目のフェト・ド・ラ・ミュジーク:音楽祭の日で、夕方からフランス中の町がにわかコンサート会場と化し、春が終わって正式に夏を迎えるのを祝います。町中あちこちで大小のグループがロックやらジャズやらポップスやらをガンガン演奏して夜中まで盛り上がるため、やたらやかましい夕べとなることは必須。こんな日に例えばエクサン・プロヴァンスのような小さい町に滞在していると、うるさくてたまらないという目に合うかも知れません。
 さて、「蜘蛛巣城」や「乱」の黒澤明監督作品以来、アジアでは初のシェイクスピア劇を翻案した「女帝~エンペラー」、素晴らしい美術・衣装は見応えがありましたが、深みのない時代劇に仕上がっていて、ちょっと物足りなかったです。
 「ハムレット」を踏まえたドラマは、10世紀の中国・唐王朝滅亡後の戦乱の時代が舞台で、ある皇帝が毒殺され、若く美しい妃ワンは、次の皇帝となる亡き夫の弟リーとすぐに再婚します。都から離れて修行に励んでいた皇太子ウールアンは、父親が叔父に暗殺され王位を奪われたことを知って、密かに都に戻り、今は叔父の妃となった義理の母と再会しますが、彼も新帝から生命を狙われていました。
 義理の母とはいえ、ワンは皇太子よりも年下で、二人はかつて惹かれ合った仲。新帝の妻におさまりながら、婚約者のいる皇太子を今なお強く思うワンは、新帝の追っ手から彼を守るために非情な手段も辞さず、一方で亡夫の死に対する復讐も忘れてはいなかったのですが。。
 富が集中した中国王朝の絢爛豪華な宮廷文化には圧倒されましたが、ストーリーに中だるみがあるのと、主演のチャン・ツィーが女帝で悪女というには線が細過ぎる印象です。しかも、この映画、この春フランスでまあまあヒットしたチャン・イモー監督の「紫禁城」(これは仏題で、原題はかなり違う筈)にとても似ています。時代設定といい、非情な皇帝に輪をかけてえぐい女帝が陰謀をめぐらすという内容といい、雰囲気がそっくり。中国映画界は今、古代時代劇スペクタクルが流行りなんでしょうか?
 もっとも、どこかの映画祭の衣装賞を取ったという「紫禁城」の方は、リア王を滅茶苦茶にしたようなかなり奇妙なストーリーでしたから、その点は「女帝」の方が一応話の流れが一環してただけましと言えるでしょう。でも、「紫禁城」の女帝はコン・リーで、これはチャン・ツィーより遥かに存在感と迫力がありました。もちろん、年齢や経験の差が大きいから、二女優の存在感の違いは当然なのかも知れませんが、「女帝」では、繊細な印象の踊れる女優チャン・ツィーの持ち味があまり生かされていなくて残念です。それに、女帝なのに副題がエンペラーでは、整合性がなくて違和感がありますね。
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by cheznono | 2007-06-22 01:48 | 映画