パリ待ちぼうけの顛末

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 さて、応答するなり私に泣きつかれたムッシュウは、こういう苦情に慣れているようで、「まあまあ、まずお名前は?今日は交通渋滞がひどいんですよねえ。」となだめ始めました。が、この言葉で私の怒りは頂点に達し、「渋滞!?さっきのマダムはもうバンが第3ターミナルまで来てる言ったのよ。私がいるのは第2ターミナルのB出口。どこで渋滞するのよ?」そこでムッシュウ、甘い声で「ああ、あなたのバンはもうC出口まで到着してますよ。だからね、あと2分。」「本当?本当に来るの?」相手はますます優しげに「大丈夫、大丈夫、あと2分だからね。」
 何だか不実な恋人の言い訳を薄々ウソと気づいているのに、わらをもすがる思いで信じようとしているお人良しみたいな気分でしたが、それでも待つしかありません。
 果たして「2分待って」は、案の定さらに20分でした。もうダメだ、もう限界だわと思ってふと見ると、50m先の小さいバンから降りた好青年が私に手招きしています。ついに待ちに待ったお迎えの到着でした。ああ良かったサギではなかった。荷物をよろよろ引きずって、バンに駆け寄った私ですが、ほっとしたと同時にまた怒りがこみ上げて、「いったい何時間待たせるつもりよ。来るのが遅過ぎるわ!」と言い放ちました。イケメン風ドライバーは目を丸くして全く答えず、私がさんざん電話をした本部に「彼女を拾いました。」と報告だけして、行き先の確認もせずに車を発進。ともあれ私は、安心感と疲労でぐにゃっと後部座席に身を沈めました。
 相客はアメリカ人女性一人だけ。送迎客が多くて、各ターミナルで時間がかかったならともかく、いったい今まで何をしてたのよ?もうチップもなしだからね。そんな私の思いをよそにドライバーは高速を飛ばして夜のパリ市内に入り、街路灯に浮かび上がるシテ島を抜け、相乗りのアメリカ人をカルチェ・ラタンで降ろした後、やっと市内はずれの私の宿に到着しました。
 それまで全く無言だったドライバーが、私の荷物を全部降ろしてくれながら、「これで運転する方も結構大変なんですよ。」と切なそうな目でひと言。顔を見合わせてお互い苦笑いです。怒りにかまけてチップを用意しなかったことをちょっと後悔しましたが、彼は爽やかにメルシーと言って去って行きました。
 大荷物を押してふらふらと向かったレセプションでは、顔見知りのムッシュウが宿泊客と一杯交わしながら、もうへとへとで崩れそうな私を迎えて、2年ぶりの再会を喜んでくれたので、苦労したけどやっぱりパリに寄って良かったです。教訓:慣れていると侮らずに、せめて現金と地図を持って渡仏しよう!まあ常識ですよね。
*写真はモンパルナス駅前で、政府の年金改革に抗議する国鉄職員たち
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by cheznono | 2007-11-03 19:48 | 不思議の国フランス