プライスレス 素敵な恋の見つけ方

b0041912_129036.jpg  オードレイ・トトウとガド・エルマレという、今をときめく人気スターを起用した「プライスレス~素敵な恋の見つけ方」。東京ではひっそりと地味目に公開されていますが、去年フランスでは大ヒットし、各メディアの批評も上々だった作品です。

 海辺のリゾート地ビアリッツの高級ホテルで、若くてきれいなイレーヌが、バーで偶然出会ったジャンを大金持ちだと思い込み、おくてな彼を誘惑、一夜を共にします。
 実は、ジャンはこのホテルのボーイに過ぎず、イレーヌは金持ちを誘惑しては貢がせる高級娼婦のような存在。一年後に再会した二人は、再びロマンティックな夜を過ごしますが、ジャンがしがない従業員と知ったイレーヌは、さっさと年配の愛人の元に戻ってしまいます。しかし、金持ちの愛人は不実なイレーヌに別れを告げるのでした。
 心機一転、イレーヌは河岸を変える決心をして、モナコに向かいます。すっかりイレーヌに心を奪われた純情なジャンも、彼女を追ってコート・ダジュールへ。新たな金持ちのパトロン探しに苦戦するイレーヌに、ジャンは全財産を貢いで尽くしますが、豪華な食事、4つ星ホテルのスイートルーム、ブランドのドレスと恐るべきマテリアルガール:イレーヌのため、あっという間に自己破産。あわやと言うところを、上品な有閑マダム、マドレーヌに拾われます。
 期せずしてマドレーヌのジゴロとなったジャンですが、新たな愛人と同じホテルに滞在しているイレーヌのことが気になって仕方ありません。一方、イレーヌは今や同じ愛人稼業のジャンに妙な仲間意識を持って、誘惑のテクニックを伝授。一度見つけた金持ちからは「取れるだけ取る、買わせる」という信条を叩き込みます。
 その指導あってか、マドレーヌから超高級腕時計やスクーターを買い与えられたジャンは、イレーヌと互いの戦利品を自慢し合い、二人の間には一種の共犯者意識が芽生えるのですが。。

 フランス版援助交際の権化とも言えるイレーヌが、若さと容姿を武器に、自分の祖父とも見える年配の金持ちを次々に渡り歩く姿には、かつて高級娼館として知られたクロードの館の話を思い出させますが、イレーヌは一匹狼で高級リゾート地の男たちを渡り歩くところがあっぱれです。
 観ている側もうんざりするほどの物質至上主義でも、そういう姿勢をいっさい批判せずに、ひたすらイレーヌを慕うジャンの、まるで忠犬のような人の良さと、線の細さ、ユーモアのセンスをガド・エルマレが実に魅力的に演じています。

 でも、この映画がフランスで受けたのは、軽妙洒脱な会話のやり取りもさることながら、コート・ダジュールに象徴される高級リゾート地の極めて表面的で浮ついた側面や、誰もが憧れる富裕層の社交の裏側が、面白おかしく、でも端的に皮肉られているからではないでしょうか?
 お金と時間を持て余しながら孤独な金持ち層と、彼らを利用する若い娘の物質主義をコメディ仕立てに描きながら、現代社会を軽ーいタッチで揶揄っている点で、やっぱりフランス的エスプリが効いているって言える作品だと思うのです。
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by cheznono | 2008-04-05 01:38 | 映画