南仏のゴヤ美術館

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 フランシスコ・デ・ゴヤは、スペイン王室の宮廷画家でありながら、フランス革命がもたらした自由主義的な思想に賛同していました。ナポレオンによって即位した新国王(ナポレオンの兄)は、まず異端審問を廃止し、スペインの近代化改革に意欲的でしたが、教会の反発を招き、やがてフランス軍の占領に対する国民の不満も噴出したため、スペイン独立戦争へと発展。
 動乱の末、ナポレオンによって追放されていたカルロス王一家がスペインに帰還して、自由主義者迫害が始まりました。
 大病の後遺症で聴力を失っていたゴヤは、療養を口実に78歳にしてフランスに亡命し、4年後、ボルドーで亡くなっています。

 ローマ時代からの古い歴史を誇り、スペインのサンチャゴ・デ・コンポステーラへの巡礼の道筋として発展した町、カストル。アルビとカルカッソンヌの中間に位置し、運河沿いの古い家並みがきれいなこじんまりとした町は、ヴェニスのように運河に浮かぶ船から直接家に入れるように、運河沿いの家の基礎に入り口が作られている設計が目を引きます。
 ベネディクト派の大聖堂を初め、見所が点在するカストルの町により魅力を添えているのが、古い司教館を利用したゴヤ美術館と言えるでしょう。ヴェルサイユ宮殿の建築家による建物の中は、ルーブル美術館に次ぐ、スペイン系の画家のコレクションを誇っています。所有しているゴヤの絵は3枚で、他に挿絵に使ったと思われるゴヤの版画シリーズも楽しめます。
 結構見所があるにも関わらず、あまりガイドブックには載っていないカストルですが、この夏、フランス中がこの町に注目する事件が起こりました。サルコジ大統領が夫人のカーラ・ブルー二と南仏でヴァカンスを楽しんでいた8月、平和維持軍としてアフガニスタンに駐留中の仏軍が待ち伏せ攻撃に合い、兵士10人が亡くなって、数十人が負傷したのです。
 犠牲になった兵士の大半が、カストルの海軍基地出身者だったため、パリでの国葬の後、カストルでも告別式を行って、町は悲しみに沈みました。小さい町だから、兵士達と顔見知りの住民も多かったようです。
 この事件はフランス中に衝撃を与え、仏軍をアフガニスタンに駐留させておくことへの反対意見が多く見られましたが、サルコジ大統領は迷わず駐屯の続行を決定、今もその是非が問われています。
 写真は、ルイ14世の庭師だったル・ノートルの設計によるゴヤ美術館の庭。ヴェルサイユ宮殿の庭と共通するスタイルで、南仏でこういう幾何学的に作り込んだ庭に出会うと、ものすごく新鮮に感じられます。
*ゴヤ美術館
Hôtel de Ville – B.P. 406 – F- 81108 Castres
+33 (0)5 63 71 59 30
goya@ville-castres.fr
月曜休館
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by cheznono | 2008-10-20 17:00 | 不思議の国フランス