<   2005年 04月 ( 13 )   > この月の画像一覧

南仏のラベンダー

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 4月なのに20度を超える日がめったになかったニースに比べて、東京の気温にはびっくり。時差ほけと暑さでまだぐったりしています。庭のラベンダーは花がスーッと空に向かい立ち、もう咲き始めているのに、プロヴァンスのラベンダー畑は6月中旬からでないと満開にならないのはやはり高地であるのとミストラルのせいでしょうか?
 19世紀から香水の原料としてしきりにグラースへ運ばれたプロヴァンスのラベンダー。香水に使われるのはファイン(真性)ラベンダーで、標高600m以上で作られ、ワインのようにAOC(産地証明)が発行できる地区が指定されています。マルシェやブティックでよく見かけるのはラバンディンの方で、栽培し易いため普通の庭や町中でもよく育つとか。収穫量も多いので化粧品やバス用品、花束などあれこれと利用されています。ラベンダーは古代ローマ時代にプロヴァンスに伝わり、薬効があるとしてお風呂や薬として使われて来たという古い歴史の持ち主。でも20世紀後半からは安価な人工の香料に押され、大変な力仕事のラベンダー栽培が下火になったため、危機を感じたオート・プロヴァンスの有志がラベンダー騎士団を創設して、現在ラベンダー畑の保護や生産の奨励を進めています。8月には各地でラベンダー祭りも行われるようになりました。
 イギリス人は味覚が変わっているから紅茶にラベンダーを入れたりするよと笑うプロヴァンスの人もラベンダーのハチミツは大好きだし、お菓子にラベンダーを入れたり、ハーブとして料理に加えたりしています。ラベンダー入りのクッキーやカリソンは私も好きですが、パティシエの友達に毎朝お菓子にラベンダーを混ぜる時、ネズミの糞に似てるなって思いながら手に取るって聞いた時はちょっと引く思いがしました。
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by cheznono | 2005-04-30 01:26 | プロヴァンス賛歌

フランス国鉄の憂鬱

b0041912_230258.jpg わっといっせいにプラタナスの新緑が出て来たニースを後にして、東京に戻って来ました。ヴァカンス客が去った頃またニースに戻る予定です。今回は帰国したとたんに痛ましいJRの事故が起きて本当にショックでした。
 フランスでは次から次にストを打ち、電車が全面的にストップということもしばしばですし、普通に運行されている日でも時間通りに到着してくれれば御の字というSNCF(フランス国鉄)にあきれてましたが、数秒の遅れにも厳しいというJRの効率主義にもびっくりです。SNCFもTGVは割合時間通りに運行されていますが、コーラルや急行になると多少の遅れは当たり前。先日もトゥーロンからニースに戻る時、電車がそろそろホームに入って来るかなと思った頃、ニース行きは沿線の火事のため50分の遅れですとのアナウンスにがっくり、中には笑い出す人もいました。新聞を読みながらホームで待つこと既に1時間半。人影まばらなホームで待合客のマダムが、確か50分の遅れって言ってたけど、それを過ぎてるわよね?と言うので、もう遥かに過ぎてますけど信じられませんねと怒る私。でもその後の2時間過ぎてもアナウンスは全くなく、日はどっぷり暮れて心細くなった頃やっとニース行きの到着。既に2時間40分の遅れなのに、いっさい説明がないのもフランス流です。結局ニースのアパルトマンに戻ったのは真夜中で、わずか1時間40分の電車の旅の筈だったのにもうぐったりでした。これだけ遅延すれば乗車賃の払い戻しがあるというので、申請用紙を郵送しましたが、本当に戻ってくるかどうかは疑問です。
写真は斬新な設計で話題になったアビニョンTGVの駅。
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by cheznono | 2005-04-28 23:30 | 不思議の国フランス

イタリアの面影

b0041912_22433624.jpg イタリア国境に近く、19世紀まで実際にイタリアに属していたニースを初めコートダジュールにはイタリア人がたくさん住んでいます。その中ではグラースの町はフランス色が強い方だと思いますが、路地裏の洗濯物の干し方なんかはこの地方どこでもイタリア風で、下着など家族分をきれいにロープにとめて窓からひらひらさせている様子は微笑ましい限り。
 あまり清潔ではなかった太陽王ルイ14世が、自分たちの臭気を消すために香水を発達させ、その影響で古くから革製品のための匂い消しに香水を生産していたグラースが発展したと聞くと、ロココ調のエレガンスが香る町と言われても何となくピンと来ません。もちろんフラゴナールはロココを代表する画家だし、その時代が一番グラースの優雅な時代であったことは確かです。今や人気の観光地とはいえ、むしろどことなく疲れたような古い町並みが印象に残るグラースなのでした。(写真はグラースの旧市街)
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by cheznono | 2005-04-26 23:04 | プロヴァンス賛歌

鷹ノ巣村の桜

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 日本でも報道されたそうですが、フランスはまたもや雪に見舞われ、半端でなく積もった地方は停電して電気のない日夜を過ごすはめとなっています。オート・プロヴァンスでも雪が降り、コートダジュールも春とは思えないほど冷え込みました。でも、黄色く燃えるようなれんぎょうの花や桃の花、山桜が寒風の中でもけなげに咲いています。ニースからレヴァンスに続くオリーブ街道沿いの鷹ノ巣村、ラ・ロケット・シュル・バルの桜は、バル川の渓谷を見下ろして凛と咲いている姿がみごとでした。
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by cheznono | 2005-04-19 20:25 | フランスの四季

モナコとレーニエ公

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 昨日は先日亡くなったモナコ公国のレーニエ3世のお葬式で、フランスではローマ法王の告別式同様にTV中継されました。26歳でモナコの大公となり、6年後にグレース・ケリーと結婚して、ベル・エポックの恩影を残すとはいえ、当時はパッとしない小国に過ぎなかったモナコを華やかな一大観光公国に発展させたレーニエ公。フランスではモナコ大観光会社の社長のようだったと言われていますが、なかなかモネガスク(モナコ人)には人気があったようですね。世紀のロマンスと騒がれた結婚も、モナコを盛り立てるためにお嫁さんはハリウッド女優と決め、候補となったグレース・ケリーとマリリン・モンローのうちグレース・ケリーが結婚を承諾したからというのが真相に近いらしいですが、結婚してからは良い夫、良き父だったそうです。でも、グレース公妃は23年前の自動車事故で亡くなり、実際にハンドルを握っていたのは公妃か娘かという謎も闇に葬られ、その後もカロリーヌとステファニーの両公女がパパラッチに追われてスキャンダルの餌食にされ、それなりに苦労は多かったとか。スポーツ万能の跡継ぎアルベール公が47歳にして、結婚はしたいとは思うけど急ぐことでもないしと独身でいるのもいろいろ憶測を呼んでいるし、前夫に先立たれたカロリーヌ公女は現在のご主人も危篤で集中治療を受けているし、一族のサガは続くと報道されています。
 フランス人は共和国民であることを誇りにしながら、どこかで革命の時に王族をギロチンにかけたことを後悔している向きもあるため、我らは共和国だから平等と言いつつ、一方で英国王室やモナコ公国の話題を大河ドラマの続きのように興味深々で見守っている感じです。
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by cheznono | 2005-04-17 07:16 | 不思議の国フランス

グラースの香水

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 香水の町で有名なグラースは、ミモザ街道の終着点。今まではカンヌとニースからのバス便が中心でしたが、3月にSNCF(国鉄)の駅が再開通し、電車でも行けるようになりました。古くからジャスミンやバラ、スミレなど様々な花が栽培され、18世紀や19世紀には香水の町として華やかな文化が培われたようです。今でも多くの地元出身の調香師を輩出しています。調香師になるにはグラースとベルサイユにある専門学校で、10年以上の勉強と訓練が必要で、しかも調香の才能は後天的には育たないとか。天性の香りをかぎ分ける才能を持ち、10年に渡る勉強に耐え抜いた人材のみがプロの調香師として活躍できるなんて、やっぱり大変な世界。血は争えないというか、フランスには圧倒的にグラース出身の調香師が多いのだそうです。かのフラゴナール社でさえお抱えの調香師は一人だけで、フラゴナールとしてはそれで充分満足と言ってました。
 香水用の花の栽培が主産業だったグラースも、今はアフリカなどからの安価な輸入花に押され、古き良き時代のように花が咲き乱れる町ではなくなっています。それでも美術館や大聖堂を初め、旧市街には往年の面影が残っているので、静かな日曜の午後など半日の散策には持って来いかも知れません。
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by cheznono | 2005-04-14 21:44 | プロヴァンス賛歌

ミモザ街道

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 ボルム・レ・ミモザから地中海沿いのサント・マキシムやサン・ラファエルを通って、ミモザ祭りで知られるマンドリュー・ラ・ナプールからグラースに抜ける道がミモザ街道と呼ばれることを最近知りました。19世紀にコートダジュールを避寒地にしていたお金持ちのイギリス人たちによって庭に植えられたミモザはその後、どんどん森や山に広がっていったようです。2月から3月はニースから海岸沿いにアンティーブやカンヌ方面に走る電車の窓からも黄色く曇るようなミモザの木立が見れて楽しいです。
ミモザは風に弱くモンペリエやミストラルが強く吹くアビニョン周辺ではあまり育たないため、プロヴァンス地方では地中海沿いのようにこぼれるようなミモザが見られることはないみたいです。
 ニースのカーニバル前くらいから3月まではミモザの小さな花束が3ユーロ程度でよく売れていましたが、ミモザは香水やお菓子などいろいろな商品にも利用されています。石鹸やミモザ水、ミモザキャンディやシロップ、ジャムなどなど。スミレの花びらの砂糖漬けとミモザの砂糖漬けのコンビも春らしくて、ちょっとしたお土産にお勧めのお菓子です。
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by cheznono | 2005-04-13 06:11 | プロヴァンス賛歌

ボルム・レ・ミモザ

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 サン・トロペとトゥーロンの間にある鷹ノ巣村、ボルム・レ・ミモザまで友達に会いに行って来ました。この辺りでは有数の風光明媚な村で、人口5000人の小さな村が夏場は5万人に膨れるのだとか。鷹ノ巣村の特徴で、敵の攻撃から守れるようまず山の頂上に城を作り、その周囲に家が立ち、人口が増えるに連れて上から段々畑のように家屋が下り裾野の海側に達するという形状はボルムも似ていますが、家並みがコートダジュールの石造りの鷹ノ巣村やプロヴァンスのリュベロン地方の古い村々とは全然スタイルが違うので驚きました。
 ボルムの旧市街は12世紀から発展し、今は廃墟と化したお城は13世紀から14世紀に渡って建てられたもの。他の鷹ノ巣村同様の歴史を持つのに、ここはまるでオランジュやサロンのカラフルな町並みが階段状に重なり合っているように見え、その分石造りの鷹ノ巣村よりも遥かに明るい印象です。この冬ここに越して来た友達によると、復活祭まではお店も皆シャッターを閉じて人影もまばら、なんて不便な村だと途方にくれたけど、2月のミモザ祭りを過ぎた頃から旅行者の姿が増えて来てお店やアトリエも少しずつ開き始めたそうです。それでも、細長い外米しか買えないという彼女のために、私はニースから米袋を下げて行きました。
 この村もアルチザンの手作り工房が多く、お店が全部開いたらもっと楽しそう。ブーゲンビリアの咲く季節にもう一度訪ねてみたいものですが、交通の便がイマイチなのがちょっと難点です。
http://www.bormeslesmimosas.com/
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by cheznono | 2005-04-09 06:45 | プロヴァンス賛歌

b0041912_6135093.jpg 大ヒットした「アメリ」のスタッフの話題の新作「ロング・エンゲージメント」。セザール賞は逃したけれど、ヒロイン、マチルダ(オードレイ・トトゥ)の恋人役のガスパー・ウリエルと復讐に燃える娼婦を演じたマリオン・コティヤールが演技賞を獲得しています。
 19歳のマチルダは、第一次大戦に出征した恋人マニクが軍罰を受けて死亡したという報せを受け取ります。マニクは戦場から逃れたいために他の4人の仲間と共に故意に自分の身体を傷つけた罪で、ドイツ軍目前の塹壕の中に置き去りにされ、死に至ったという軍側の説明に納得の行かないマチルダは、直感から恋人の生存を信じて、わずかな手がかりや目撃者の証言を求めて奔走、探偵まで雇って戦場での真相を突き止めようと力を尽くします。証人の話や探偵の報告を聞く度に、希望を抱いたり、意気消沈したりするマチルダは、アメリにも共通するような内向的で個性的な性格。実際のオードレイ・トトゥは男勝りで社交的なタイプらしいですが、マチルダ独特の心境を彼女ならではの雰囲気で好演しています。
 でも、何より心に迫るのは激戦で有名なソンムの戦場の悲惨さ、そして人々が大量に犠牲になって行くことの虚しさでした。婚約者の帰りを信じるマチルダの住むブルターニュの田舎の牧歌的な風景と、爆撃で破壊された戦場の荒廃とのコントラストもとても効果的。見終わった後、老マダムから美しい映像だったけど悲惨で、、と話かけられましたが、私もこれは、ラブストーリーやミステリーをうまく使った反戦映画なのではと思いながら、映画館を後にしました。
関連サイト http://long-eng.warnerbros.jp/
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by cheznono | 2005-04-08 07:25 | 映画

コーラス

b0041912_2312818.jpg 2004年にフランスで最もヒットした映画「コーラス」がいよいよ日本公開ですね。「ロング・エンゲージメント」と共に今年のセザール賞の再有力候補だったのに、音楽賞と音響賞に終わってしまったため、フランスのメディアは後々まで残念がっていました。「コーラス」も「ロング・エンゲージメント」も純粋過ぎて賞を逃したのかとも言われましたが、セザール賞選考の背景にはいろいろな社会的事情もあったようです。ちなみにセザール賞を射止めた「L'Esquive(身をかわすこと)」、私は見逃してしまいましたがすごく良い映画だったそうなので、選考は激戦には違いなかったんですね。
 第2次大戦後の爪痕がまだ癒えない中、地方の寄宿学校に職を見つけた中年の音楽教師 マチュー(ジェラール・ジュニョ)。家庭の事情などで全寮制の学校に入れられた少年達が、規則や体罰に縛られ希望をなくてしいるのを見て、子供達に合唱を指導し、歌を通じて人生の楽しさや生きる意味を見出させようとします。中でも問題児のピエールは実は天使のような歌声の持ち主のため、マチューは真剣に彼の将来を考え、美しい母親に彼を音楽学校に進学させるよう提案しながら、彼女に淡い恋心を抱くのですが、、。
 マチューの人の良さと子供達の歌の美しさが胸を打つ作品で、全体に登場人物の誰もがどこかコミカルで微笑ましく、見終わった後、じんわり来ると同時にほんわかした気分になりました。リヨンのサン・マルク少年少女合唱団のソリスト、ジャン=バティスト・モニエが影のある美少年を好演し、ボーイソプラノの美しさをたっぷりと味わせてくれます。この映画で一躍大もてのスター少年となった彼の成長が楽しみ。写真のCDも良く売れているようです。
関連サイト  http://www.herald.co.jp/official/chorus/index.shtml
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by cheznono | 2005-04-07 03:41 | 映画