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NOEL:ノエル

b0041912_14453842.jpg 今年最後の映画はスーザン・サランドン主演のNOELでした。出版社勤務のローズは認知症で入院している母親の面倒を見ていて、今年も一人のクリスマスを迎えています。独占欲が強い警官をフィアンセに持つニーナ(ペネローペ・クルース)は彼の嫉妬深さに耐えかねて部屋を飛び出し、偶然出会ったローズに悩みを打ち明けます。一方、恋人の警官はカフェで働く妙なお年寄りに付きまとわれて、苛立ちを覚えますが、その男性の過去を知って。。
 ニューヨークを舞台にバツイチで母親の世話に明け暮れるあまりつい自分をなおざりにしてしまう真面目で不器用なローズを中心に、クリスマスを一人で過ごす人々の人間模様を軽いタッチで描いたこの作品、今ひとつ各エピソードが食い足りない感じでしたが、マンハッタンの聖夜の雰囲気を楽しむことができました。
 南仏の鷲ノ巣村の一つで働いている友達が一大決心をして、来年はマンハッタンで就職するのですが、NYは人種の坩堝で様々な宗教の人達がいるため、クリスマスを伝統的なスタイルで祝う人が比較的少なく、むしろ11月末の感謝祭を派手にお祝いすると言われたとか。カトリック離れが進んでいるフランスとは対照的に、ブッシュ政権以来ますますキリスト教色が濃くなっているアメリカで、還俗した元神父に信心を持っているかどうか聞かれたローズが、「とても揺れているわ」と答えるシーンが印象的でした。フランスでは年配の知り合いやイスラム教徒らを除いて、殆どの友人が「無信心だよ」ってさらっと言ってのけるから、NYのキャリアウーマンが信仰に揺れるというセリフはアメリカらしいと思います。
 とはいえ、教会なんて、宗教なんてと言い切るフランス人達も皆ノエルにはツリーを飾って家族で華々しく祝うし、予定のなさそうな人には声をかけて家に招待をしたりとやっぱり聖夜への思い入れは日本のお正月を遥かに超えている感じだから、無信心者達もどこか魂の片隅にはキリスト教が息づいているに違いないのでしょう。
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by cheznono | 2005-12-30 15:52 | 映画

クリスマスクラッカー

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 ニースから同時に送った航空便と船便の書籍のうち、通常3ヶ月くらいかかる船便が2週間で到着。でも、一緒に出しただいじな航空便の大箱は、所要1週間の筈が3週間以上かかってやっと今日到着しました。航空便は書籍の3倍近い値段なのに、クリスマス期間はこれだからかなわないって思ってたら、夕方また次の大箱が配達されて来たので、未だトランクの中身も片付いてない我が家はに荷物の山に。大掃除ができるのはいつになることか。。
 帰国の前日に友達が開いてくれたホームパーティに英国人のカップルがクリスマスクラッカーを持って来て、「極めてイギリスらしい代物だよ」って言いながら皆んなに配りました。細長い筒型のクラッカーの両端をそれぞれ隣の人と引っ張り合うと、クラッカーの中の爆竹?がはじけてパチパチという音と共に紙の王冠とおもちゃが飛び出します。確か日本のは逆三角形、ソフトクリームの下のコーンのような形で、中から細いテープが飛び散る方式ですよね。私はてっきりクラッカーはアメリカから日本に入って来たのだと思ってました。
 でもその日、私の前に座ったアメリカのニューヨークタイムズのジャーナリストという女性に筒状のクラッカーを一緒に引っ張ってもらおうとしたら、「何これ?見たことないわ」って不思議そうな顔つきです。クラッカーを持って来たイギリス人は喜んで、「アメリカ人も知らないんだね?イギリスの伝統的なクラッカーはアメリカに渡ってなかったんだ」と紙の王冠をかぶってはしゃいでたけれど、本当でしょうか?
 クラッカーのないフランスでは、新年に食べる王様のガレットというお菓子に紙の王冠がついて来るそうです。キリスト生誕のお祝いにやって来た東方の三博士(王とも言われている)が王冠をかぶっていたことに由来するようです。
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by cheznono | 2005-12-28 00:40 | 雑貨

ある子供

b0041912_17495049.jpg 今年のカンヌ映画祭パルムドール賞を取ったベルギーのダルデンヌ兄弟の作品「ある子供」は、せつな的にその日暮らしをする若者たちの一面をリアルに描いているとフランス公開でも大好評でした。
 定職のない20歳のブリューノは窃盗などの軽犯罪を繰り返しながら日銭を稼いでいる毎日。恋人のソニアとはいつもじゃれ合い、本能で結びついたような間柄でしたが、二人の間にできた赤ん坊に対しては父親としての実感が湧かない様子。対して、ソニアの方は幼さを残しながらも母としての自覚が生まれ、ブリューノが真面目に働いて二人で子育てをして行くことを望んでいます。でも、目先のことしか頭にないブリューノはソニアに断りなく、幼児売買の組織に自分達の赤ちゃんを売り渡してしまいます。驚愕してショックのあまり倒れたソニアを病院に運んだブリューノは、その時点で初めて自分のした行為の罪深さに気づいて赤ん坊を取り戻しに行き、何とか無事にソニアに赤ちゃんを返すことができるのですが、彼女はもうブリューノと口も聞いてくれません。闇仲介の男達から身包みはがれたブリューノはソニアに無視され、無一文のため手下の少年とまたひったくりを企て、そして。。 
 崩壊家庭や若者の高い失業率、幼児売買の闇取引などベルギーの社会問題を背景に、将来への展望のない若者達のせつな的な日常を見ごとに切り取って見せたこの映画、無鉄砲にその日暮らしを送っていた主人公の姿にはどこか憎めないものがあります。もちろんフランスの社会事情とも共通するものがあるし、日本も含めて先進国の若年層が直面している現実に暗い気持になりながら、でもラストシーンに希望を見て意外にさわやかな気持で映画館を後にしました。
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by cheznono | 2005-12-23 18:22 | 映画

宮殿のクリスマス

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 ニースからロンドン行きのBAは大きいボーイングて、クリスマス休暇で帰国するイギリス人でいっぱい。エア・ホステスにカフェを頼んだら、えっ?ってきょとんとしたので、もう一度「カフェをお願いします」って繰り返すと、「ああコーヒーのことですね?」当たり前じゃないの、仮にもフランスとイギリスを往復している便なのにずいぶんじゃないと思いました。ロンドンは乗り換えだけというのも通じないので、英語に切り替えながら、一歩空港を出るとフランス上空でも仏語の通じない現実にまたしてもがっくり。
 帰国前日にひょこっと訪ねたモナコは思ったより新鮮で、やっぱりここはフランスじゃなくて外国なんだなって強く感じました。ニースにいながら今まで通過するだけだったモナコにやっと行って来たと言うと、リヴィエラ一番の人気観光地なのにとニースの人に驚かれましたが、何だかお金持ちのリゾート地のイメージが先行し過ぎて今まであまり興味が持てなかったんです。派手に遊ぶお金持ちと彼ら目当てに集まる各国の若い女性達の様子を知人から聞いていたせいもあって、ちょっと斜に構えていたモナコですが、クリスマスを迎える宮殿前の静かな空気や旧市街の清潔さが気に入りました。
 13世紀にジェノバのグリマルディ家が統治を始めて以来、独立を貫いて来た超小国が生き残るには、やっぱり観光大国になるしか道はなかったのでしょうね。一番感動したの人が穏やかな雰囲気で、道を横断しようとすると必ず車が止まってくれること。これは普段、ニースで横断歩道の信号が緑でも車に撥ね飛ばされかねない目に合っている身としてはかなりびっくりでした。まるでイギリスの田舎のようです。懐が暖かいから人の心にも余裕があって運転マナーも良いのかも?ニースの友達も、確かにモナコはその辺が全然違うねって同様の感想を持っていました。今まで敬遠してたけど、来春はもう少しゆっくり見学してくるつもりです。
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by cheznono | 2005-12-21 01:30 | コート・ダジュール散歩

鷲ノ巣村のノエル

b0041912_8463618.jpg 明日は帰国する日というのに未だにパリの旅行社が送ったという飛行機の電子チケットは届かず、急遽FAXしてもらった紙1枚で空港に行くはめになったので、不安です。今回は久々のBAで、ロンドン経由で帰るのですが、いつの間にかBAは航空券を発券しないで電子チケットになっていたんですね。航空券を持たずに帰国できるのか心配というのはもう時代遅れなのかも?
 だいたいパリからニースまでの書状が10日経っても届かないなんて他の先進国では考えられないと思いながらようやく最後の荷物をまとめ終わり、午後少し時間ができたのでカンヌのクリスマスの様子でも見に行こうと思ったら、案の定電車が動いていませんでした。コートダジュール付近はこの1週間ほぼ毎日SNCF(国鉄)のストライキで、皆んな通勤にも不自由しています。夜は友人宅にお呼ばれだったから、バスでわずかな時間で往復できる所はとバスターミナルで迷った挙句、モナコに行きました。なんとニースにいながらモナコは通過するばかりで、実際に訪問するのは初めて。でも、写真はまだデジカメに入ったままなので、代わりに日曜に行った中世の家並みが続く鷲ノ巣村リュセラムのクリスマスデコレーションのイメージをアップしてみます。
 リュセラムはクレシュと呼ばれるサントン人形を使ったキリスト誕生の模型を飾るお祭りで知られ、この時期は村の至る所に模型が飾られています。村の細い石畳の道や古い家の軒下も写真のように凝った飾りつけがなされ、村人がアイデアを競っているような感じでした。
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by cheznono | 2005-12-17 09:09 | コート・ダジュール散歩

ニースのクリスマス

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 マントンのクリスマス村に比べて、やっぱりニースのクリスマス村は出店の数が多くて、並ぶ品もそれなりに各地の名産が多いようです。入口のホットワインの小屋はマルシェ・ド・ノエルの風物ですが、向かいにソッカの小屋が出ていたのでさすが地元という感じでした。ソッカは黄色いひよこマメの粉をクレープ風に焼いただけの素朴な食べ物で、クレープよりも厚くて柔らかく独特な食感で、軽い塩味がします。ニースでもお店によってかなり味が違うから、当たり外れも大きいのが難点。この時期、アルザス風なホットワインで温まるのが楽しみですが、ニースはさして寒くないし、今年は飲まないうちに帰国になりそうです。
 購買力が落ちているフランスなので、クリスマス商戦はどこもとても力を入れていますが、マルシェ・ド・ノエルでプレゼントを買う人はどれくらいいるのでしょう?町には大きな紙袋を幾つも下げた人がお店からお店をはしごしている姿が目立ちます。この時期、家族親戚のために1000ユーロ位(約14万円)使うフランス人も少なくないらしいし、実際、人気のお店の手頃な品は見ているうちにもどんどん売れて行きます。
 一方で、年間で一番自殺率が上るのもこのクリスマスシーズンなのだとか。家族が集う時期だからこそ孤独が身にしみてという人も多い社会なのだと現実に気持が重くなります。
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by cheznono | 2005-12-15 09:09 | フランスの四季

クリスマス村

b0041912_8444456.jpg クリスマスマーケットの開かれるのが遅いコート・ダジュールですが、ようやく土曜日からあちこちの町でマルシェ・ド・ノエルが始まりました。独特のマルシェに参加登録した商人やアルチザンが各自ログキャビン風の木製の小さい小屋を借りて、クリスマスの風物やプレゼント向きの品々を販売します。遠いアルザスの食品など日ごろ南仏では目にしないような品も並ぶのが魅力。ちょっとオリジナルなプレゼントを捜すにも良い機会です。
 とはいえ、このログキャビン風の小屋の賃貸料はかなり張るらしく、地元の商人ならまだしも全国各地から集まって来た商人には相当な負担になるとか。そのため、公園や広場を利用したマルシェ・ド・ノエルだからと言って路面店より安くはないというのがちょっと残念。もう今週末には帰国するので、早速マントンのクリスマス・ヴィレッジに行って来ました。
 海の見える広場で開催されているクリスマス村。この時期も旧市街にあふれているイタリア人を初め、人出は多いけれど並んだ小屋の数が少ないのにはあれ?という感じです。これでクリスマス村って言えるの?って思いましたが、手工芸品やアクセサリー、手製のグラス、陶器、お菓子やさん等など一通りは揃っていました。
 それよりも、気に入ったのはマントンの町を彩るクリスマス・イルミネーション。ニースに比べて電飾が繊細でセンスの良いこと。ニースの電飾も南仏の他の町に比べればそれなりに華やかだと思ってたのですが、隣のお金持ちモナコの影響かマントンの方がずっと素敵でした。
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by cheznono | 2005-12-12 09:15 | フランスの四季

暴動の余波

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 世界中で大報道されたフランスの都市郊外の暴動はすっかりなりを潜めたと思っていたら、昨日のお昼過ぎ、ニースのメイン通りの脇で大きな火の手が上っているのに遭遇。大きなブティックHM(ZARAのような洋服店)の横でゴミ箱とダンボールの山がゴンゴン燃えているではありませんか。ニースでも郊外では計240台もの車が焼かれたらしいですが、町中で実際に火が上っているのを見たのは初めてで目をむいてしまいました。
 ゴミ箱(といっても私の首くらいまで高さのある大きな物)が数個と積み上げられたダンボールの山が燃える様は車一台が燃える程度の規模で、強い炎でブティックの看板も燃えています。そして群がる人々の横には警官二人が立ってはいるのですが、ただもう火事を見ているだけ。だいたい昼日中だから本来ならお店の人が慌てて消火器を持って出てきそうなものなのに、そうした気配は全くなし。自分のフティックの横でこれだけの物が燃えて看板も溶けてしまっているのに、何もする気はないのだろうか?ゴミ箱の横に縦列駐車してある車のお尻まで火がつきそうな勢いだと思っていたら、ようやく消防車のやって来る音がしました。とはいえ、トラム工事で道幅は極端に制限され、あちこち通行止めの中心街ですから、消防車が入って消火作業を始めるまでまたどれくらいかかるのかしらといぶかりながら、その場を後にしました。
 移民の多い郊外の暴動がどんどん大きくなっていったのも、警官を初め人々のこうした無関心が大きな要素の一つだったのではないかと考えさせられた出来事です。
 真昼間でしたが立ち上る黒煙で写真も暗くなっています。
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by cheznono | 2005-12-09 07:34 | 不思議の国フランス

ジャン・ジオノの思い出

b0041912_205658.jpg 昨日はプロヴァンスとラベンダーをこよなく愛した作家ジャン・ジオノの娘さんの講演を聴きました。今もマノスクの家族の家に住んでいるシルヴィー・ジオノさんは70歳過ぎのとてもきれいな女性で、毎日かいでいるジャスミンの香りのようにお父さんの思い出が身近にあると生き生きと語る姿が印象的でした。
 20世紀で最も評価されているプロヴァンス作家の一人というのに日本で紹介されているジオノの作品は少なくて残念です。子供向けの物語「木を植えた男」や映画「プロヴァンスの恋」の原作者で、エクスの近くの趣きのある町マノスクで生涯を送った作家ジャン・ジオノ。娘さんによると本人も作品同様にとてもストイックで真面目な静かな人だったそうです。
 マリュセル・パニョルとはよくけんかしながらも仲良しだったジオノは、映画の脚本「河は呼んでいる」でモナコ賞を受けた時、モナコでレーニエ公にお目見えするのに黒い礼服でと指定されたのに「黒服なんて持ってないし、賞のために買う気もない」と言ってたジオノが、実際にはきちんと黒いスーツで受賞の写真に写っていて、写真の裏には「パニョルの礼服のお陰で」って書いてあったという微笑ましいエピソードも。パリのアカデミー・フランセーズに入っていたパニョルはちゃんと礼服を持っていたんですね。がんばってもっとジオノの作品を読まなくちゃと思った心地よい講演でした。 写真は「プロヴァンスの恋」(原作:屋根の上の軽奇兵)から。
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by cheznono | 2005-12-07 03:10 | プロヴァンス賛歌

洪水の夜

b0041912_5554650.jpg昨日の午前中はジェームス・ジョイスのユリシーズについての講義を聴き、午後はヤルタ会談から広島の原爆投下、日本の敗戦に至った経過についての講演会に出て、少し勉強した気になって表に出たら、外はどしゃぶり。少し小降りになるのを待ってから歩き出しました。でも歩道は水たまりだらけで長靴がないと歩けないくらいの雨量です。秋は突然の大雨や嵐が多い南フランスですが、昨日は冬一番の集中豪雨で、何時間でも降りやまず、トゥーロン市の一部が冠水、ニース市内のトンネルでも水にはまった車が動けず夜中に立ち往生したため、消防車が救助に駆けつけました。まるで大きな台風のような感じでした。
 クリスマスに向けて今年は特に電飾に力を入れているニース市。町中の通りという通りは華やかなイルミネーションが輝き、海岸沿いのプロムナーデ・ザングレに並ぶ写真の椰子の木も幹が電飾で囲まれて、チカチカ。椰子の木にまでクリスマス電飾なんて、なんだかミスマッチだし、木にはいい迷惑だなと思ってましたが、この激しい豪雨で今夜から電気がつかなくなるかも?
 11月の暴動報道にもかかわらず、コートダジュールの旅行者は殆ど減らないで良かったと胸をなで下ろしていたばかりのニース。ニースだけで240台もの車が焼かれたらしいですが、幸いクリスマスムードいっぱいの町中でそうした光景を目撃したことはありません。今後も日本人、アメリカ人、ロシア人のようは《「ハイクラスの旅行者》を惹きつけるためと光の彫刻と言われるイルミネーションに予算を費やしたようなので、この暴風雨に市は肝を冷やしたことでしょう。
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by cheznono | 2005-12-03 22:11 | フランスの四季