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フランスのトイレ事情2

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 旅をしていて困るのがトイレという声をよく聞きます。デパートや大きなショッピングセンターでさえ、トイレは上階の方の1ヶ所しかなかったりするので、私も滞在先の町で駆け込み易いトイレはどことどこと必ず把握するようにしています。平日は大学など学校やデパート、公的な建物などが開いていますが、お店や会社が閉まる日曜祝日はトイレのために美術館に入ったり、アパルトマンに帰ったこともあるくらい。どうして西洋人はトイレの数を節約するのでしょう?カフェを保護するためか、おまるを使っていた時代が長いためか、なんて疑いたくなります。
 パリや観光地ではよく簡易式の自動トイレのボックスを見かけますが、コインを切らせていると仕えないし、故障中のこともしばしば。中に非常ボタンがついてはいても、特に一人の時は万が一閉じ込められたらどうしようと心配でそうそう気軽には利用できません。
 いざ困ったとき、小さい町の場合はカフェに入るのが一番ですが、大きい町ならばマクドナルドやクイックなどのファーストフード店が便利です。実際、トイレを利用するためだけにスッとマクドナルドの階段を上って行く人を時々見かけます。いつもスッと入れたのに、ある時ガードマンに「どちらへ?」と聞かれて答えに窮した友達もいるし、全く何も買わないでトイレだけというのはちょっとまずいので、私はコーヒーだけを注文してたまに使わせて貰っています。お店側も客の無食無飲トイレ使用を防ぐため、レシートにその日のトイレコードをプリントして、そのコードをトイレの入口で入力するシステムを採用している所が多くなっています。
 でもそこはたくましいフランス人、マクドナルドに駆け込んで来て座っている客に「レシートありません?」と見知らぬ他人からレシートだけせしめたり、「トイレのコードは何番でしょう?」て聞いたり、トイレの入口に立って、ドアが内側から開いて中から人が出て来るのを待つ人も。旧式のお店だとレジに頼んでトークンを貰ってドアを開ける所もあるから、この待ち受け方法はそういう場合にも有効です。
 写真はホテル・ネグレスコの女性トイレ。中に入るとおおっという感じがします。
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by cheznono | 2006-02-24 14:24 | 不思議の国フランス

春を呼ぶミモザ

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 コートダュールはミモザが満開の季節を向かえ、幾つかの町ではミモザ祭りが開かれています。ボルム・デ・ミモザからグラースに抜けるミモザ街道はもちろん、カンヌ~アンティーブ間の鉄道沿いなど、あちこちで空を黄色く染めるミモザの木立はフレンチ・リヴィエラの春の風物詩。日本の梅や桃の花のように南仏に春を告げるミモザは、開花期が長く芳香がするのも魅力です。
 18世紀の後半、英国の探検家キャプテン・クックによってオーストラリアからヨーロッパにもたらされたミモザはアカシアの仲間で、約1200もの種類があるそうです。コートダジュールには19世紀末、イギリス人が別荘に植えたことで人気が出て、やがてミモザは自然に繁殖して行きました。フランスで見られるミモザは5種類程度で、皇帝ミモザ、ガリア、セント・ヘレン、ミランドルといった種が一般的。背丈は3mから大きい木では8m位になり、丸い粒粒のような花をびっしりつけます。
 日本のミモザは香りがないというコメントを幾つか頂いて驚きましたが、南仏のミモザは独特の香りを強く放ちます。ミモザの香りにはヒーリング効果があって、ストレスを軽減するとか。ニースのカーニバルのフラワーパレードでは、観客に向けてふんだんにこの花が投げられるし、無尽蔵に生えているかのように見えるミモザですが、勝手に花を摘むことは禁止されています。だからコートダジュールの人達もその辺の枝を折らないで、花屋さんでミモザの花束を買っているんですね。
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by cheznono | 2006-02-21 00:20 | フランスの四季

クラッシュ

b0041912_111666.jpg フランスのドーヴィル映画祭でグランプリを受賞した「クラッシュ」。ミリオンダラー・ベイビーを手掛けたポール・ハギス監督の群像劇で、去年の秋ニースに戻った時にまずこれを観るべきと一押しで勧められた作品です。
 クリスマス前のロサンジェルスで、道路脇に黒人の若者の遺体が見つかり、その前日のさまざまな人種による出来事が断片的に紹介されます。何度も泥棒に入られてイラついているイラン人の商店経営者、その商店の鍵を付け直す依頼を受けるヒスパニックの鍵修理工。白人の地方検事とその妻は黒人のチンピラ2人に車を略奪されてしまい、ツンとした検事の妻はますます過敏でヒステリックになって夫はもてあまし気味。車の中に自宅の鍵を入れていた検事夫妻は、家が強盗に合うのを恐れてやはり鍵の修理工を頼みます。治安の悪い地域に住む修理工は帰宅すると、辺りの銃声に脅える幼い娘に「防弾マントの役目をする透明な服を着せてあげる」と言い聞かせてなだめます。
 車を盗んだチンピラ二人は夜道を焦って韓国人の男性を轢き逃げし、夜のパトロール中の白人警官二人は楽しげにドライブしていた黒人のTVディレクターとその妻を止めて、ベテランの刑事は黒人の妻にいわれなき屈辱を与えます。それを見ていた若い警官は人種差別的な先輩の態度に強い怒りを感じるのですが。。
 人種の坩堝のようなロサンジェルスで、普段は別世界の人間として暮らしている人達が、事故や犯罪がきっかけで接点を持ち、相手に対する偏見が強く出たり、憎悪を深めて行く過程が無理なく描かれます。そして、その点が私はとても怖いと感じました。他の民族と同じ地で生活するということがこんなに殺伐として疑心暗鬼な、しかも銃社会を作ってしまったなんて、何ともやるせない気持がします。
 フランスも白人、黒人、アラブ系、アジア系やその他が共存している他民族国家で、その分人種差別も根強く、白人であっても両親がフランス人でない人達が感じる見えない差別は結構強いものがあります。秋に世界を騒がせた暴動や最近のムハンマドの風刺画掲載問題も人種的な偏見や相手の文化に対する無知や無関心が根底にあるので、この映画は人ごとではないリアリティを持ってフランス人に高く評価されたのでしょう。ただ、フランスは銃規制をしているから、銃社会のアメリカとは犯罪の質も全然違うと言えるかも知れません。
 「クラッシュ」は、それでも個人個人が一生懸命に自分の人生を生きていることがしっかりと描かれ、幾つかのエピソードも希望のある展開を見せるところに救いがあり、他民族社会の将来への期待もにじませている点が魅力でした。
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by cheznono | 2006-02-19 00:57 | 映画

想像妊娠つづき

b0041912_1912761.jpg 19世紀に英国の愛玩犬キング・チャールズから改良されて作られた犬種であるキャバリアは、穏やかで飼い易い性格のためフランスでも人気ですが、遺伝性の心臓疾患が多く出るというとてもかわいそうな欠点を持っています。この心臓疾患は5歳以上のキャバリアにはかなりの確立で起こる病気で、不幸にもこの犬種の平均寿命を縮めています。だから、繁殖にも注意が必要で、親犬が遺伝性の心臓病を持っていないかどうかを確かめてからでないと、安易に子犬を取ることはしない方が良いのです。しかし、ニースの友達の獣医はこの点を全く考慮せずに、1週間以内にテキトーなオス犬を見つけるようアドバイスしたというからちょっと呆れてしまいました。
 とはいえ、今すぐ避妊手術をするか、一度繁殖をさせるかを迫られた友達は、愛犬シャーロットに一度は母親体験をとお散歩で知り合いになっていたおしゃれなマダム弁護士に連絡を入れました。マダム弁護士も自分のオス犬スポーキーの子犬をほしがっていたので、二人はランデブーを決めたのですが、さて犬のサイズが違い過ぎるのです。スポーキーは10kg以上あるがっしりしたキャバリア。対してシャーロットは細く小さい体付きで5kgしかありません。「シャーロットが大き目の子犬を何匹も宿してしまったら母体が心配だよ」と私も反対したため、友達はマダム弁護士の犬との縁談を諦め、小柄なキャバリアを見つけるべく翌日も海岸沿いを捜し歩いたのですが、ぞろぞろ行きかうお散歩中の犬の中でキャバリアは15匹に1匹くらい。そうそう簡単に小柄なオスの願わくは健康そうで良い顔立ちのキャバリアが歩いているわけではありません。
 それでも友達は、見かけたキャバリアの飼い主に子犬を望んでいないかどうかを尋ね、シャーロットのパートナーになって貰えないかと頼み歩いたそうです。数日間で、頼んだオスキャバリア5匹。でも相手も初対面の人と犬にすぐにと繁殖を申し込まれて、とまどったのでしょう。ことごとく断られてしまいました。もう日にちがないと諦めかけた頃、やっとシャーロットに近い体型のオスが見つかり、飼い主のOKが出たので、いざ結婚をということになったのですが。。うまくは行かなかったそうです。犬の世界も微妙なもの。想像妊娠までして子犬を産みたがったシャーロットですが、結局はやっとめぐり合った相手を受け入れませんでした。飼い主は双方ともがっかりしたようなほっとしたような複雑な気持だったかも知れません。
 写真は当工房の愛犬アントン、耳にリボン付きですがオス犬です。 
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by cheznono | 2006-02-15 19:54 | いつもの暮らし

想像妊娠

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 ニースの友達のブラジャーが好きなメスのキャバリア:シャーロットは、お散歩中にすれ違うオス犬が近寄るとすぐにゴロっと道端でひっくり返り、どのオスにも全身で喜びを表現するので、尻軽娘と呼ばれていました。1歳を迎えた去年の秋、シャーロットは突然巣篭もりするような様子を見せ、ぼろきれを引っぱって来ては抱え込むようにして部屋の片隅にうずくまるので、心配した友達が獣医に相談すると、どうも想像妊娠しているとのこと。それまで小柄だったシャーロットはお腹の子供のために?と太り始め、いつもの明るく陽気な性格も神経質な子に変わってしまいました。
 想像妊娠し易いメス犬は黄体ホルモンのバランスが良くないことが多く、ほおっておくと婦人科の病気にかかり易くなるため、獣医はすぐに避妊手術をするか、あるいは次回の発情期に妊娠させて子犬を取るかの決断を迫ったそうです。将来の病気を防ぐために手術をしなくてはいけないのはわかっても、まだまだ子犬のようだと思っていた愛犬を開腹手術させるのは飼い主としては大きな決心が必要です。次回の発情は今年の夏頃と言われた友達は、手術してしまう前に一度は子犬を生ませてあげたい気はするけど、と悩んでいました。
 夏までに結論を出そうと思っていたら、次は夏という獣医の予想に反して年明けに再びシャーロットの発情期が始まり、その気になった彼女はまた巣篭もりの態勢に。獣医はそれならこの1週間で誰か適当なオスのキャバリアを見つけてカップリングをと勧めたのです。なんて無謀なと思いますが、慌てた友達はプロムナード・デザングレ(ニースの海岸沿いの散歩道)を行きかう犬連れの中で、シャーロットの相手にふさわしいキャバリアのオスを見つけんと、寒空の下、フィアンセ探しに繰り出したのでした。つづく 
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by cheznono | 2006-02-14 17:45 | いつもの暮らし

b0041912_12818.jpg 「恋に落ちたシェイクスピア」の監督がロンドンやブロードウェイの大ヒット舞台劇を映画化したと話題の「プルーフ・オブ・マイライフ」をやっと観て来ました。天才数学者だった父親が精神を病んだ後に亡くなり、5年間父の面倒を看て来た次女のキャサリンは気力を失くして、今度は自分の神経が参ってしまいそうな様子。父親似で高い数学の能力がありながら大学を中退し、不器用で人付き合いの苦手なキャサリンは、父と対話することで自己実現を図って来たような女性で、父親の死を受けとめ切れず、父親の病いの遺伝にも怯え、ニューヨークから葬儀に戻って来た姉とも激しく衝突するばかり。
 そんな彼女を父の教え子だった若い数学者のハルが何とか力づけようと努力します。初めは当り散らしていたキャサリンも次第にハルと恋に落ちて行くのですが、父親の残したノートの中に世紀の大発見的な数学の証明が見つかり、「この証明を書いたのはパパじゃなくて私よ」と主張したキャサリンの言葉をハルも姉も容易には信じないことから、キャサリンの心はまた頑なになって。。
 アンソニー・ホプキンス演じる父親が、正気と向こう側との境界線を行ったり来たりしている元天才を演じて、圧倒的な存在感でした。キャサリンの回想と神経質な振る舞い、ハルや姉との辛らつなやり取りが交差しながらラストまで引っ張って行きます。が、姉妹の軋轢やキャサリンの激しい言動が延々続くので少し疲れてしまいました。
 同じくグゥイネス・パルトロウが演じた天才詩人が精神のバランスを崩して行く「シルヴィア」と違い、この作品は神経質な引き篭もりの数学の天才が愛によって希望を見出して行く点に救いがあります。それにしても、人格を否定されるような言葉をぶつけられても尚、キャサリンを応援して止まないハルの忍耐強さには拍手。こんなに人の良い理解者に会えたのも、父親の遺した贈り物という感じですね。
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by cheznono | 2006-02-12 01:24 | 映画

犬とブラジャー

b0041912_0384767.jpg フランスでホームスティをしたり、誰かのお宅に招かれたり、友達のうちへ遊びに行ったりといろいろな家やアパルトマンを見て来ましたが、どこもきちんと片付いていて、部屋をすっきりと見せるように工夫したり、空間をゆったりと使っているのには感心します。靴や洋服や洗濯物があちこちに散らばっているお宅に連れて行かれて、ほうって目を見張ったこともありますが、一人暮らしでも家族がいても、たいていは家の中にごちゃごちゃ物を置いたり飾ったりせず、すっきりと暮らしているという印象です。
 ニースで時々遊びに行っていたカップルのアパルトマンは1K。狭いけど、いつもきれいに片付いて、感じの良い部屋に彼らの愛犬の小さいメスのキャバリアがチョロチョロしています。ある時、犬を撫ぜていたら、床に薄汚れたブラジャーが落ちているのを発見。友達(カップルの女性の方)は何事にもきちんとしているタイプだから、見てはいけない物を見てしまったような気持がして迷ったけど、彼の方に聞こえないように「犬がブラジャーを引っ張り出してしまったみたいよ」って囁きました。すると彼女、驚いた顔で私を見つめ「あら、知らないの?!犬ってブラジャーが大好きって有名よ。それはこの子にプレゼントしたの」へえ、犬がブラジャーと遊ぶのが得意だったなんて初めて聞いたと首をかしげる私に、「日本の犬はブラジャーをおもちゃにしないの?」といぶかしげな彼女。家のキャバリアは大きなオスだけど、今までブラジャーを与えたことはないからわからないなあ、と答えたものの、帰国後も試したことがないので、犬のブラジャー好きを立証できずにいます。
 うちの床は愛犬のための雑巾やタオルケットや骨型のおもちゃが転がっていますが、さすがにブラジャーのお古をあげる気にはならないのでした。写真はグラースの犬のトイレ。ニースにも設置してほしいものです。
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by cheznono | 2006-02-10 01:32 | いつもの暮らし

スタンドアップ

b0041912_21125544.jpg シャーリーズ・セロンが炭鉱労働者として男社会に立ち向かう骨太な作品「スタンドアップ」。「きれいな顔をしているんだから、無理して裁判に訴えるより誰か見つけて落ち着けば?」という弁護士の助言にキッとして、「自立して自分の手で子供達を育てて行きたいのよ」と言い切るヒロインの姿に、シャーリ-ズ・セロンの女優魂が重なるような映画でした。
 アメリー・ノートンが東京の有名商社に勤めて、女性上司に疎まれるのを理解できずに悩んでいると、何かと親切な男性社員から、「アメリーさん、29歳の女性が独身で仕事を続けているっていうことはどんなことだかわかってますか?」なんて囁かれていた1989年、夫の暴力に耐えかねたジョージーは、雪のミネソタ州の実家に戻り、二人の子供を育てるべく、稼ぎの良い炭鉱で働くことを決意します。
 炭鉱労働者のうち女性は30対1という古い男社会で、女性は男の職域を侵すという理由で男性の同僚達から執拗に繰り返されるあくどいセクハラ。同じく炭鉱勤めの父親からも避難される中で、ジョージーは会社の上層部に改善を直訴するのですが、事態は余計に悪化するばかり。仕事を失いたくない同僚の女性達が我慢を決め口をつぐむ中、ついに裁判に訴え出たジョージー。でもそれは長男の出生にまつわる封印していた過去までもさらけ出すことになって。。
 バブルのピーク時にアメリカ北部ではまだ炭鉱が主要な産業で、現場ではこんなにひどい男女差別がまかり通っていたという事実に驚かされます。周囲からは身持ちの良くない女のように誤解されているジョージーが、終始毅然とした態度で女性が炭鉱で無事に働く権利を主張する姿に頭が下がる思いでした。反抗的だった長男に自分の思いを語るシーンや、封建的な父親が娘に理解を示すシーンには目頭が熱くなり、彼女の生き方が説得力を持って胸に迫って来ます。
 裁判中に弁護士が証人に向かって真実を言うようにと「スタンドアップ!」を連呼して、労働者の連帯を呼びかけますが、タイトルは原題のNorth Countryの方が良かったのではと思います。カナダ国境の雪国だからこそ産業が炭鉱しかなく、その炭鉱も存続が危ぶまれているという、男性も含めて北の生活の厳しさを浮き彫りにした作品という印象でしたから。 
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by cheznono | 2006-02-07 22:25 | 映画

畏れ慄いて

b0041912_17515525.jpgベルギー出身でフランス在住の作家アメリー・ノートン。現在精力的に書きまくっているアメリーが作家を目指す前に、日本で経験した悲惨な会社生活を綴った「畏れ慄いて」は数年前に映画化され、フランス人にいくらお給料が良くても日本では働きたくないと思わせた大ヒット作品となりました。アメリーの描いたOL体験が極端過ぎたせいか、映画は日本公開されなかったようですが、今週アテネフランセの開催している「フランス現代映画への視線~横浜シネマテーク所蔵作品から」で上映されています。
 幼い頃、ベルギー大使の家族として日本に滞在した経験を持つアメリーは、日本語も達者で、幼児期に見た美しい日本への憧れを強く抱いて育ち、大学卒業後、夢にまで見た東京の大商社の契約社員として日本に戻って来ます。
 時はバブルの真っ只中。配属された部署で、29歳の美人上司マドモワゼル森の指導の下、これから自分の能力を思う存分発揮できると張り切っていたアメリーが直面した現実は、お茶くみやコピー取りの雑用。そして、憧れの上司マドモワゼル森によるイジメとも云えるような冷たいあしらい。一般事務に対する無能力さや日本企業への協調性に欠ける振る舞いがたたって、ついにアメリーはトイレ掃除係りに左遷されてしまいます。
 高卒後、一般職で就職した森嬢が勤続10年で総合職の上役になるまで、どれほど苦労して来たかとこんこんとアメリーに諭すシーンが印象的でしたが、映画の後で日本では29歳で独身の会社員でいることが本当にマズイことなのか?と何人もに聞かれてその度に大笑い。バブル時代にそんな発想があったという記憶はないので、この商社が特別だったのでしょう。
 森嬢の上の課長、その上の部長など、出てくる管理職は誰も極端でおかしな人ばかり。こんなに封建的で無駄の多い大企業が本当にあったのか大いに疑問ですが、日本企業で働く上での暗黙の掟のような約束事を全く知らされていなかったアメリーが、どんどん他の社員から浮き上がって行く姿がコミカルに描かれているこの作品、これが日本の会社員の現実と思われるのはかなり痛いものがありました。
 小説の方は邦訳も出ていて、噂では映画よりも辛口な内容だそうです。アメリー・ノートンは日本での忘れ難い幼児体験を綴った本も出していて、こちらは日本への愛着に満ちているらしいので、バランスは取れているのかも知れません。
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by cheznono | 2006-02-03 18:39 | 映画