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b0041912_21473099.jpg 暖冬で暖かいロンドンにやって来ました。心配していたBAのストが回避されたので、ニース便が飛ばないかも?という不安からは開放されてほっとしています。とりあえず、今日はマリー・アントワネットとフランスについて。
 昨年のカンヌで候補となったソフィア・コッポラ監督の「マリー・アントワネット」、一口で言えばロスト・イン・ベルサイユというような映画でした。蝶よ花よと育てられた中学生くらいのお姫様が
政略結婚のため、オーストリアの宮殿を離れ、愛犬や侍女とも引き離されて、たった一人フランス王室へ嫁いで行くなんて、まあなんと心細いことでしょう。嫁ぎ先のベルサイユでは、あまりのカルチャーショックに戸惑うばかり。頼みの夫は自分と同じく未熟な王子で、妻となったマリー・アントワネットに女性としての関心は全く抱いてくれない。なのに、オーストリアの母マリア・テレジアからは、「世継ぎを産むのがあなたの役目。王子が生まれなければ、あなたの立場は極めて不安定なままですよ。」とやいのの催促。でも、どうしたらいいの?
 贅沢絢爛なベルサイユで孤立する少女の様子が、ファッション誌のグラビアのような美しい映像とともに綴られます。そして、突然はさまるロック・ミュージック。現代っ子とあまり変わらないようなマリーが、よそ者の異端児扱いされるフランスの宮殿で、おしゃれとグルメと舞踏会に身をやつしながらだんだんと自分の世界を築いてゆき、一方で夫ルイ16世が英国への対抗心からアメリカ独立を支持したため、国庫は急速に逼迫してゆく。やがて。。
 ポップな映像の中でコッポラ監督が描きたかったのは、ひたすら外国人嫁マリーの異文化ショックだったみたいで、この甘やかされた王妃がいったいどのように国民の反乱と革命を受け止め、心情を変化させてゆくのか、と言った過程が全く省かれていたは残念でした。何かと言うと「我ら共和国の人間は」などと口を揃えるフランス人も、実は革命で王と妃の首をはねてしまったことを後悔している向きが強く、イギリス王室やモナコ公国のプリンス、プリンセスの動向は常に注目の的。今でも好きな言葉のアンケートの上位には必ず「王」や「女王」という言葉が来るし、未だ隠れ王党派も存在しています。でも、民衆が食べ物にも困るほど貧窮していた時代に、ベルサイユでは王侯貴族がこんな生活を送っていたということを映像で見せられたら、やっぱり「共和国万歳!」を叫びたくなるでしょうね。とはいえこの映画、カンヌ映画祭のすぐ後に公開されたこともあって、ニースでは結構ロングランでした。外国人ヴァカンス客が多い季節だったからかも知れません。
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by cheznono | 2007-01-30 21:51 | 映画

オーロラ

b0041912_0173094.jpg かぐや姫のフランス版?を素晴らしい踊りと共に映画化したような「オーロラ」、美しいお伽話として楽しむことができました。ストーリーが単純なだけにセリフも少なく、その分、きれいなフランス語をくっきりはっきり聞けるのも魅力です。
 なぜかダンスが禁じられた王国で、美しい母親の元に生まれた16歳のオーロラ姫とその弟。父王はオーロラ(仏語ではオーロール)が踊ることに難色を示しますが、バレイの才能に恵まれたオーロラはところかまわず踊らずにはいられません。そんな中、家臣は父王に、干ばつによる飢饉が続いたため財政が行き詰まり国庫は空だから、オーロラ姫を金持ちの国の王子と政略結婚させるようにとそそのかします。やむを得ず父王は禁じていた舞踏会を開き、娘の求婚者を募ることになります。
 しかし、自分のお見合い用肖像画を発注された画家と恋に落ちたオーロラは、父王の勧める縁談をことごとく拒否し、やがて二人は家臣の悪巧みに利用されてしまうのですが。。
 初恋のときめきを踊ることで全身で表現するオーロラ姫の姿は、パリのオペラガルニエで遠い舞台を観るより心地よいかも知れません。舞踏会で披露される各国の王子が率いるダンス団もそれぞれ楽しい踊りを見せてくれました。求婚者の中に明らかに日本を意識したジパンゴ王子が袴のような姿で現れ、とんでもない前衛的な踊りを見せた上で、「わが国が求める嫁は従順な良妻賢母」みたいなことを言って、オーロラに求婚するのですが、これが全く頂けない。今さら日本は男尊女卑の金持ち国というイメージを強調するのは、東洋べっ視というよりも嫉妬と脅威を感じるからでしょうね、きっと。ジパンゴ王子を演じたのは、国内外で活躍している振り付け師、竹井豊さんですが、オーロラに披露したあの異様な踊りも彼の演出なんでしょうか?
 美しい姉オーロラにまるでプードルのようにぴったりと付いて回る弟王子が、素直で純粋な子供らしい男の子で、とてもかわいかったです。これじゃあ、一生シスター・コンプレックスのまま過ごすのでは?と心配してたら、後半急に自立心が付いたのでほっとしました。
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by cheznono | 2007-01-24 00:53 | 映画

息子にヌードを、の母心

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 ヘンダーソン夫人の贈り物は、第二次大戦に出征して行く若者たちへヌード・レビューを見せてあげようというものでしたが、そうした母心も巷に裸が氾濫している現代ではどう変化してるでしょう?フランスはTVのCMはもちろん、街中の大パネルのあちこちにヌードが使われています。若い女性の裸の上半身、青年の引き締まった身体、カップルのヌードなど。なぜこの商品やテーマにヌードが必要なのか、よくわからないものも多いけど、共通するのは写真のモデルは若者で、スリムで美しいスタイルの持ち主であるということ。
 かつて、南仏のアリアンス・フランセーズで週2回出席していた時事会話のクラスの教師は、40代後半くらいのきれいでシャープな、感じの良いマダムで、なかなか人気のある先生でした。その先生にはローティーンの男の子が二人いたのですが、息子たちが時々ヌード写真雑誌を見てたりすると、必ず取り上げてると言うのです。へえ、フランス人でも子供が女性のヌード写真を楽しんだりするのは教育上よくないと思うのかしら?第一これだけ氾濫してたら、隠しようがないだろうにと不思議に思ったら、その理由がふるってました。「だって、女性の身体って現実にはあんなろくに食べてるかどうかもわからないモデルさんのように完璧なわけないじゃない?だから、息子たちが女性の裸を妙に理想化したらまずいと思って。」なるほど、それは一理あるかも。
 で、彼女が講じているヌード対策は、「だから、私のお風呂上りの裸を息子たちに見せてるのよ。」えっ、なんで?!「これが本物の女の身体だって。雑誌のモデルのような人工的なヌードじゃなくて、本当の肉体はでこぼこしてたり、お腹が出てたり胸がたれてたりするわけじゃない。」はあ、そういう母心もあるのねとびっくりしている生徒たちに、「TVや写真のヌードで息子たちが女性の身体に対して幻想を持ってもらいたくないのよ。母親の私の裸をいつも見ていれば、実際に彼女ができた時もヌード雑誌と違うなって慌てないと思うし。」そういう先生は生き生きとしたスリムな女性でしたから、果たしてこれが現実よ、というくらい若いモデルとのギャップがあったかどうかわかりませんが、こういう発想ってやっぱりフランス的ですよね、きっと。と思い、日本から来た子供のいる女性に聞いてみたところ、「うーん、うちは娘だから自分の裸も平気で見せてるけど、これが息子だったらそうはいかないよね。何だかびっくり。」と言ってました。
 その話を聞いた後しばらくは、先生が真面目は社会問題を解説してくれている最中でも、このマダムがシャワーの後、中学生の息子たちの前を真っ裸でウロウロしてるいる姿をふっと想像しちゃうことがあって、ちょっと困ったものでした。とはいえ、フランスに慣れてみれば、幾つになろうと誰がいようと家の中をすっぽんぽんで動き回るマダムたちの多いことにも驚かなくなったので、今から思えばあの先生もごく一般的に自然体で子育てしてただけだったのかも知れません。
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by cheznono | 2007-01-19 00:25 | 不思議の国フランス

b0041912_0325184.jpg 英国でもフランスでも好評だった「ヘンダーソン夫人の贈り物」、ロンドンの大きな楽しみの一つ、ウエストエンドの劇場街に足を運ぶ時にこの映画を思い出すと、また新たな気持ちで芝居やミュージカルが楽しめるに違いないと思うような佳作でした。
 第2次大戦前のロンドンで、莫大な財産を相続したヘンダーソン未亡人は、ソーホーの古びた劇場を買い取って、支配人のヴァンダム氏ともども、劇場の再建に力を注ぎます。保守的なイギリスの上流階級の端くれに属するヘンダーソン夫人ですが、気取らない性格で、劇場の不振を救うため、パリのムーラン・ルージュのようなヌードレビューを上演することを提案。保守的なイギリス社会に衝撃を与えますが、若い踊り子たちがヌードの時は踊らずに静止するからアートの域に入るという口実で、ヌードレビューを成功させます。
 やがて、第2次大戦が火蓋を切り、明日は戦場に向かうという若い兵士たちで劇場は連日の大盛況。爆弾が降る首都で、ヘンダーソン夫人はなんとか劇場でのショーを上演続けようと努力します。なぜなら、彼女はわずか21歳だった一人息子を第1次大戦で亡くしていたため、前線に出れば死に直面せざろうえない兵士たちに、せめて女性のヌードを見せてやりたいという思いがあるから。
 実話に基づいた話らしいですが、ジュディ・デンチ演じるヘンダーソン夫人の率直さと精神の若さ、自由な発想にとても共感が持てる内容でした。そして、今や出まくっているケリー・ライリーの薄幸な踊り子役に、当時の時代背景が良く出ていて、すごく良かったです。
 ニースのイギリス人の友達に寄れば、ジュディ・デンチは若い頃、正統派の美人として知られ、それは美しかったとか。これは、彼女のことをずっと演技派の女優と思っていた私には意外な話でしたが、「ハリウッド女優のようにあちこち整形することもなく、自らの老いを隠さないで自然にしている姿が好ましいのよ。」という友人のコメントに、なるほどと思いました。
 この映画では裕福で着飾った未亡人役だけど、「ラベンダーの咲く庭で」の時は本当に自然な老婦人の容姿で熱演してましたし。イギリス人にとっては自分たちと一緒に年を重ねて来た往年の美人女優で、今なお大活躍のジュディ・デンチは、私たちの想像以上に親しみのある存在なのでしょうね。
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by cheznono | 2007-01-13 01:18 | 映画

ロンドンのねずみ

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 あけましておめでとうございます。今年もこのBlog:フランス工房ジャーナルをどうぞよろしくお願い致します。
 皆さんはどんなお正月を迎えられたでしょうか?私は風邪引きの冴えない年越しで、三が日もぼーっとしたまま過ぎて行きました。とはいえ月末から出発なので、いつまでもゴロゴロしているわけにもゆかず、ニースに戻るための準備を始めなくてはいけません。とりあえず、ちょっと立ち寄るロンドンの宿を予約せねばとネットでホテル探しを始めたら、案の定、決まるまで3日以上もかかってしまいました。
 好況で沸くロンドン、二つ星程度の安宿でも軽く1泊1万円以上かかり、数日いるだけでフランスの地方都市での一か月分の滞在費をしのぐため、毎回ホテルの選択には頭を悩まします。何せ大荷物を持っての移動だから、空港からアクセスの良い、便利で治安の悪くない所。朝食はやっぱりフルイングリッシュ・ブレックファストで、できれば無線LANのホットスポットがあってなんて、希望をてんこ盛りにした上で探すわけですから、予算が少ないのに我ながらいい気なものです。去年の宿はネットでの評判も良くて、かなりこれらの条件をクリアしてたけれど、いかんせん、空港からの道のりがしんどかったので、今回は空港からエクスプレスの来ているパディントン駅の周辺で捜してみました。
 ネットで宿を探す時、多々あるホテルの選択に迷った時に役に立つのが、利用者の感想コメントです。1泊2万円以上のホテルだと利用者の満足度もかなり高いのですが、私の予算内だとやっぱり安かろう悪かろうで、宿泊客の採点も辛くなりますね。いわく、エアコンが効かないで凍えたとか、シャワールームには猫一匹入る隙間もない、英語の通じないスタッフが何人もいたというアメリカ人、フロントにモーニングコールを頼んでおいたのに忘れられたため寝過ごして、面接試験に遅れそうになったとか、トイレットペーパーの質が悪い、朝食の卵が自分だけ1個分しかつかなかったなんていうせこい書込みやテレビにフランスの海外向けチャンネルがなかったというわがままなフランス人のコメントなど、どこもシングルで1泊1万2000円前後するホテルなのに、いざ予約をしようと思うと二の足を踏んでしまうような感想が多いこと。
 で、数日かけてやっと私が決めたのは、朝食なしだけどキッチン付き。もちろん有料だけど空港から送迎ミニバスが運んでくれるアパートメントホテルでした。でも、なんと「自分の部屋にネズミがいて、滞在中ずっと居座っていたわ」という書込みがあるのです。昔、オックスフォードのB&Bに泊まった時、夜中に壁際からガリガリっていうリアルな音がして震え上がった経験がありますが、まだ実際にネズミを目にしたことはありません。フランスでも古い建物ではネズミが出るのでと薬を焚いたりしているから、やっぱり珍しくないのかも。
 ただ、イギリスのホテルなどに出るのはハムスターのような小さいネズミで、近年東京で増殖しているらしい家ネズミのように大きいものではないようです。だからといって、不衛生極まりないことは同じでしょうけど。そういえば、以前滞在していたトゥールーズの屋敷では、マダムが庭で内緒で飼っていた天然記念物対象の亀が、ある朝無残に食べられていて、どぶネズミの仕業に違いないと、マダムは涙を流しながら怒っていましたっけ。まあ冬だし、ネズミに遭遇することなくなんとか無事にロンドンのストップオーバーを切り抜けたいものですが。。
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by cheznono | 2007-01-07 00:56 | いつもの暮らし