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揺らぐ空港セキュリティ

b0041912_1232871.jpg 昨年夏にイギリスで発覚した航空機爆破テロ未遂事件を受けて始まった《機内持ち込みの液体類は全て透明ビニール袋に入れ、手に持って荷物検査を受ける》というルール。あまり意味のない措置だし、空港の荷物検査の機械もさほど精巧ではないから、どうせすぐに解除されるだろうと思っていたのに、まだ実施されていますね。
  セキュリティの厳しいロンドンのヒースロー空港では、液体類のチェックに加え、機内持ち込み手荷物を1つに制限しています。以前のようにハンドバックとお土産用の袋とか旅行カバンを一緒に持ち込めないため、特に荷物の増える帰国時には不便に感じます。
 この《液体類はビニール袋に入れること》と《機内持ち込み手荷物は1つだけ》を忠告するポスターは、ヒースロー空港内のあちこちに貼られていて、放送もひっきりなしで入っています。なのに、この規則を守らない人が後を絶たないのが不思議です。もしかしてイギリス人は空港で英語を読んだり聞いたりする習慣がないのでしょうか?
 例えば私の前にいたマダム、パンパンに膨れたハンドバッグを二つ持っていたため、手荷物の検査機前で注意され、片方のハンドバッグを同じサイズのもう一方のハンドバッグの上に載せてみたりとさんざん無駄な努力をした末、どこかへ消えて行きました。
 英国人の友達は、やはり自分の前の女性が背中に登山用のナップザック、両手には大きな旅行カバンを二つさげて並んでいたので、「機内に持ち込める荷物は一つだから、三つもバッグを持ってると引っかかってしまいますよ。」と声をかけた所、「あら、私はいつもこれくらい荷物を機内に持ち込んでるわ。大丈夫、大丈夫。」と笑って、規則が変わったと説明しても、意に返さなかったようです。
 で案の定、手荷物検査のベルトコンベアの前で、係官から「マダム、手荷物は一つにまとめて下さい。」と注意されると、30代後半のおしゃれなその女性は猛然と抗議をし始めたそうです。しかし、いくら抗議しても規則は規則。「ヒースロー発の便で機内に持ち込めるバッグは一つだけです。」と説得する係官に興奮したマダム、しまいに泣き出してしまったとか。
 「こんなにたくさんの荷物を一つにはできるわけないわ。通してくれないと飛行機が出ちゃう!」と人目もかまわず泣きじゃくる姿にも動じない係官、「マダム、泣くのはご自由ですが、機内持ち込みの荷物は一つです。」と冷静に繰り返すだけ。列の後ろの乗客がどんどん手荷物検査をすませて行く中、泣き虫マダムは脇にのけられてしまいました。彼女が予定の飛行機に乗れたかどうか、定かではありません。
 写真は、ヒースロー内にあった保険会社の広告。預け入れ荷物が空港で消えるのは日常茶飯事らしいですが、ヒースローの手荷物検査のベルトコンベアに載せたバッグがそのまま消えてしまい、所持金を失った男性が空港側に弁償を求めたけれど、対応して貰えなかったという投書を読んだことがあります。これじゃあ、空港のセキュリティは足元から揺らいでいますよね。テロよりもまずはお財布が心配な私は、以来、自分のバッグがX線を通過する度にドキドキしてしまうのです。
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by cheznono | 2007-09-26 01:25 | いつもの暮らし

リトル・チルドレン

b0041912_2317075.jpg 先日やっと「リトル・チルドレン」を観て来ました。前から気になっていたのに、なかなか観に行けなかったこの作品、舞台をそのまま日本の地方都市郊外に置き換えても不自然でないような、身近なドラマという感じでした。
 静かな住宅街で夫と3歳の娘と何不自由なく暮らすサラ(ケイト・ウィンスレット)。公園デビューするもののママ仲間に馴染めず、ビジネスマンの夫には失望し、子育てにも今ひとつ身が入りません。サラは、司法試験浪人のかたわら主夫業にいそしむブラッド(パトリック・ウィルソン)と公園で出会い、あっという間に二組の親子は親しくなって行きます。
 キャリアウーマンの美人妻(ジェニファー・コネリー)の期待とは裏腹に、とっくに司法試験への情熱は冷め、子守りに甘んじるブラッドにとって、サラは好みのタイプではないけれど、やがて二人は不倫の関係へ。元文学少女のサラはブラッドに夢中になって、子育てもうわの空の状態です。
 そんな中、幼児性愛で服役していた中年男のロニーが出所して、母親の家に戻って来たため、元警官のラリーが彼を執拗に非難して、地域社会に不安を投げかけます。ロニーは悲しい性癖を自分でも持て余し、それを公然となじるラリーにも辛い過去があることが分かって来ます。
 この人といれば今とは違った新しい世界が開けるのではと、お互いに相手に期待をするサラとブラッド。リトル・チルドレンとは、どこか満たされない思いを抱えた《大人になれない大人》を指すらしいですが、そんな大人になり切れていない登場人物たちが淡々と、でもユーモアを持って描かれています。熱に浮かされていたような二人も、あるきっかけで我に帰り、それぞれの生活を見直すところが、やっぱり大人の映画だなって思いました。我に返るのがどちらか片方だけだと、悲劇になりがちですものね。
 考えてみれば、誰しも多かれ少なかれ大人になりきれない部分を引きずっているわけで、そこを自分なりに折り合いをつけて、日常を送っているような気がします。フランスのバカロレアの哲学の試験に出ましたが、人間の欲望というのはいったんは満たされても、また更に新たな欲望が生まれ、尽きることはないらしいですから、だとしたら、《どこか満たされない思い》を抱えて生きて行くのは、人類の宿命と言えるのかも知れません。
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by cheznono | 2007-09-21 00:47 | 映画

されど日本食?

b0041912_22542078.jpg 去年、フランスから東京に来た友人たちを回転寿司に案内したら、初めの二人には大受けしたけれど、次の二人はお寿司の種類も豊富な人気店に連れて行った割にイマイチの反応だったから、日本食の推進?も案外簡単ではないですね。
 その後、回転寿司店を気に入ってくれた方の友人とフランスで再会したら、相手が得意そうに言いました。「僕、あれから寿司にはまって、自分でも寿司作りに挑戦したんだよ。」それはすごい。フランスにいる日本人女性はよくパーティで、すし太郎とかでちらしを作ったり、海苔巻きを振舞ったりしていますが、私は未だに自分で寿司を作ってご馳走したことがありません。
 くだんの友達は、アジア系食材店で寿司には不可欠と言われたという柔らかくて長いもの(かんぴょうのこと?)を入れたり、マルシェの魚を使ったりして、母上に海苔巻きを披露したと言うのです。「それでね、ロブスターを買って来て、中身をくり貫き、殻の中に巻き寿司をきれいに並べたんだよ。」へえ、さすが西洋人、ロブスターの殻の中に寿司を盛り付けるなんて、演出がおしゃれ。自作の巻き寿司で盛り付けにもこだわるなんて、日本人として嬉しいと、私はニコニコ聞いていました。
 彼が続けます。「お米はね、玄米を使ったんだ。」はあ?ヨーロッパの玄米は、日本の丸い発芽玄米とは全然違って、長細いタイ米を薄茶にしたようなお米です。確かに玄米は体に良いけど、お寿司には全然向かないよ、と私が言うと、「でも、ママンには受けたよ。」まあ、彼のママンは健康オタクだから、あえて玄米を使ったのかも知れません。
 でも、フランスの玄米てぼそぼそしてるから、酢飯しにするのが難しくない?と聞く私に、なんと友人は、「あ、お酢は使ってないんだ。」エエッ!?サビ抜きならわかるけど、お酢を入れない寿司なんて考えられない。だいたい寿司のスは「酢」から来たんだし、酢飯しじゃなければ寿司とは言えないよ、と驚いて猛然と抗議したものの、彼は全く取り合わず、「だって、ママンはお酢が苦手だから酢は使わなかった。」それでも、すごくおいしいって喜ばれたのだとか。
 因みにわさびは私も愛用しているS&Bの粉わさびを練って使ったそうです。タイ米風玄米でお酢抜きの巻き寿司を、これが日本のお寿司だよって紹介されるのは、イタイものがあるけれど、来日した時に味わった回転寿司を、自宅で再現してみようと実践してくれた心意気は買わないといけないかも知れませんね。
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by cheznono | 2007-09-14 23:11 | 不思議の国フランス

日本食ブーム

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 ご他聞に漏れず健康ブームの続くフランスでは、毎年竹の子のように日本料理レストランや寿司バーもどきが開店しています。今年からヤキトリが外来語としてフランス語入りするし、日本食は健康に良い、太らない、長寿の秘訣という噂が広まって、和食大好きなフランス人が増えたからでしょうね。
 一昔前まで、日本料理というとまず鉄板焼きだったらしいのに、今はお寿司が大人気。なぜかフランス人(他の国の人も)にとって寿司=巻きで、握りはニギリ、「寿司と握りとね」って聞く度に、なんだか変な感じがしますが、巻きも握りもとちらしも押し寿司も、どれも全部ひっくるめてお寿司だよって、いちいち説明するのも面倒なので、ほおっています。
 食にうるさいと言われるフランス人ですが、こと和食に関してはかなり味覚が怪しく、ちょうちんや暖簾を下げたり、割り箸を使ったりというちょっと日本ぽい演出に弱いため、肝心の味には大甘。そのため、日本人から見るとかなりテキトーな日本料理を出す店が多くて、見かねたジェトロ(日本貿易振興協会)のパリセンターが、フランス国内で正統な和食レストランを識別するための《真の日本食》認定制度が始まりました。
  パリの日本料理店の8割以上が中国系やベトナム系の経営者と報道されていますが、寿司を食べに行ったら缶詰のサーディンがご飯にのって来たり、寿司のご飯に香り付きタイ米を使っていたり、友達が頼んだラーメンにはレモンの輪切りが浮いていたりと、確かに我々がこれを日本食と思われてはちょっと困るというような代物が出てくることも少なくありません。
 和食の調理方法を知らないシェフでも、テリヤキソース和えなんていう怪しげなメニューを取り揃えて、味噌汁を添えれば日本食レストランとして割高な料金を設定できるし、アジア系のスタッフだと外見も日本人と変わらないため、、「こんにちわ」、「さようなら」と片言の挨拶をするだけで、「この店は日本人経営です」と言い切ったりされるのは、いかがなものかとは思います。
 とはいえ、日本のフランス料理はどうかというと、今でこそシェフが日本人とは思えないほど本国以上に正統派のフレンチ・レストランも増えているようですが、昔はやっぱりかなりテキトーな皿をフランス料理と言って出していたのではないでしょうか?アジア料理にしても、フランスでベトナム人経営のベトナム・レストランと新宿辺りで食べるベトナム料理とはメニューや味が全然違う印象です。そう考えると、所変われば品変わるで、結構おあいこなのかも知れません。
 写真はニース名物のニース風サラダ。レタスにトマト、ピーマン、ゆで卵、ツナ缶、黒オリーブにあればアンチョビとアンティチョークを加えて、オリーブオイルとお酢であえるだけ。こんなシンプルなサラダでも、パリの安レストランとかでは、エッ?って思うようなしけた野菜が出て来たりするから、要注意です。
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by cheznono | 2007-09-10 18:32 | 不思議の国フランス

美食の街リヨン

b0041912_1675259.jpg 旧市街全体が世界遺産に指定されているリヨンは、二つの大きな川がもたらした豊かな土壌と、イタリアのトリノやアルプスに近い地の利もあって、良質の食材に恵まれたため、古くから美食の街として知られています。
 パリに次ぐフランス第2の都市の座をマルセイユと争うリヨンは、ハイテク産業などのビジネスが盛んな新市街と、ルネッサンス商人の家並みが残る旧市街とが川でくっきりと別れていて、古代ローマ人が街を築いたというフルヴィエールの丘にフニクラで上ると、その様子が一目瞭然で見渡せます。
 街中には名の知れたシェフのお店もあり、郊外にはポール・ボキューズのホテル・レストランやシャトーを利用した辻料理学園のフランス校もあるため、料理やパティシエの修行にリヨンを訪れる人は後を絶ちません。
確かにレストラン街はいつも活気に満ちていて、星付きレストランでもパリの半額近くで楽しめるし、マルシェでは新鮮な食材が手ごろな値段で豊富に手に入ります。リヨン料理として全国的に有名なのは、クネル(魚のすり身をクリームなどで固めた、ソフトなかまぼこみたいなもの)やトリップ(牛や豚の内臓の煮込み)。クネルは南仏のスーパーのお惣菜売り場でも手に入り、家庭ではグラタンに入れたり、クリーム煮にしたりと重宝するみたいです。
 こうした地元の料理は、シックなレストランよりもブションと呼ばれるビストロで味わう方が楽しいかも知れません。ブションはたいてい、肝っ玉マダム(たまに肝っ玉ムッシュウ)が腕をふるう食堂風の庶民的な店で、リヨンならではのもの。量もたっぷり山のように運ばれて来るし、お値段も手ごろだから、評判の良いブションは遅くまで地元の人で賑わっています。
 では、果たしてリヨンは本当においしい街でしょうか?実はリヨン料理は、バターやクリームがふんだんに使われるため胃に重いのです。いかにもフランス料理らしく口当たりは良いけれど、リヨンの料理は重いとフランス人が口を揃えて言うほどだから、まして、和食大好きの私には全部平らげるのがしんどい。しかも、極力香辛料を使わないため、食べている間に少し飽きて来たりします。こういうこってりした料理を食べ続ければ、メタボリック症候群が増えるのもせん無いことでしょう。そのせいか、リヨンでも最近はアジア系の料理が好評で、中華や日本食に関心が高まっているようでした。 
 写真は16~17世紀の塔を使った人気のホテル・レストラン:ラ・トゥール・ローズ。お食事の予算は35ユーロ位から。数時間のお料理レッスンやテーマを設けたソワレもよく企画されています。 
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by cheznono | 2007-09-04 17:26 | 不思議の国フランス